大きく路線変更した「Xperia 1」のカメラ その中身を解説(1/2 ページ)
「Xperia 1」のカメラは、従来機から大きく路線変更したことがよく分かった。トリプルカメラや暗所撮影機能の向上は、真新しいものではない。しかし、動画撮影については、クリエイターを意識した機能を盛り込んできた。
Xperia 1の体験会が開催されたのは既報の通りだが、そこでカメラ機能に特化した説明会も開催されたのである。
「そこで出てきた新事実!」という派手な話はないけれども、従来のXperiaのカメラから大きく路線変更されたのがよく分かったので、その辺の話を中心にお伝えしたい。
トリプルカメラに進化、1200万画素の理由は?
カメラが3つ並んだトリプルカメラの構成自体は今や珍しくないのだけど、まず目に付いたのが画素数。Xperia 1の3つのカメラは全てが1200万画素なのである。
最近のスマートフォンでは珍しくも何ともないけど、今までXperiaといえば高画素が代名詞みたいなところがあったから、ちょっと意外だ。
2013年に登場した「Xperia Z1」は2000万画素(ちなみに同じ年に出たiPhone 5sはまだ800万画素だった)といち早く高画素のセンサーを搭載。2015年の「Xperia Z5」では2300万画素にまで画素数を増加。2017年の「Xperia XZ1」で1900万画素に落ちたものの、ずっと高画素カメラの雄、みたいな存在だったのである。
それが今回はトリプルレンズカメラの全てが1200万画素。
ソニーモバイルの担当者に「画素数が思い切り減ったんですが?」と尋ねてみると、でも「メインカメラはデュアルPD(フォトダイオード)センサーだから、実際には2400万なんですよ」だという。
イメージセンサーは、光を検知するフォトダイオードを無数に(といっても1200万個とか2000万個とか)びっしり並べたもの。
デュアルPDは1つの画素にフォトダイオードを2つ割り当てた構造で、既に、キヤノンがデジタル一眼で「デュアルピクセルCMOS」を、サムスンも「デュアルピクセルセンサー」を搭載したイメージセンサーを採用しているので目新しくはないが、2つのうち片方をAF時のセンサーとして使うのだ。
それにより、AFはより高速になる。
3つのカメラの役割
3つのカメラのうち、一番上がメインカメラで、26mm相当のレンズを搭載。レンズのF値は1.6。1220万画素のデュアルPDセンサーで、光学式手ブレ補正を搭載している。ソニーもやっと光学式手ブレ補正を搭載してくれたかという感じだ。このセンサーはソニーが開発したメモリ積層型になっており、超高速読み出しに対応。
真ん中は望遠やポートレート用のカメラで約1220万画素、こちらも光学式手ブレ補正付き。レンズは52mm相当(メインカメラのちょうど2倍)でF2.4。
これら2つのカメラは連動して動作し、説明会では全く触れていなかったが、背景ぼかし機能も搭載されている(その場合は望遠カメラの画角になる)。
3つ目は超広角カメラ。ちょっと周辺がゆがむタイプの超広角レンズで、16mm相当でF2.4。こちらには手ブレ補正はなし。
他の2つとはちょっと扱いが違っていて、26mmから52mmまではデジタルズームを使ってシームレスにズーミングできるが、16mmだけはそれがなく、独立したカメラとして動作するのが面白いところだ。
各カメラの連携は実機が来たときにちゃんとチェックしたい。
Xperia XZ3より4倍明るく撮れる理由は?
カメラのもう1つの売りは「αシリーズ」でおなじみの瞳AFと秒10コマのAF/AE追従連写。
スマートフォンの場合、被写界深度が深いので瞳AFと従来の顔検出の違いがそう出るとは思えないけれども、正確で高速なAFで「リアルタイム瞳トラッキング」を実現している。要するに、こちらに走ってくる人を撮るときも、瞳にピントを合わせたまま連写できるということだ。
もう1つ、昨今のスマホカメラトレンドになっている暗所での撮影。これは「Xperia XZ3」比で4倍明るく撮れるようになったそうな。
センサーの画素ピッチはXZ3(1920万画素)に比べて32%大きい1.4μmとなって、約3割増し。画素ピッチが大きいということは、1つ1つのフォトダイオードの面積がその分広いということなので、より多くの光を捉えられる。
次にレンズがXZ3のF2.0からF1.6に明るくなって4.5割増し。最後にRAWノイズ低減処理と新しい画像処理エンジン「Bionz X for mobile」で2倍という計算。
普通、イメージセンサーから来た信号をデジタルデータ(RAWデータ)に変換してから現像処理でノイズ低減を行う。RAWデータには必ずノイズが含まれているし、高感度で撮るとそのノイズがぐっと増えるので、うまくノイズを減らさなきゃいけない。で、RAWノイズ低減処理というのは現像処理の前にもノイズ低減処理をかけるという技術。
4倍ということは、暗所での撮影にも強くなったこということだ。
というところを見ると、とうとうXperiaもスマホカメラのトレンドに追従してきたか、と思えるわけだが、どうもそれだけではないらしい。説明会で尋ねてみても「それは違う」という。
関連記事
- 日本で初披露 「Xperia 1」の実機に触れて「欲しい」と思った理由
ソニーモバイルが、日本で初めて「Xperia 1」を披露した。21:9という縦長の4K 有機ELをディスプレイ搭載したフラグシップ機。タッチ&トライコーナーでグローバル版の実機を触り、久しぶりに「欲しいXperiaだ」と感じた。 - ソニーモバイルが新フラグシップ「Xperia 1」発表 21:9の4K有機ELや3眼カメラを搭載
ソニーモバイルが、MWC19 Barcelonaの開催に合わせて、新フラグシップスマートフォン「Xperia 1」を発表。4K解像度の有機ELディスプレイや、広角+超広角+望遠レンズのトリプルカメラを搭載する。 - 「Xperia 1」実機レポート 21:9のシネマ体験や復活のパープルに注目
ソニーモバイルが「Xperia 1」を発表。Xperia 1は、これまでのXZシリーズから製品名を一新し、ソニーの技術を結集した新しいフラグシップモデルに位置付けられる。MWC19会場に展示されたグローバルモデルの実機をもとに、主な特徴をレポートする。 - 「Xperia 1」は何が変わったのか? XZ3/XZ2 Premium/XZ2と比較する
ソニーモバイルの「Xperia 1」が発表された。従来の「XZ」からシリーズ名を一新し、ディスプレイやカメラを強化。2018年のフラグシップ機「Xperia XZ3」「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ2」とスペックを比較した。 - 「頂点のユーザーをがっちりつかむのが目標」 ソニーモバイルに聞く「Xperia 1」
ソニーモバイルがMWC19 Barcelonaで発表した新Xperiaは、製品名も含めて従来機から大きく手を加えた。今回の新モデルはどのような戦略で開発したのか。ソニーモバイルのブースにて、同社商品企画部門 部門長の田嶋知一氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.