ドコモ夏モデルの狙いを読み解く ミッドレンジ拡大、ハイエンド機も買いやすく:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ドコモが5月16日に夏モデルと新サービスを発表。料金の負担感を軽減するミドルレンジモデルの拡大と、ハイエンドモデルに対する需要の落ち込みを緩和する措置が特徴。スマートフォンの買い方や選び方が大きく変わる可能性もありそうだ。
アップグレードプログラムへの批判にこたえたドコモ、端末価格も安価に
同種のアップグレードプログラムは、auやソフトバンクにも存在するが、割賦の回数が48回と多く、利用には機種変更が必須だったため、“4年縛り”と見なされ、批判も少なくなかった。公正取引委員会の指摘でプログラムへの再加入は見直されたものの、依然として拘束性が高いという指摘もあり、分離プラン義務化の省令やガイドラインが施行された後、現状のまま提供できるかどうかは未知数だ。当のドコモも、吉澤社長自身が、折に触れ、他社のアップグレードプログラムに対して否定的な見方をしていた。
こうした背景も踏まえ、ドコモのスマホおかえしプログラムは「機種変更を条件とするような縛りは全くない。スマートフォンをお返しいただければ、(ドコモが)メリットをお返し、残りの支払いが不要になる」仕組みを採用した。仮に24カ月前に機種変更していたり、ドコモの回線を解約していたりしても、12回分の残債は免除される。回線契約とも、ある程度分離した仕組みというわけだ。ユーザーはその時点で中古店の買い取り価格と比較し、スマホおかえしプログラムを利用するかどうかを決めればいいため、縛りにはならない点はうれしいポイントだ。
分離プランの導入に合わせ、端末価格そのものも高額化しないように努力したという。ドコモの販売部長、高本寛氏は「調達した価格に対して適正な利潤を乗せて卸している」としながら、「分離プランになって販売価格が高くなることもあるため、粗利のところで努力した」と語る。他社に同種の端末があると比較しやすいが、例えば、Xperia 1の場合、auが11万2320円、ソフトバンクが13万6320円なのに対し、ドコモは10万3032円と、他社より1万円から3万円程度安い。Galaxy S10についても、auが10万8000円の値付けにしているところを、ドコモは8万9424円と、2万円近く安い価格を打ち出した。
ハイエンドモデルだけでなく、スタンダードモデルでも安さは同じた。分かりやすいのがGoogleのPixel 3aで、こちらはソフトバンクが5万7120円、SIMロックフリー版が4万8600円だが、ドコモは最安の4万6656円で販売する。他社には割賦の半分をサポートするアップグレードプログラムがあるため一概にはいえないが、少なくとも元の価格をできるだけ安くしようとしている努力の跡は垣間見える。
とはいえ、スマートフォンとタブレットの販売台数は、2019年度予想で2割程度減少する予想を打ち出している。軟着陸を図ったドコモだが、やはり一定の影響はあると見ているようだ。また、秋には電波法、電気通信事業法の改正に基づいた省令やガイドラインが施行される。現状の新料金プランやスマホおかえしプログラムは、それに先駆けて導入するものだ。ドコモは対応できると見ているようだが、省令やガイドラインの中身によっては、微修正を迫られる可能性もありそうだ。
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