ドコモ夏モデルの狙いを読み解く ミッドレンジ拡大、ハイエンド機も買いやすく:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモが5月16日に夏モデルと新サービスを発表。料金の負担感を軽減するミドルレンジモデルの拡大と、ハイエンドモデルに対する需要の落ち込みを緩和する措置が特徴。スマートフォンの買い方や選び方が大きく変わる可能性もありそうだ。
NTTドコモが5月16日に発表した新商品と新サービスは、6月1日に導入される新料金プランに欠けていたピースを補うものだった。料金の負担感を軽減するミドルレンジモデルの拡大と、ハイエンドモデルに対する需要の落ち込みを緩和する措置が、その2本柱だ。夏商戦以降、料金プランはもちろん、スマートフォンの買い方や選び方が大きく変わる可能性もありそうだ。
分離プランに呼応し、ミドルレンジモデルのラインアップを拡大
6月1日にスタートする新料金プランの「ギガホ」と「ギガライト」は、いわゆる端末代と通信料が連動しない“分離プラン”だ。現行の料金プランでは、端末購入に伴う「月々サポート」を受けられていたのに対し、ギガホやギガライトを選ぶと、端末の購入価格は定価が基本になる。簡単にいえば、料金そのものの水準が下げられている代わりに、月々サポートが付かないということだ。これは、政府や総務省の要請を先取りしたものでもある。
こうした仕組みのため、いくら料金が安くなっても、端末代が高いと総額は大きく変わらなくなってしまう。「より価値のある、ニーズにマッチした端末をこれまで以上にきっちりそろえることが重要になる」(ドコモ吉澤和弘社長)というわけだ。中でも重要視しているのが、「お求めやすい価格ながら、スペックも妥協のないものに仕上げた」(同)というミドルレンジモデルだ。
ドコモは夏商戦に向け、ミドルレンジモデルに当たる「スタンダードモデル」を4機種用意。これまでの4万円以下を中心に取りそろえてきたdocomo with対応端末より価格のレンジも広げ、バリエーションを増やした格好だ。その1つが、国内のXperiaシリーズでは珍しい、ミドルレンジモデルの「Xperia Ace」だ。同モデルは21:9の超縦長ディスプレイを採用したフラグシップモデルの「Xperia 1」とは異なり、アスペクト比は18:9をキープ。プロセッサもSnapdragon 630を搭載するなどスペックを抑えた反面、価格は4万8600円(税込)と、ハイエンドモデルの“半額程度”を実現した。
docomo with端末として人気の高かった「arrows Be」や「LG Style」にも後継機の「arrows Be3」「LG Style2」を用意。それぞれ3万3048円、3万8880円と、買いやすい価格を打ち出した。さらに、スタンダードモデルとしてGoogleが5月に発表したばかりの「Pixel 3a」を導入する。先進感のあるグローバルモデルから、スマートフォンにあまり親しみのない層を狙えるモデルまでそろえ、ニーズの多様化に応えた格好だ。
以前にどの端末を使っていたかにもよるため、一概にはいえないが、ハイエンドモデルの実質価格に近い本体価格の端末を買えば、料金値下げの恩恵が受けやすくなる。ミドルレンジとはいえ、スマートフォンの成熟化に伴い、性能も底上げされている。例えばPixel 3aに関しては、カメラはハイエンドモデルの「Pixel 3」と同等。プロセッサはSnapdragon 670に抑えられているものの、2年から3年前のハイエンドモデル相当の処理能力はあるため、操作感が悪いなどの不満を感じることは少ないだろう。吉澤氏の言葉を借りると、まさに「価格と機能のバランスに優れた4機種」といえる。
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