「Xperia 1」レビュー “ソニーならでは”の特徴を隅々までチェックする(4/4 ページ)
「Xperia 1」は、デザインや仕様を刷新させた、プレミアム感の強いモデルに仕上がっている。基本的な特徴をおさらいしつつ、21:9のディスプレイ、カメラ、パフォーマンスなどの気になるポイントをチェックする。今回のXperia 1は買いなのか?
ソニーの技術を結集した「クリエイターモード」はどう使う?
Xperia 1には、ソニーが持つ業務用映像機器の技術を反映した機能がいくつか搭載されている。
標準のホーム画面上にある「Cinema Pro」アプリは、ソニーの映画制作向けカメラCineAltaシリーズの「VENICE」をイメージした、4Kで21:9のHDR(HLG)ムービーをマニュアル撮影できるシネマカメラアプリだ。LOOKにVENICE CEを選ぶと、フィルム感のある映像を撮影できる。
だが、当然スマホのカメラなので、VENICEのようなラチチュード(露光域)の広い大型センサーや、NDフィルター、RAW記録などはない。あくまで、シネマカメラ風に撮影できる機能だ。
撮った映像は、Xperia 1以外の機器で再生したり、好みの絵作りで編集したりしたいが、Xperia 1以外の再生環境はかなり限られている。HDRの話を抜きにしても、PCで映像をある程度正常に確認できるのは「VLC media player」など一部のプレーヤーだけだ。編集になると、手ごろな価格のアプリでもBlackmagicの「DaVinci Resolve Studio 15」や、ペガシスの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」など、ある程度本格的なものが必要になる。Cinema Proアプリはスマホのユーザーよりも、映像制作に詳しい人や興味がある人向けの機能と考えた方がいい。
もう1つのプロ仕様の機能として、画質設定に「クリエイターモード」というものがある。これを選ぶと、ソニーの映像制作向けマスターモニターを意識した、HDR規格BT.2020の色域による忠実な映像再現が可能になる。
ただ、今のところこの機能を有効に活用できるシーンは少ない。ソニー製カメラを遠隔操作できる「Imaging Edge Mobile」も、プレビュー画質が荒く、扱うのもSDRの静止画なので、画像チェックだけならiPad Proの方が便利だ。Xperia 1が必要になるのは、プロが出先でムービーの撮影素材をチェックする場合ぐらいだろう。Xperia 1の発表会ではVENICEのサブモニターとしての利用が提案されていたが、一般ユーザー向けにも高画質なプレビュー環境などを提供してほしいところだ。
Xperiaファンが安心して買えるハイエンドモデル
Xperia 1は、ソニーがスマホのトレンドの高画質マルチレンズカメラや、ハイエンドならではのゲーミング性能を網羅した製品だ。「Xperiaで革新的なスマホが欲しい」という、買い替えを待っていた人も満足できる製品といっていい。
プレミアムなXperia 1と、縦方向にもう少しコンパクトなハイエンドのXperia XZ3、ドコモ向けの安価なXperia Aceと目的に応じて購入するといいだろう。
一方で、ハイエンドスマホや、ソニーらしい革新的なスマホという部分では、カメラの使い勝手や、ゲーム環境の設定などは荒削りの部分が見られる。今夏発売のスマホを比べても、Xperia 1は特段コスパが高いとはいいにくい。ある程度高価なスマホだけに、実際に購入したユーザーとしては、機能改善などのアップデートの提供も願いたいところだ。
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