端末販売で大打撃を受けたKDDI 低価格5GスマホとiPhoneが突破口に?:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)
KDDIの通信事業は、コロナ禍の中でも需要が増していることもあり、業績自体は堅調だった。一方で端末販売は大打撃を受けた。電気通信事業法の改正も影響を及ぼした。特に第1四半期は5Gの立ち上げ直後で、インフラの移行計画にも影響を与えかねない。
徐々に戻る販売状況、低価格モデルとiPhoneで秋から再始動
一方で、緊急事態宣言が終わり、auショップの活動も再開している。第2四半期の7月以降は、「だいぶ販売状況が戻ってきた」(同)という。8月5日には、約6万円と価格の安いZTEの「ZTE a1」が発売を控えており、Xiaomiの「Mi 10 Lite 5G」も夏に販売を開始する予定だ。価格を抑えたミドルレンジモデルが、販売にはプラスになる可能性もある。
高橋氏は、「最初の5G端末は高いので、もう少し単価の安い端末をラインアップにしっかり入れていくことをやらなければいけない」と語り、価格を抑えた端末を強化していくことを示唆する。
コロナ禍の影響を受け、出足が鈍かったKDDIの5Gだが、エリアについては、順調に広がっているようだ。高橋氏は「端末販売についてはコロナの影響もあって厳しいが、基地局の建設工事は順調に進んでいる」と自信をのぞかせた。年度末の2021年3月末には約1万局に基地局を拡大。2022年3月末には、5万局と一気に数を5倍に増やす計画だ。
KDDIは5Gを開始した3月時点で、2021年3月末に1万局、2022年3月末に2万局超の基地局開設計画を発表していたが、大きく上方修正した格好だ。基地局数を大幅に増やせるのは、地方でのインフラシェアリングや既存周波数帯の転用を活用するため。KDDIはソフトバンクと共同で、5G JAPANを設立しており、地方での基地局設備を相互利用する計画。「ソフトバンクとの5G JAPANもすこぶる順調で、地方を中心に対象局も見えてきたので、これから工事を進めていく」(同)という。これに、既存周波数帯の転用を加えて加速していく」(同)というのがKDDIの方針だ。
こうした状況を踏まえ、「再出発を秋からできるよう、着々と準備を進めている」(同)。秋以降には、5G対応のiPhoneも発売するとウワサされており、端末ラインアップはさらに厚くなる。高橋氏は「iPhoneが対応するかどうかは臆測の域を出ていないが、そうなった場合、かなり力を入れていかなければならない」と決意を語った。
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