2700円に値下げをした「ahamo」の戦略 “サービスの簡略化”による混乱も?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ドコモは3月1日に、ahamoの料金を2700円(税別)に値下げすることを発表した。値下げ幅は280円と少額だが、総額表示が義務化される4月以降、3000円を下回る2970円でアピールできるのは大きな差になりそうだ。一方で、ahamoのサービス内容は既存の料金プランから大幅に簡略化されているため、混乱も予想される。
既存のサービスとは大きく違うオンライン専用プラン、開始当初は混乱も?
一方で、ahamoはドコモにとって初めてのオンライン専用プランになり、サービス内容も既存の料金プランから大幅に簡略化されているため、混乱も予想される。コンテンツの決済は、その1つだ。鳥塚氏によると、「従来のspモード決済には対応している」というが、コンテンツ決済サービスには非対応になるため、ドコモの既存プランから移行すると、月額課金登録されているサービスは自動で解約になってしまう。
鳥塚氏は「コンテンツプロバイダーと連携を取りながら、事前に支払いの手段を変えていただくアナウンスを進めている」というのが、間違って解約してしまうユーザーが出てきてしまう恐れはある。また、Apple Watchのセルラーモデルを利用するためのワンナンバーサービスや、イマドコサーチの解約などは、事前に行っておく必要があるという。留守番電話サービスや転送でんわサービス、メロディコールといった、ネットワークサービスが利用できない点にも、注意が必要だ。
特に気を付けたいのが、故障や紛失で端末が使えなくなってしまったときの対応だ。ahamoでの修理対応は、「オンライン修理受付サービス」に一本化される。ケータイ補償サービスは対象になるものの、故障、紛失の際に、ショップに駆け込んですぐに代替機を用意してもらうといったことはできない。ネットにアクセスできる端末がスマートフォンしかないと、その時点で手の打ちようがなくなってしまう。また紛失の場合、SIMカードの再発行が必要になる。ahamoにはeSIMが未導入のため、数日間通信ができないケースも考えられる。
こうした点が十分周知されているかといえば、答えはノーだ。発表当初、キャリアメールがないことはトレードオフとして大々的に告知されたが、それ以外のサービスに関する情報は小出しになっている。機種変更の手続きも6月までできないなど、導入を急いだしわ寄せが来ている印象を受ける。これは、povoやLINMOも同じだ。オンライン専用の20GBプランは、MVNOのように、割り切るところを割り切ってコストダウンしたサービスだが、実態がユーザーに伝わり切っていないところには、一抹の不安を覚える。
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