ドコモ夏モデルの狙いを読み解く ミッドレンジ拡大、ハイエンド機も買いやすく:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモが5月16日に夏モデルと新サービスを発表。料金の負担感を軽減するミドルレンジモデルの拡大と、ハイエンドモデルに対する需要の落ち込みを緩和する措置が特徴。スマートフォンの買い方や選び方が大きく変わる可能性もありそうだ。
ハイエンドモデル限定で実施する「スマホおかえしプログラム」
とはいえ、スマートフォンの技術革新をリードしているのは、やはり今でもハイエンドモデルだ。通信技術もその1つで、ドコモの夏モデルは、一部が下り最大1.5GbpsのLTE-Advancedに対応している。2020年にサービスインする5Gも、当初の端末はハイエンドスマートフォンが中心になる見込みで、「ハイエンドモデルは、これから5G時代を迎えるにあたっても重要になる」(吉澤氏)。分離プランによってハイエンドモデルが普及するペースが緩やかになり、インフラの移行速度が落ちるのは、ドコモにとっても得策ではない。
実際、ドコモも夏モデルではソニーモバイルの「Xperia 1」やシャープの「AQUOS R3」、サムスンの「Galaxy S10」「S10+」に加え、ファーウェイの「P30 Pro」をそろえており、東京オリンピックバージョンの「Galaxy S10+(Olympic Games Edition)」も限定1万台で発売する。スタンダードモデルと銘打ったミドルレンジモデルを拡大させつつも、まだ数の上ではハイエンドモデルの方が層は厚い。
ハイエンドモデルの場合、負担額が変わらないのではという指摘に対し、ドコモは、3年間同じ端末を使った場合のトータルコストは下がっていることをアピールした。吉澤氏によると、端末の平均利用期間は徐々に伸びており、ドコモのケースでは「3年以上お使いいただいている方が48%」と、半数に近いユーザーが3年以上、同じ端末を利用する傾向がある。
月々サポートは2年間で終わってしまうため、現行プランと比較すると、「端末に割引がなく、4万2000円ほどご負担額が増えるが、3年間で見た場合は(新料金プランだと)4万8000円お得になる」(同)。お得になる額は機種によって異なるが、3年のスパンで見ると、総額での支払いが下がるというわけだ。
ただ、3年で4万8000円は、あくまで3年間同じ端末を使うという前提の元での計算だ。裏を返すと、半数以上のユーザーが3年未満で機種変更している形で、2年以上3年未満という期間で区切っても、その比率は38%と高い。ハイエンド端末の販売を促進するためには、残り半分のユーザーに何らかの対応をしなければならなかった。短期間で機種変更するユーザーは、ドコモから見ると、「アクティブにスマートフォンを使って、市場をリードする存在」(同)といった側面もある。こうしたユーザーは、先進的な機能に魅力を感じるため、ハイエンドモデルとの相性もいい。
そこでドコモが導入したのが、36回の割賦と端末の返却による残債免除を組み合わせた、「スマホおかえしプログラム」だ。このプログラムを使うと、月々の負担額がこれまでの3分の2に抑えられる上に、残債が免除される。端末は手元からなくなってしまうが、過去に実施していた下取りプログラムを使った場合と比べても、2年間で約3万円、支払額は少なくなるという。一見“3年縛り”のようだが、最もお得に機種変更しようとすると2年ちょうどが最適になるため、分離プランによって端末の買い替えサイクルが伸びるのを抑える効果もありそうだ。
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