新「iPhone SE」は分離プラン時代に合ったモデル ヒットの可能性は大:石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)
米Appleが4月15日(現地時間)に突如、約4年ぶりとなるiPhone SEの後継機を発表した。第2世代では、ベースとなるデザインをiPhone 6からiPhone 8まで続いた4.7型のものに変更した。5万円を下回る価格で発売され、しかも最新モデルと同等のプロセッサを搭載したiPhone SEに寄せられた期待は大きい。
米Appleが4月15日(現地時間)に突如、約4年ぶりとなるiPhone SEの後継機を発表した。これを受け、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアは、16日に取り扱いを表明。予約の受付は4月17日に開始しており、Appleは4月24日、3キャリアは4月27日の発売を予定する。
SEのコンセプトは換骨奪胎、11シリーズの頭脳を持った新世代のSE
初代iPhone SEは、iPhone 5やiPhone 5sと同じ本体に、iPhone 6s、6s Plusと同等のプロセッサを詰め込んだ1台だったが、第2世代では、ベースとなるデザインをiPhone 6からiPhone 8まで続いた4.7型のものに変更した。4年にわたって採用されてきたことからも分かるように、4.7型のiPhoneはユーザーからの人気が高く、累計販売台数は5億台を超えていたという。
長く販売されてきただけに、「4型の初代iPhone SEこそがiPhone SE」というイメージを持っている向きもあるかもしれないが、そもそもiPhone SEは換骨奪胎がコンセプトの端末。現行モデルの中では相対的にコンパクトで、中身は最新のiPhoneと同レベルのパフォーマンスを持ち、それでいて手に届きやすい価格で販売する普及モデルというのがiPhone SEの原点だ。第2世代のiPhone SEでも、このコンセプトはブレていない。
機能面の解説の詳細は別の記事に譲るが、第2世代iPhone SEはiPhone 8などと同じボディーの中に、iPhone 11シリーズと同じプロセッサである「A13 Bionic」を詰め込んでいる。ベースモデルが異なるため、Face IDや深度の測定に必要なTrueDepthカメラは非搭載だが、プロセッサや機械学習の力をフルに使って、インカメラでのポートレートモードにも対応した。同様に、向上した処理能力を生かし、「スマートHDR」に対応するなど、カメラの画質も向上しているという。
iPhone 11シリーズと比べるとコンパクトで、かつプロセッサは同じ。それでいて価格は64GB版が4万4800円(税別)からと、税込みでも5万円を下回るリーズナブルさを実現している。カメラやディスプレイなどには大きな違いもあるが、同じプロセッサを搭載したiPhone 11 Proシリーズと比べ、半額以下というのはインパクトが大きい。姿は変わったが、iPhone SEとしての定義はしっかり満たしているというわけだ。
価格だけでなく、デザインでもラインアップの多様性を残す
Appleは、新モデル発売後に旧モデルを値下げし、ラインアップの広さを維持する戦略を取っているが、長く販売されてきたiPhone 8、8 Plusは、iPhone SEの登場によって終売となった。iPhone 8、8 Plusが発売されたのは2017年9月までさかのぼる。足かけ2年半にわたって現役モデルとして販売されてきた。
一方で、当時のプロセッサは「A11 Bionic」で、最新モデルと比べるとやや非力。カメラの画質や通信性能に関しても、最新モデルと比べると見劣りする部分が多い。OSのサポート期間を加味すると、向こう2年、3年と使うには心もとないのも事実だ。
ただし、それ以降に登場したiPhoneは、iPhone Xが原型になり、全てが全面ディスプレイを採用している。旧モデルを残しただけでは、人気の高かったホームボタンがある4.7型のiPhoneがラインアップから消滅してしまうことになる。中身をアップグレードしつつ、形状も含めたラインアップの広さを維持する――第2世代のiPhone SEが生まれた背景には、こうした思惑があると考えられる。
調査会社の米Gartnerが3月3日(現地時間)に公開したレポートによると、iPhoneの販売台数は4四半期連続で減少していたが、2019年第4四半期(2019年9月から12月)では前年同期比で増加に転じたという。iPhone XRから値下げしたiPhone 11を含む、ラインアップ全体での魅力が増した結果だが、2019年以降のAppleは高級化路線を小休止し、販売台数とのバランスを取ろうとしているようにも見える。iPhone SEの投入よって、販売台数増の傾向には拍車を掛けることができるかもしれない。
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