なぜユニクロが自ら決済サービスを提供するのか? 「UNIQLO Pay」の狙い:モバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)
ユニクロが1月19日に「UNIQLO Pay」の提供を開始した。ユニクロ店頭や直営サイトでバーコードをかざすことで決済できる。ユニクロが自ら決済サービスを利用する理由は「スムーズな会計のため」とシンプルだ。
セキュリティの観点から、登録できる銀行は厳選
これに加えて、「セキュリティを重視した」というのも、UNIQLO Payを導入した理由の1つだと同社は話す。決済手段の登録には2要素認証として携帯電話へのSMSを使って確認をしている。さらに、三井住友銀行と協業することで、「セキュリティの部分をしっかり開発した」(同)という。
2020年には、多くのコード決済サービスで銀行口座振替における不正利用が発覚して社会問題化したが、こうした決済サービスのセキュリティ部分では当然、ユニクロは関わっていない。それに対して、ユニクロ自身が安全性に関わって決済サービスを開発したかったという。実際、サービス開始は一連の事件を踏まえて見直しを図ったことで延期されたという。
セキュリティの観点から、登録できる銀行もユニクロの基準で一定レベル以上と判断した銀行だけに絞っているという。仮に不正利用が発生した場合、セキュリティの不備があればユニクロが補償する体制になっているそうだ。
大々的にはアピールせず
UNIQLO Payによる会計の利便性、スピードの向上、セキュリティへの関与に加え、「働く人の負担も減らしたい」という狙いもあるという。これまでのRFIDやセルフレジといった取り組みの一環だ。「RFIDが特に働く人の負担が減ったのではないか」(同)とのことで、これに加えてセルフレジ、UNIQLO Payで負担が減らせれば、その分の働き手が接客などに時間が取れて、「新しい働き方が購買の利便性向上につなげられるのでは」(同)と期待する。
UNIQLO Payは、他の決済サービスとは異なる位置付けのサービスだ。考え方としてはハウスカードであり、アプリ会員証と一体化したことで、会計時の手間を省くことを目指したもの。
ただ、「いつも新サービスを始めるときはサイトやSNSで大々的にアピールするが、今回はしていない」(同)というUNIQLO Payは、現時点では「様子見」という位置付けになる。UNIQLO Payがハウスカード止まりなのか、それ以上の存在を狙っているのか、今後の同社の戦略を注視したい。
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