アイドルとファンの“距離”をウェアラブルが縮める?――「でんぱとーく大実験」研究発表会:「声」でコミュニケーション(1/3 ページ)
アイドルとファンとの新たな“コミュニケーション”を模索すべく、でんぱ組.incと113人のファンたちが大規模な実証実験に挑戦。その結果やいかに。
アイドルとファンのコミュニケーションといえば、握手会、トークにコンサート――だけではない。最近ではTwitter、FacebookやInstagramなど、SNSの利活用も活発だ。
そんな中、秋葉原ディアステージを拠点に活動している「でんぱ組.inc」とそのファンが、「音声」でのコミュニケーションに焦点を当てた実証実験「でんぱとーく大実験」を2月13日(プレ実験は2月12日)から3月6日にかけて実施した。
4月9日、でんぱ組.incのメンバーを含む実験参加者が一堂に会し、実験の結果報告会が開催された。この“新しい”コミュニケーションは成功したのか、それとも……。
実験の概要
この実験では、参加者に専用ウェアラブルデバイスとアプリを提供。スマホにインストールした専用アプリを介してでんぱ組.incのメンバーからのボイスメッセージがリアルタイムに届くだけではなく、ウェアラブルデバイス(とスマホ)を使って音声で反応することもできるようになっている。実証実験だけに、参加者にはフィードバックも求められる。
- →でんぱとーく大実験(ディアステージ)
この実験にはソニーモバイルコミュニケーションズが全面的に協力している。募集対象は「Android 4.4以上を搭載し、Bluetooth 3.0以上に対応したXperiaの所有者(または実験開始までに機種変更を予定している人)」で、参加者は最終的に113人となった。参加者は、同社のスマートバンド「SmartBand Talk SWR30」の特別仕様機「Dempa-Talk 零号機」を購入して実験に参加。Dempa-Talk 零号機とXperiaとの音声のやりとりや、実験のフィードバックの送受信は、専用アプリ「でんぱとーく」で行った。
このような条件から、報告会に来た実験参加者は全員Xperiaユーザーだ。ただし、他のスマートフォンやタブレットとの「2台(以上)持ち」も少なくなかったようだ。報告会の参加者は、でんぱ組.incメンバーや登壇者とおそろいのオリジナル白衣を着用していた。これは、参加記念品として持ち帰ることもできたようだ。
開会宣言は「ボイスメッセージ」で
報告会は、でんぱ組.incメンバーの古川未鈴さん(みりんちゃん)による「開会宣言」で始まった。普通の開会宣言とは違い、古川さんがDempa-Talk 零号機で吹き込んだ音声を、会場にいる実験参加者のXperiaを介してDempa-Talk 零号機に配信するという形で行われた。当然、届くまでにタイムラグが生じるため、会場のあちこちから「山びこ」のように開会宣言が聞こえてくるという状況になった。
視点別に見た実験結果
開会宣言後、実験の趣旨の振り返りを行った上で、実験結果の概要が報告された。実験期間中、でんぱ組.incメンバーからの「とーく」(音声)送信数は113回だった。それに対し、参加者のトーク再生回数は1万4873回となった。
とーくに対する「いいね」の回数は4772回だった。今回の実験の“要”の1つである、実験参加者からの音声返信は1696回、時間にすると合計3万3672秒(9時間21分12秒)だった。映画4〜5本分の音声返信があったことになる。
概要の報告後、「時間」「場所」「テーマ」の3つの視点からとーくを分析した結果が披露された。
時間:夜の時間帯に反応多し
「時間」を切り口にすると、でんぱ組.incメンバーからのとーく配信は時間帯による偏りはほとんどなかったという。それに対し、実験参加者からの反応(いいね・音声返信)は、仕事などが終わった夜の時間帯に盛り上がったという。
また、とーくを配信した曜日・時間帯によっては昼間でも盛り上がることも分かった。昼間に盛り上がった一例として、夢眠ねむさん(ねむきゅん)が日曜日のダンスレッスンに行く前に配信したとーくが挙げられた。「曜日感覚がずれていて、みんな仕事(である平日)だろうと思って」(夢眠さん)吹き込んだとーくが、多くの人が休日であろう日曜日の昼間に配信されたことが効果的だったものと思われる。
夜の時間帯で特に盛り上がった23時台のとーく例としては、藤咲彩音さん(ピンキー!)が、ライブ終了後の就寝前に配信したものが挙げられた。このとーくに関しては、「でばっぐ会議室」(フィードバック用の掲示板)での反応も紹介された。
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