台湾で売られているシャープのスマートフォン 「AQUOS」は名乗らず:山根康宏の海外モバイル探訪記
日本でおなじみのシャープが、台湾でもスマートフォンを投入しています。ただし「AQUOS」ブランドは使われていません。一体どんな製品なのでしょうか。
日本メーカー製のスマートフォンは今や日本以外ではあまり見られなくなっている中、台湾ではシャープのブランドを付けた製品がいくつか売られています。一体どんな製品なのでしょうか?
シャープといえば、台湾の大手EMSのホンハイに2016年買収されました。そのホンハイは大手メーカーのスマートフォン製造も手掛けますが、子会社のフォックスコンは自社ブランドスマートフォンとして「Infocus」ブランドの製品を販売しています。そのInfocusの製品をベースとしたシャープブランドのスマートフォンが台湾で数機種販売されています。
なお、日本ではシャープは「AQUOS」ブランドを使っていますが、台湾の店舗ではAQUOSは使われず単純に「Sharp XX」と表記されています。恐らく「シャープ」の名前にはブランド力があるものの、AQUOSの名前は日本以外では浸透していないからでしょう。
フラグシップとなる「Z3」は、2017年4月に発売されたモデルで、Snapdragon 652(1.8GHz)、メインメモリ4GB、ストレージ64GB、5.7型WQHDディスプレイ、アウト1600万画素カメラ、イン1300万画素カメラを搭載。本体サイズは78.5(幅)×157.9(高さ)×7.78(奥行き)mm、重さは185g。
Z3はプロセッサのスペックを抑えながらもディスプレイとメモリ、カメラはハイエンド相当のものを搭載しています。デュアルSIMスロットを搭載してDSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)対応。価格は1万3990台湾ドル(約5万1800円)と、スペック相応ともいえる値付けがされています。
このZ3はいわば「全部入り」ともいえる製品ですが、2016年に発売されたモデルは特定機能にフォーカスした製品でした。まずは2016年9月登場の「Z2」。別名が「ポケモンスマホ」で、3000mAhと比較的大容量のバッテリーを搭載していることから、「Pokemon GO(ポケモンGO)」の利用に適した端末として売り出したわけです。
スペックはプロセッサがMediaTekの「Helio X20」(2.3GHz)、メインメモリ4GB、ストレージ32GB、5.5型フルHDディスプレイ、アウト1600万画素カメラ、イン800万画素カメラ。8990台湾ドル(約3万3300円)と手軽な価格帯で、ポケモンGOユーザーをターゲットにした製品だったのです。このモデルは現在(2017年5月)も販売されています。
そしてこのZ2より前に発売されたモデルが「セルフィースマホ」と呼べる「M1」です。アウトカメラのみならずインカメラも1300万画素を搭載。ボディーカラーはピンクを含む3色展開。価格はZ2と同じ8990台湾ドル(約3万3300円)でした。アジアでは女性を中心にセルフィーブームが続いていますが、それを意識した製品を出していたとは驚きです。
ちなみに今でもスマートフォン購入者にセルフィーLEDライトをプレゼントするなど、セルフィーブームをしっかりと追いかけている模様。ハイスペックスマートフォンで大手メーカーに直接対抗するのではなく、機能を絞ることで勝負をかけているわけです。
台湾でのシャープのスマートフォンは、日本で発売された「AQUOS ZETA SH-04H」がベースモデルの「AQUOS P1」も発売されました。しかし日本と台湾ではスマートフォンに求める機能もデザインも微妙に異なることでしょう。日本モデルをそのまま投入するよりも、台湾独自製品の方が台湾では受けるのでしょう。今後も台湾で定期的にシャープブランドのスマートフォンが投入されることに期待したいと思います。
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