打倒LINEは可能なのか 「+メッセージ」導入の狙いを読み解く:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
3キャリアが5月9日に提供開始する「+メッセージ」。+メッセージは「3キャリアが結託してLINEに対抗しようとしているのではないか」と見られがちだ。+メッセージ提供の狙いはどこにあるのか?
狙いは“法人利用”にあり? スタンプでの課金も検討
SMSの機能を大幅に拡張したRCSだが、ユーザーには無料で提供される。先に述べたように、1通あたりの料金もかからない。キャリアの収益という観点で見ると、現時点では、マイナス要素しかない。とはいえ、現状の+メッセージは、あくまで第一歩にすぎない。3社とも+メッセージの将来像として、「お客さまと企業の間の関係をサポートする、総合的なプラットフォームに拡張していきたい」(藤間氏)という青写真を描いている。
具体的には、「カスタマーサポートや、各種お申込み、予約確認などを、チャットを通じて簡単にできるようにしていく」(藤間氏)といったものだ。また、「送金(決済)という質問もあったが、それもユースケースとしてはありえる」(ソフトバンク テクノロジーユニット 技術戦略統括 IoT事業推進本部 技術デザイン統括部 APIマネジメント部 部長 千葉芳紀氏)。
一言で言うと、LINEの公式アカウントやチャット機能に近い形だが、それをキャリアとして提供しようとしているというわけだ。実際、RCSにはビジネス用途を見越して、QRコードの表示や返信用ボタン、位置情報の取得といったさまざまな機能がAPIとして備えられている。2018年2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressでも、このビジネス利用が大々的にアピールされていた。海外では、例えばソフトバンク傘下のSprintもRCSでのサービスを始めており、すでに法人向けサービスを導入している。
このように特徴が近いためか、+メッセージは「3キャリアが結託してLINEに対抗しようとしているのではないか」とウワサされることもある。実際、RCS導入をMWC前に伝えた記事でも、「打倒LINE」というパワーワードが見出しに踊っていた。では、+メッセージはLINE対抗なのか。先の藤間氏は「対抗の意思は全くない」と、その意図を否定する。「SMSでご不便をかけていた部分を解消したい」(千葉氏)というのが、導入の狙いというわけだ。
ただ、海外での取り上げられ方を見ると、やはり各地のメッセンジャーサービスに対抗したサービスという色合いが濃い。欧州ではWhatsApp、中国ではWeChatといった具合に、それぞれの地域でトップクラスのサービスから、メッセージサービスの主導権を“奪還しよう”という意図は見え隠れする。これは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクがそのような意思を持っているというより、GSMAの思惑といっていいだろう。
+メッセージではスタンプも無料で提供されているが、「コンテンツプロバイダーが作られたものを、有料で配信するということも検討している。ビジネスをどういうスキームやっていくかも、まだ検討している段階」(千葉氏)だという。
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