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5Gで医療はどう変わるのか? ドコモが進める「遠隔医療」の取り組みを聞く5Gビジネスの神髄に迫る(3/3 ページ)

オンライン診療に代表される医療の分野は、5Gのソリューションとして大きな期待が持たれている分野の1つでもある。NTTドコモは、5Gをオンライン診療ではなく「遠隔医療」に活用する取り組みに力を入れているという。遠隔診療とは一体どのようなもので、なぜドコモは5Gで遠隔医療を目指しているのか?

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5Gで「遠隔手術」は本当に実現できるのか?

 では、5Gの将来的なユースケースとしてよくアピールされている遠隔手術は、今後本当に実現できるのだろうか。既に「ダヴィンチ」などの手術支援ロボットが存在することから、5Gネットワークを通じて執刀医がそれらを遠隔操作することでの実現が想定されるが、奥村氏は「一足飛びでそこに行くことはないと考える」と答える。

 その理由は、やはり電波を使用した通信回線である以上、回線品質が劣化する可能性があることから、何らかの原因で情報がうまく伝達できなくなる可能性があるためだ。そのため、遠隔手術の実現には、情報伝達がうまくいかなかかったときのため、何らかの形でバックアップを用意しなければ実用化は難しいようだ。

 奥村氏はそのバックアップの例として、患者のすぐそばに執刀医を配置し、飛行機における機長と副機長のように、回線状況に応じてコントロールする医師を切り替えることで安全性を確保するという方法を挙げる。そうしたステップを踏み、徐々に安全性を高める手段を確立しながら移行していくこととなるため、われわれが5Gで思い描く未来を実現するには、まだまだ時間を要する可能性が高いようだ。

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