アイドルとファンの“距離”をウェアラブルが縮める?――「でんぱとーく大実験」研究発表会:「声」でコミュニケーション(2/3 ページ)
アイドルとファンとの新たな“コミュニケーション”を模索すべく、でんぱ組.incと113人のファンたちが大規模な実証実験に挑戦。その結果やいかに。
場所:ライブ会場や自宅でのとーくが多い
でんぱ組.incメンバーからのとーく配信については、可能な限り「場所」も分析したという。一番多かったのがライブ会場で、次に多かったのが自宅だったという。メンバーのオン(仕事中)だけでなく、オフ(私生活)でも投稿しやすいことが、いつでも身につけているウェアラブルデバイスの強みなのかもしれない。
テーマ:音声ならではのコミュニケーションも
メンバーからのとーくの一部は、期間ごとに区切ったテーマにもとづいて配信された。設定されたテーマは「バレンタイン」「鼻歌」「食事」「激励」「ハァハァ」「なりきり」の6つで、「なりきり」は実験参加者からのリクエストに応えて設定したものだ。各テーマともに、投稿回数に大きな偏りはなく、7~10回の投稿があったという。
各テーマで代表的なとーくが紹介されたが、その中でも特に相沢梨紗さん(りさちー)の鼻歌とーく「“はにゃ歌”クイズ」と、最上もがさん(もがちゃん)の食事とーく「サラダ」は、紹介されたときに実験参加者がイントロクイズのように「あー」と反応している様子が印象的だった。鼻歌や食事中のそしゃく音が聞けるのは、ある意味で音声に特化した実験だからこそ、だ。
学術的に分析
でんぱとーく大実験は、アイドルとファンとの新しいコミュニケーションのあり方を模索する実証実験だ。一見すると「ネタ」でやっているようにも見えるが、実験参加者に定期的にアンケートを実施した上で、学術的側面からの分析もしっかりと行っている。分析を担当したのは、慶應義塾大学環境情報学部の小川克彦教授だ。
実験参加者がアイドルとのSNSを使った交流で一番求めているものは、「反応・返事」という結果が出た。自分の投稿を引用してくれたり、自分の返信(メンション)にさらに返事をしてくれたりすることに期待している、ということだ。
また、「日常の共有」や「人肌・親近感」を求めている人も少なからず存在していることが分かった。アイドルの何気ない日常風景を垣間見たり、時間や場所を共有していることを実感できたりすることも、ファンにとってはうれしい要素なのだ。
でんぱ組.incは、グループとしてTwitterやFacebookでも情報発信をしているほか、メンバー個人もTwitterアカウントを持っている。これにでんぱとーくが加わる前後で、でんぱ組.incのSNSに対する満足度調査を実施したところ、でんぱとーくを追加した後での満足度が向上していることも分かった。「親近感が沸いた」「距離が近くなった」「メンバー個人の魅力をより知ることができた」という旨の反応が寄せられたという。
コミュニケーションツールとしての「でんぱとーく」は、実験参加者にとってどのような位置付けとなったのだろうか。「対面(での会話)」「電話」「メール」「Twitter」とでんぱとーくの5つで、コミュニケーションとして好ましいと思う順位を調査をしてみたところ、アイドルとのコミュニケーションにおいては、でんぱとーくが平均で2.7位と、対面や電話に次いで好感度が高くなった。
小川教授は、文字よりも親近感が湧きやすい音声を使っていながらも、メールと同様の非同期さがコミュニケーションの緊張感を和らげていることが、でんぱとーくが好感を得ている理由なのではないかと分析する。
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