ドコモの5G戦略を読み解く ネットワーク、料金、端末の特徴は?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTドコモが、5Gの商用サービスを3月25日に開始する。これに伴い5G対応端末を発売するが、いずれもハイエンドモデルだ。ネットワークや料金プランも含め、同社の5G戦略を解説する。
完全無制限を実現した「5Gギガホ」、料金は500円アップに
エリアの狭さを理由に5Gのネットワーク料金である1000円(税別、以下同)を2年間無料にしたソフトバンクに対し、ドコモは大容量プランのギガホを「5Gギガホ」に改定し、料金を500円高く設定した。代わりに、データ容量を30GBから100GBに拡大。この100GBを、キャンペーンという形で当面、容量無制限にする。金額は月額7650円だ。
ただし、3親等以内の家族とファミリー割引のグループを3人で組めば「みんなドコモ割」で1000円引きになる他、ドコモ光とのセット割でさらに1000円が割り引かれる。期間限定だが、「5Gギガホ割」で6カ月間はここからさらに1000円安くなる。さらに、dカードで毎月の料金を支払うことで受けられる「dカードお支払割」で170円の割引があり、全て適用すると、料金は6カ月間4480円、7カ月目以降は5480円になる。細かな点では、5Gギガホからは、いわゆる2年縛りもなくなっている。
100GBを標準プランに据えつつ、容量無制限を打ち出したのは「ネットワーク設備等への影響を見定める必要があった」(吉澤氏)ためだ。先に述べた通り、当初は5Gのネットワークを利用できるエリアは限定的になる。ユーザーが5G端末に買い替えたとしても、ほとんどの通信が4Gのネットワーク経由になるため、キャパシティーの観点では、今と大きな変化がない。容量無制限を導入した結果、一気にトラフィックが増加すると、ネットワークに悪影響を与えてしまう恐れもある。
容量無制限のキャンペーンに終了期間を定めていないのは、そのためだ。吉澤氏によると、「ご利用状況を踏まえながら、場合によってはキャンペーンをやめて次の対策をしたり、逆にそのままタリフ(正式な料金)化したりすることもある」と流動的だ。容量無制限はテザリングまで対象になるため、固定回線の代替として利用するユーザーが出てくる可能性もある。タリフ化を見すえつつも、石橋をたたいたというわけだ。
一方で、5Gでも段階制のギガライトは継続した。こちらは料金を据え置きにしたが、2年縛りを撤廃した関係で、dカードお支払割をつけないと、金額は170円高くなる。4Gと同容量のプランを残したのは、「それほど容量を使わなくても、いい品質の5Gを利用したい方もいる」(田畑氏)からだという。ハイエンド端末が5G対応に置き換わっていくことを考えると、5Gをあまり意識せず、契約を切り替えるユーザーがいる可能性もある。5Gギガライトは、こうした人に向けたプランといえそうだ。
主にギガホを強化したドコモだが、料金体系は4Gのものに近い。分かりやすい半面、吉澤氏が以前から言及していたような、サービスをバンドルした料金プランもまだ登場していない。田畑氏が「5G開始にあたり、最初の一歩の料金を出した」と語っていた通り、この料金プランはまだ始まりにすぎない。ネットワークの広がりやユーザーの拡大に合わせ、選択肢が徐々に増えていく可能性もありそうだ。
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