世界中で使えるSIM不要のルーター「Konnect i1」を上海で試す:山根康宏の海外モバイル探訪記
MWC上海2016で、NUU Mobileが世界中で利用できるルーター「Konnect i1」を展示していました。レンタルも行っていたので、早速借りて上海市内で使ってみました。日本での発売も前向きに検討しているそうです。
世界中で使えるグローバルルーターの種類が増えています。空港などで借りるレンタルルーターとは異なり、1台で世界中、どの国でも現地の回線を直接利用するという製品です。いくつかのメーカーが製品を出していますが、上海で開催されていたMobile World Congress Shanghai 2016には新しいメーカーが製品を展示。レンタルを行っていたので使ってみました。
NUU Mobileは米国などでSIMロックフリースマートフォンを販売しているメーカー。コストパフォーマンスに優れたミッドレンジクラスのスマートフォンを米国などで販売しています。今回のMWC上海2016ではグローバルルーター「Konnect i1」を発表。通信方式はFDD-LTEがBand 1/2/3/4/5/7/8/17/20、TD-LTEがBand 39/40/41。それに加えW-CDMAはBand 1/2/4/5、CDMA EV-DO BC(バンドクラス)0/1、GSM 4バンドに対応しています。
Konnect i1の本体サイズは68.6(幅)×124.6(高さ)×12.6(奥行き)mmという手のひらに乗る大きさ。本体にはインジケーターライトがあり、バッテリー残量や通信状態を色で示す。バッテリー容量は3600mAhあるので、使い方にもよりますが、1日は十分持つとのことです。
2日間レンタルすることができたので、上海市内で使ってみることにしました。使い方は電源を入れるだけ。あとはインジケーターライトの下段が緑に点灯すれば、LTEの電波をつかみます。上海駅までで試してみましたが、電源を投入して1分もせずにライトが点灯。すぐに電波をつかみました。なお、上海駅に限らず、鉄道の大型駅はスリが多いので注意。今回もこんな写真を撮っていたら、ちょっと怪しい連中がまわりをうろうろしていました。
早速スピードテストをしたところ、下りが30~40Mpbs、上りが3~6Mpbsといったところでした。レンタルしたのは製品版とほぼ同じものでしたが、管理画面へのログイン方法は付属のマニュアルに記載なし。ブラウザで適当なアドレスを入力していたら、急にログイン画面がでてきました。
管理画面ではデータ利用量とパッケージの残量、ルーターのバッテリー残量、ネットワークの接続種別が表示されます。上海の地下鉄内では時々3Gに落ちることもありましたが、屋外ではほぼ4Gで接続しており3Gに落ちることはありませんでした。なお画面下のメニューの「Package」をタップするとデータパッケージが購入できるのですが、現時点では料金未定のためページは開けませんでした。
Konnect i1は、世界初のPSTN(固定電話網)を利用した音声通話にも対応するとのことですが、現時点では利用できません。今回のMWC上海2016ではデータ通信のみデモを行っていたようです。販売方法も未定で、担当者によると、「当初はコンシューマーではなくエンタープライズ向けに販売するかもしれない」とのこと。データパッケージも詳細は未定ですが、「世界均一料金として1日あたり1000円以下になるだろう」とのことです。
Konnect i1は約100カ国に対応。日本人の渡航先はほとんどカバーされているでしょう。データ利用分も恐らくプリペイドで1日単位などの購入ができるので、海外旅行が多い人は1台持っていれば便利でしょう。また会社で1台、あるいは友人同士で1台をシェアする、というのもよいかもしれません。日本投入も担当者によれば前向きに検討しているそうなので、発売を楽しみにしたいところです。
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