AI撮影のデキがよく、高感度に強くなった「HUAWEI P30」 超広角カメラだけ異質?:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(2/3 ページ)
「HUAWEI P30」は、超広角+広角+望遠のトリプルカメラを搭載。従来のPシリーズのカメラに超広角が付いたことで、より画角が広くなったわけだ。一方、この超広角カメラだけ異質で気になったところもあった。
RYYGの新型センサーは高感度撮影でめちゃ頑張る
P30のカメラはMate 20 Proと同じ構成になったと書いたけど、もう1つ大きく違うとこがある。それはメインカメラのイメージセンサーだ。
1/1.7型と大きなサイズの4000万画素センサーだが、そのカラーフィルター配列が変更されたのだ。
イメージセンサー上で実際に光を電気信号にする「フォトダイオード」は光の強さしか感じない(色は分からない)ので、4000万画素それぞれにカラーフィルターを付けて、透過する色を制限し、色情報を得ている。
で、最終的にデジタル画像は「RGB」(赤と緑と青)の組み合わせで表現されるので、カラーフィルターもRGB、特に「人間の目は緑に対して感度がよいという性質を応用して、RGB各色のフィルターを均等に配置するのではなく、G(緑)用を他の2倍に増やす」工夫がされている。Gが2倍なので「RGGBフィルター」ともいう。
これはパナソニックのデジタルカメラ講座からの引用。RGBは光の三原色なので、原色系フィルターと呼ばれている。色の再現性に優れているけど「光の透過率が悪く、補色系フィルターに比べると低感度になる傾向があります。」とある。
1990年代から2000年頃のデジタルカメラでは、RGBの原色系フィルターとCMYの補色系フィルターの両方がせめぎ合っており、前者は高感度に弱いけど色の再現性がよく、後者は感度がよくてディテールの描写に長けているけど発色がイマイチだった。やがてイメージセンサーの改良によって発色がよい原色系フィルターが主流になったという歴史がある。
それ以来、ずっとカメラのイメージセンサーは原色系フィルターだったのだが、Huaweiはそこを見直し、Gの代わりに、その補色となるY(黄色)のフィルターを置いて「RYYB」フィルターのセンサーを採用したのだ。
GよりYの方が光を多く通すので、40%以上高感度になったというわけである。
約20年前と今では画像処理性能が段違いなので、GをYにしたことで発色に難が出るってことはないのだろう、というか使っていて、そこは全く感じなかった。すごいもんである。
で、実際にどのくらい感度が違うか比べてみたいよねえってことで、「iPhone XS」と比べてみた。iPhone XSの標準カメラはISO感度を自分でセットできないので、マニュアル撮影が可能なサードパーティー製のカメラアプリを使っている。
比較するISO感度はISO1600。P30はもっと感度を上げられるのだが、iPhone側はあまり上げられないので、現実的なところで。照明は部屋の天井に付けたLED電球1つ。
色が違うのはまあAWB(オートホワイトバランス)の差で、P30の方が強くホワイトバランスを合わせにいっている。
では両者の差がよく分かる2点を部分拡大で。衝撃的だったのが人形の顔部分。iPhone XSはよくある高感度写真だが、P30の方はめちゃ滑らか。ノイズがない。ノイズを消すとディテール(目鼻口あたり)がつぶれてしまいそうだけど、全然つぶれていない。
これはすごい。エプロン部分の模様はほぼ消えちゃっているけど、ディテールを残しつつノイズを消す技が極まっている感じだ。
もう1箇所、赤ベコの顔部分を。これを見ると、P30の方が塗り絵っぽいけど、「ノイズを減らしつつディテールは残しつつ」がきれいに実現しているのが分かる。
Huaweiのカメラで暗いところを撮るというと「夜景モード」がすぐ思い浮かぶけど、そうしなくても暗所には強いのだ。
というわけで、地下鉄のトンネルをホームから普通に撮ってみた。
せっかくなので夜景モードも。例によって夜景モードでは数秒かけて1枚を撮る。手持ちでもぶれないよう息を止めて撮ればOK。
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