ahamo対抗で料金プランを改定したy.u mobile 強みは「U-NEXT」にあり:MVNOに聞く(1/3 ページ)
MVNOサービス「y.u mobile」は、U-NEXTとのサービス・ポイント連携を売りにしつつ、料金プランを2つに絞ってシンプルさを訴求してきた。3月からはahamoに対抗する形で料金プランを改定。その狙いをY.U-mobileの代表取締役 鹿瀬島礼氏に聞いた。
MVNOに対する逆風が吹く中、2020年3月に“再スタート”を切ったサービスがある。それが「y.u mobile」だ。このMVNOは、USEN-NEXT HOLDINGSとヤマダ電機の合弁会社であるY.U-mobileが運営。U-NEXTとのサービス・ポイント連携を売りにしつつ、料金プランを2つに絞ってシンプルさを訴求してきた。購入したデータ容量が使わない限り、いつまでも残る「永久不滅ギガ」も、同サービスの特徴だ。
一方で、2020年12月には、ドコモがオンライン専用料金プランの「ahamo」を発表。大手キャリア各社が、これに対抗する形で、値下げが進んでいる。低容量の料金プランはMVNOに近い水準になりつつあり、打撃は大きいとの見方が強い。そんな状況下で、y.u mobileはいち早く対抗策を打ち出した。同社は、1月19日に料金値下げを発表。現行の2プラン構成は維持しつつ、それぞれ金額を下げ、データ通信の容量を増加させる。新料金プランは3月1日に開始する。
もともと3GBだった「シングルプラン」は、データ容量を5GBに上げつつ、料金は1690円(税別、以下同)から1490円に値下げする。もう1つの「シェアプラン」は、20GBの容量は変えずに、5990円から3980円~に金額を変更。シェアプランは、2回線まで追加料金なしで利用できるため、1人あたりに換算すると1990円になる。1990円のU-NEXTが付くため、映像サービスを楽しみたい人にはお得なプランといえる。料金プラン改定にいち早く踏み切ったY.U-mobileの代表取締役 鹿瀬島礼氏に狙いを聞いた。
3GBでは少ないという声があった
―― 最初に、値下げの背景を教えてください。やはり、ahamoでしょうか。
鹿瀬島氏 きっかけとしては、確かにahamoが出てきたことです。サバイブするために何か考えていかなければいけなかったのは大きかったですね。2020年3月にサービスを開始し、ユーザーの声として、「3GBではいささか少ない。もう少し上げてほしい」というものがあったのも事実です。5GBにするのか、7GBがいいのかは、かんかんがくがくと議論しましたが、契約プラン別の割合と、実際のデータ使用量の割合を見ると、65%強の方が5GB以内です。1つの線として、5GBがあると考えました。
もう1つの声としてあったのが、月額料金です。お求めやすい金額はどれぐらいかを考えたとき、1500円以上になってしまうとやはり厳しい。野村総研の資料だと、平均で7GBとなっていたので、7GBで1500円以下にするのが最も望ましかったのですが、最大公約数を取り、5GBを1500円以下にすることにしました。
―― ahamo対抗になるのは、20GBのシェアプランの方でしょうか。
鹿瀬島氏 金額は意識しているかといえば意識していますが、ドコモからは帯域を借りているため、品質面ではどうしても勝てません。勝ち残るための強みとしてあるのは、U-NEXTを持っているところです。ドコモの2980円よりは高くなりますが、シェアプランはU-NEXTをバンドルした形で、フルスペックの映像サービスが付いてきます。また、目玉としては、今まで2枚目のSIMにお金をいただいていましたが、こちらも無料でご提供するようにしました。
U-NEXTは、既にユーザー数が200万を超えています。y.u mobileは、U-NEXTとID、パスワードを連携しているので、既存のU-NEXT会員であれば、あたかもオプションサービスのように申し込めます。別の言い方をすると、1990円でU-NEXTを使っている方なら、追加で1990円支払うだけで2枚のSIMカードが持てます。追加料金はかかりますが、お子様がいらっしゃるご家庭であれば、追加で最大4枚のSIMカードを持つことができます。3枚目から1枚ごとに1000円かかりますが、4人で利用すればかなり安い金額になります。
MNOには通話料金を値下げしてほしい
―― 値下げができた理由ですが、やはり将来原価方式で出ている先々の原価を反映したということでしょうか。
鹿瀬島氏 帯域あたりの接続料が下がるのと、月額の基本料もある程度下がってくることが想定されます。あとは、私どものサービスが始まってからご好評で、ある程度のユーザーの数が集まり、ボリュームが見えてきたこともあります。時間帯別に、これぐらいの帯域があればご満足いただけるといった基礎データも見えてきました。そういったところの掛け合わせですね。すごく利益が出るかというとそうではありませんが、何とか商売はできています。
武田総務相もおっしゃっていましたが、接続料はさらに下がる可能性があります。これらを実現していただければ、私どもも、もっとユーザーに向き合える形になります。料金を安くするのか、接続のスピードをさらに上げていくのかはありますが、どちらかの方法を取ることができます。
―― MVNO委員会の要望書には、速やかに実行してほしいとありました。こちらについては、どうお考えですか。
鹿瀬島氏 MVNO委員会と足並みをそろえているので、同意見です。ただ、私どもが戦えるのはU-NEXTの部分だと思いますので、こちらの特徴はしっかり打ち出していこうと思います。
―― 接続料や基本料、通話料などいろいろなところがありますが、どこを特に強く値下げしてほしいでしょうか。
鹿瀬島氏 基本料もさることながら、やはり通話料です。一部を秒課金にしたり、交換機側でプレフィックスを付与したりといった話がありますが、それができれば通話料の削減になります。MNOは1500円で音声通話定額のオプションを出していますが、原価を考えると、プレフィックスの中継電話では、とても1500円では出せません。
―― やはり音声通話のニーズは高いのでしょうか。
鹿瀬島氏 コンシューマーのお客さまは5分定額や10分定額で9割ぐらいカバーできるかもしれませんが、グループが23社ある中でコンシューマー事業をやっているのはU-NEXTとy.u mobileだけです。グループでは、法人ニーズとして、業務端末の掘り起こしをやっていますが、そうなるとやはり電話は必要になります。
また、私たちのお客さまの構成は、40代が多く、次が50代や30代になりますが、50代の方から多くいただいているのが、かけ放題的なサービスが欲しいという声です。現状では2700円で出していますが、やはり高いと感じるようです。
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