検索
連載

ドコモの5G戦略を読み解く ネットワーク、料金、端末の特徴は?石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

NTTドコモが、5Gの商用サービスを3月25日に開始する。これに伴い5G対応端末を発売するが、いずれもハイエンドモデルだ。ネットワークや料金プランも含め、同社の5G戦略を解説する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

端末は5Gの特徴を生かせるハイエンドから、年内にはミドルレンジも

 このようなドコモの方針は、端末のラインアップにも表れているといえそうだ。ドコモは18日に「Galaxy S20+ 5G Olympic Games Edition」を含む計7機種を発表したが、全てがハイエンドモデルだ。逆の見方をすると、ミドルレンジ以下の端末は、現状では4Gのみということになる。OPPOの「Reno3 5G」を低価格モデルの目玉として用意したソフトバンクとは、対照的に見える。

ドコモ
端末は計7機種を展開。スマートフォンだけでなく、Wi-Fiルーターも発売する

 ラインアップがハイエンドに集中した理由を、ドコモのプロダクト部 プロダクト企画担当部長の渡邉正明氏は、「5Gの一番の魅力である高速・大容量を最も感じていただける端末がハイエンドになる。まずはそこを導入した」と語る。

ドコモ
ラインアップの狙いを語る渡邉氏

 AQUOS R5GやGalaxy S20、S20+の8K動画撮影や、Xperia 1 IIの秒間20枚の高速連写などは、いずれもデータ容量の増加につながるため、5Gの特徴を生かすことができる。LG V60 ThinQ 5Gも、2画面スマートフォンとして、マルチアングル動画やクラウドゲームサービスに生かすことが可能だ。また、「arrows 5G」のように、ミリ波に対応したモデルについては、必然的にハイエンドモデルになる。価格を抑えるより、まずは5Gの魅力をアピールできる端末をそろえたといえる。

ドコモ
8K動画や高速連写などは、トラフィックの増加につながる可能性がある
ドコモ
マルチアングルや2画面表示がしやすいLG V60 ThinQ 5Gも、5Gらしいスマートフォンといえる

 一方で、電気通信事業法の改正以降、ハイエンド端末の販売には急ブレーキがかかっている。Galaxy S20+ 5G Olympic Games Editionと富士通の「arrows 5G」は価格が未定だが、5G対応モデルはいずれも10万円を超える見込み。端末への割引が厳しく規制されている中、どこまで販売を伸ばせるかは未知数だ。こうした状況を踏まえ、ドコモは「5G WELCOME割」を用意。3Gや4Gからの機種変更で5500円を割り引く他、新規契約やMNPでは2万ポイントのdポイントを還元する。

ドコモ
5G WELCOME割に加え、スマホおかえしプログラムも改定した

 ただし、2万ポイントの還元は、端末購入補助の上限ギリギリだ。「スマホおかえしプログラム」で免除される端末価格の3分の1が、2年後の一般的な中古買い取り価格を超えた場合、ルール違反になってしまう。そこでドコモは、スマホおかえしプログラムを改定し、他社ユーザーに対象を拡大した。回線契約を必須としないことで、端末購入補助と見なされないように対策を施した。料金制度室長の田畑智也氏は、「5Gの端末は4Gに比べ、少し高くなる。より求めやすくしたいというところで、(スマホおかえしプログラムを)変更した」と狙いを話す。

ドコモ
料金や割引制度の狙いを語るドコモの田畑氏

 とはいえ、スマホをおかえしプログラムの実質価格に5G WELCOME割を加えても、実質価格で5万円を下回る端末はGalaxy S20 5Gだけで、絶対額はどうしても高くなる。ドコモは「2023年度には、スマートフォンを中心とした5Gの契約者数を、2000万規模にまで高めていきたい」(吉澤氏)という目標を掲げる。そのためには、やはり「スタンダードモデル的な、機能と価格のバランスが取れたものも重要」(渡邉氏)になる。

 そのため、ドコモはエリアの拡大をにらみつつ、「ミドルレンジモデルもなるべく早期に投入する」(同)という。渡邉氏によると、「できれば今年(2020年度)中に投入する準備を進めている」といい、秋冬モデルとして登場する可能性が高い。プロセッサも徐々にミドルレンジ化が進んでおり、QualcommのSnapdragonは2020年中に600シリーズまで5Gに対応する予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る