「Xperia XZ Premium」と「ソフトバンクSIM」が新たな武器に 1周年を迎えたnuroモバイルの戦略:MVNOに聞く(4/4 ページ)
nuroモバイルへのブランド刷新から1年がたち、ソニーネットワークコミュニケーションズが新たな一手を売ってきた。「Xperia XZ Premium」の扱いとソフトバンク回線のサービス開始だ。それぞれの狙いを聞いた。
サブブランドの影響は受けている?
―― 事業環境についての質問ですが、一部のMVNOはサブブランドの影響を大きく受けていると聞きます。nuroモバイルはいかがでしょうか。
細井氏 直接的にどのくらいの影響を受けているのかの指標はありませんが、多分、影響は受けているのだと思います。MVNO全体の市場の伸びが鈍化したという発表がありましたが、その数字とは比例した形になっています。ただ、劇的にお客さまの数が減ったというわけでもありません。今回のようなメニューや、データ前借りのように、われわれにしか出せない特徴を出し、そこにヒットしたお客さまには、引き続きお申し込みいただいています。
―― つまり、プレミアム帯域オプションや前借りなどが、差別化になっているということですね。
細井氏 単純な料金だけの比較になってしまうと、なぜ選ぶのかが見えなくなってしまいます。われわれは通信事業を昔からやってきていますが、nuroモバイルとして立ち上がったのは後発です。最初に出したときは、かけ放題のようなメニューもありませんでんした。その中でも、他社にないものに力を入れてきましたし、今後もそういったところにさらに磨きをかけ、必ず選択肢の上位に入るようなサービスにしていこうとがんばっています。
―― シェアもギリギリですが、上位争いにはしがみつけてますね。
細井氏 どうにか、ですけどね(笑)。
―― nuroモバイルの特徴といえば、深夜割もほかにはない料金プランですが、あちらはいかがでしょうか。
細井氏 劇的にお申し込みが伸びているというわけではありませんが、進化に特化した使い方をする人に申し込んでいただいています。他のプランと比べて数が多いかというと、少ないのですが、一定数のお申し込みがあるという状況です。
―― 現状だと、午前1時からになりますが、開始時間があと2時間ぐらい前だと、もっと使いやすい印象があります。トラフィック的に、やはりそこは厳しいのでしょうか。
細井氏 トラフィックを見ると、朝と昼休み、夕方だけでなく、最近は遅い時間に使われる方も増えています。そういう意味だと、おっしゃったような前倒しや、逆に後ろ倒しは、精査しながら考えていかなければなりません。
―― 最後に、2018年はどのように臨んでいくか、お考えをお聞かせください。
細井氏 nuroモバイルは2017年10月に1周年を迎え、ご要望の高かったXperiaを出すこともできました。端末とサービスの構成で特徴を出すことができ、他社との差別化もできたと思います。ただ、ここで一度、それらを振り返ってみる必要があります。例えば、時間プランの時間を変えられないかといったお声もいただいています。今の1GB刻みのプランをさらに深堀りするのか、それとも違う形で分かりやすくした方がいいのかといった検討も必要です。1周年を契機にして、サービスを刷新していくのが2018年になると考えています。
取材を終えて:ミッドレンジのXperiaにもトライしてほしい
フラグシップモデルのXperiaをMVNOとして独占的に提供できるのは、ソニーグループのnuroモバイルならではの強みといえるだろう。Xperia XZ Premiumに止まらず、国内にはない他のXperiaを提供し続けることができれば、差別化にもつながる気がする。インタビューではユーザーのニーズがあればということだったが、それを確かめるためにも、nuroモバイルにはぜひミドルレンジのXperiaにトライしてほしいと感じた。
ソフトバンクのネットワークを使ったサービスについては、まだ手探りで、どちらかといえば、他のMVNOからの引き合いが強かったことがうかがえる。一方で、ソフトバンクのネットワークを使ったMVNOは、まだ数が少ない。サービスに明確な特徴を出していければ、一定数のユーザーを獲得できる可能性はある。マルチキャリアMVNOの先駆けてきな存在であるmineoのように、2つのネットワークを持つからこその特徴づけが必要になりそうだ。
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