「razr 5G」を試す 荒削りな部分もあるが、“縦折り”ならではの体験は魅力:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ソフトバンク初のフォルダブルスマートフォンとして、モトローラの「razr 5G」が日本に上陸する。折りたたんだ状態のrazr 5Gは、ポケットにしまいやすく快適に持ち運べる。折りたたんだままアウトカメラで撮影できるのはメリットだが、約18万円という価格を考えると、シングルカメラには不満を覚えた。
カメラには独自の工夫がある一方で、物足りなさを感じるところも
カメラは4800万画素のシングルカメラを搭載しており、4つのピクセルを1つにして撮ることが可能。撮った写真は1200万画素相当になるが、ピクセルのサイズが大きくなるため、暗所でもキレイな写真が撮れる。AIによる補正もかかり、料理がかなり暖色気味になったり、青空がパッキリと写ったりする。こうした処理は、昨今のスマートフォンに搭載されるカメラのトレンド。シングルカメラながら、ポートレートモードで背景をボカすことも可能だ。
セルフィー以外でも、先に挙げたクイックビューディスプレイを生かすことができる。「アイキャッチアニメ」はその1つで、人物を認識すると、クイックビューディスプレイにイラスト調の顔が表示される。これは、子どもを撮影にする際に、注意を引けて便利な機能だ。
実際、筆者も子どもを撮影したときに、すぐにアイキャッチアニメに気付き、カメラをしっかり見てくれた。当初は筆者もこの機能を知らず、子どもに「顔が映ってる!!」と言われて意味が分からなかったが、クイックビューディスプレイをのぞいてみて納得した次第だ。撮影した写真のプレビューを表示して、相手に写り具合を確認してもらうこともできる。
難点は、シングルカメラであること。ミドルレンジ以上のスマートフォンは、そのほとんどが超広角や望遠など、複数のカメラを備えているが、razr 5Gはシングルカメラのため、画角を切り替えることができない。望遠は画素数の高さを生かしたデジタルズームでもいいが、写っていないものまで勝手に再現することは不可能だ。約20万円(SIMロックフリー版は約18万円)という本体価格を考えると、最低限、超広角と広角のデュアルカメラにしてほしかったというのが本音だ。
プロセッサには、QualcommのSnapdragon 765Gを採用する。7シリーズのSnapdragonはミドルレンジの中でも上位の端末に搭載されるもので、処理能力は高い。ただし、Snapdragon 865を積んだ他社のハイエンドモデルと比べると、ベンチマークアプリなどのスコアは一段劣る。操作感は非常によく、一般的なアプリを使っていれば違いは分からないかもしれないが、プロセッサの性能をギリギリまで使うゲームでは画質などの差が出てくる可能性はある。
持ち運びやすさと大画面を両立させるというコンセプトは達成できているrazr 5Gだが、カメラ機能に物足りなさを感じるなど、不満がないわけではない。おサイフケータイに非対応なのも残念なところだ。また、razr 5Gはフィーチャーフォン時代と同様、開いた状態と閉じた状態のどちらかで使うことになる。開閉の途中でカチッと止まるヒンジではないため、机やテーブルの上で使うことはできない。その意味で、形状の近いGalaxy Z Flip 5Gより、コンセプトはフィーチャーフォン寄りだ。
フォルダブルスマートフォン自体がまだまだ未成熟なため、razr 5Gにも粗削りな部分があることは否めない。一方で、デザイン性の高さや、持ち運びやすさといったモトローラの狙いは、きちんと達成できているように思える。カチッと端末が閉じるときの気持ちよさや、フィーチャーフォン時代のRAZRをほうふつとさせる形状など、他の端末に代えがたいところも多い。最近のスマートフォンに飽き飽きしているユーザーにこそ、ぜひ触ってみてほしい1台といえそうだ。
関連記事
かつての「名ケータイ」を思い出す――写真で解説する「motorola razr 5G」(ソフトバンクモデル)
モトローラが、国内向けとしては初めての5Gスマートフォンを投入する。この記事では、そのソフトバンク向けモデルを写真を交えて紹介する。折りたたみスマホ「motorola razr 5G」がソフトバンクから登場 実質約10万円
モトローラ・モビリティ・ジャパンが3月3日、折りたたみ型の5Gスマートフォン「motorola razr 5G」の日本導入を発表。国内キャリアではソフトバンクが独占販売する。使わないときは折りたたんでコンパクトに持ち運び、大画面を使いたいときは開いて利用する。モトローラ、SIMフリー「motorola razr 5G」を3月26日に発売
モトローラ・モビリティ・ジャパンは、折りたたみ型の5Gスマートフォン「motorola razr 5G」のSIMロックフリーモデルを3月26日に発売する。MOTO STOREの価格は17万9800円(税込み)。+Style、「motorola razr 5G」の限定カラー「Blush Gold」を国内独占販売
+Styleは、折りたたみ5Gスマホ「motorola razr 5G」の限定カラー「Blush Gold」を国内独占販売。3月19日から+Style本店で先行予約を開始し、4月中旬に順次販売していく。価格は17万9800円(税込み)。フォルダブルスマホになって帰ってきたMotorolaの「razr」、使い勝手はどう?
CES 2020のLenovoの展示会場に、Motorola製のAndroidスマートフォン「razr(レーザー)」が出展されていた。世界的な大ヒットを記録したフィーチャーフォン「RAZR」のデザインを受け継ぐモデルだ。世界から集まった取材陣は、razrを手にして懐かしがったり、楽しそうに折り曲げたり、開いたり……。関心の高さをうかがえた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.