「ワイヤレスジャパン 2021」開幕 ローカル5Gの最新動向が分かる展示をチェック:ワイヤレスジャパン 2021
通信の最新動向が分かる展示会「ワイヤレスジャパン 2021」が東京ビッグサイト・青海展示棟で6月2日から4日まで開催されている。会場ではローカル5Gを手掛ける事業者も出展しており、ローカル5Gのソリューションや技術動向を把握できる。ハードウェアやソリューションで気になった展示を紹介する。
通信の最新動向が分かる展示会「ワイヤレスジャパン 2021」が東京ビッグサイト・青海展示棟で6月2日から4日まで開催されている。会場ではローカル5Gを手掛ける事業者も出展しており、ローカル5Gのソリューションや技術動向を把握できる。
京セラグループのKCCSモバイルエンジニアリングは、ローカル5Gで利用できる京セラ製「5Gコネクティングデバイス」や、各種ネットワーク機器を展示している。
中でも目を引いたのが、イタリアJMA製の屋内用ミリ波無線機「IOTA」。ミリ波は直進性が強いため、屋内の遮蔽(しゃへい)物に当たると電波が減衰しやすいが、IOTAではデジタルビームフォーミングと円偏波を利用して障害物の周りに反射させ、複数のビームを同時に使用することで屋内でも広範囲をカバーできるという。
KCCSは2020年からJMAと協業しており、IOTAはキャリアやローカル5G事業者への納入を視野に入れている。同社によると、JMAの製品は他社に比べて低コストで運用できるという。ローカル5Gは工場を始め屋内での導入が多く想定されているため、IOTAのような製品は多くの企業から引き合いがありそうだ。
沖電気工業は、無線局の免許申請や通信環境の検証などのローカル5G支援サービスを提供しているが、ソリューションも提供すべく、自社の本庄工場で実証実験を行っている。1つが製造現場の完成品検査。高精細カメラで撮影した映像をローカル5G経由でAIエッジに送信し、画像処理をすることで製品に問題がないかを判定する。これによってミスの見逃しを防ぎ、作業時間を約15%短縮できたという。
もう1つが自動運転を支援する危険予測で、こちらも本庄工場の道路で実験している。道路に設置したカメラとLiDARスキャナーが人や物体を検知するとAIエッジに送信し、ローカル5Gを介して車体に通知をする。これにより、車載センサーでは検知できない人や物体を検知し、未然に事故を防ぐことが期待される。現在は車の走行スピードが低速でないと通知が間に合わず、いかにタイムラグをなくして通知できるかが課題としている。
レンジャーシステムズは、ローカル5GとプライベートLTE(sXGP)のソリューションを展示。同社はLTEと5G(NSAとSA)をサポートする「WG2モバイルコア」というコアネットワークを手掛けている。SaaS型で提供しているため、企業は専用のハードウェアを購入せずに、セキュリティがより強固なプライベートネットワークを構築できる。現在提供しているのはLTE用のコアネットワークだが、2021年内に5Gのコアネットワークも実装するとのこと。
ファーウェイ・ジャパンは、ローカル5GのNSA(ノンスタンドアロン)/SA(スタンドアロン)に対応したCPE(ルーター)を展示。それぞれミリ波に対応したものと、Sub-6に対応したものがあり、ミリ波対応製品の方が小型だ。ミリ波の基地局やベースバンドユニットも紹介。いずれも国内のローカル5Gでも運用されているという。
同時開催されているワイヤレス・テクノロジー・パークでは、NICT(情報通信研究機構)が高度化ローカル5Gの実証実験について紹介している。ローカル5Gではサービス提供可能エリアが限られるため、列車や自動車などでの移動中だと、接続する基地局を探すのに時間がかかり、接続遅延が発生しやすくなる。
そこで、キャリアが提供する公衆5G網を経由して自営網にアクセスすることで、高速に接続開始できる技術を開発。具体的には、VPNを使ってキャリアのセル情報を取得するという。NICTは2020年4月にJR東日本の烏山線(栃木県)にて実証実験を行い、公衆網経由で通信したところ、これまで4分以上掛かっていたところ、平均5秒以下で接続できたという。この技術では、公衆網と自営網を切り替えて通信することもできる。
ローカル5Gはそもそも特定敷地内で提供するものだから、移動時に接続するニーズはないのでは? と思われがちだが、鉄道会社からは、列車の移動中に車両のメンテナンス情報などを安全に送信したいというニーズがあるという。
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