歴代で最も買いやすい折りたたみスマホに 「Galaxy Z Fold3 5G/Z Flip3 5G」の狙い:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
新たに発表した「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」は、2020年のモデルから価格を引き下げ、利用シーンを広げる防水に対応。日本ではフォルダブルスマートフォンとして初めておサイフケータイに対応する。日本での戦略もグローバルと同じで、フォルダブルのメインストリーム化を狙う。
ドコモへの拡大やおサイフケータイ対応もメインストリーム化の一環、ブレーク間近のフォルダブルスマートフォン
ここまではグローバル共通の話だが、日本版ならではのトピックもある。ドコモでの販売と、おサイフケータイへの対応がそれだ。初代Galaxy Foldは、当初の発売日直前に設計上の問題が発覚し、投入が大幅に遅れた上に、生産台数も限られていたことで、日本ではau限定の発売になった。Galaxy Z Fold2 5G/Flip 5Gもauの独占販売は続いていたが、Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gはついにドコモが取り扱いを表明。Galaxy Sと同様、2キャリアで展開される。
ドコモは2000店舗のドコモショップを擁し、契約者数も国内トップ。KDDIが独占提供していたときと比べ、少なく見積もっても販売力は2倍以上に上がった格好だ。同じ端末をドコモとauの2キャリアが扱えば競争原理が働きやすくなり、これまで以上に販売にも力が入る可能性は高い。日本でも、フォルダブルスマートフォンが“飛び道具”的なカテゴリーから脱却しつつあるといえる。裏を返せば、これはユーザーにリーチしやすくなったことを意味する。
特殊な端末のカテゴリーを抜け、通常のハイエンドモデルと同じように販売されるには、おサイフケータイへの対応も欠かせない要素だ。2020年までのGalaxy Zは、販売することを最優先していたきらいがあり、日本向けのカスタマイズは周波数対応など、最小限にとどめられていた。防水と同じだが、おサイフケータイに対応していても購入する理由にはならないが、購入の候補から外れる可能性はある。他のハイエンドモデルが、横並びで対応しているからだ。こうした機能からも、サムスンがGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gをメインストリームに押し上げたい意図がうかがえる。
一般のユーザーにとってより身近な存在になったGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gだが、サムスンの狙いは当たり、先行して発売されている他の国や地域では、軒並み販売が好調だという。サムスン電子ジャパンのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、小林謙一氏によると、同社のお膝元の韓国では、過去最大の27万台以上を販売しているという。サムスンのシェアが高い米国でも、事前予約の台数だけでGalaxy Zシリーズの全販売台数を上回り、好スタートを切った。インドでは、2020年に発売されたGalaxy Note20 5Gの2.7倍もの予約が入ったという。
日本ではどうか。2019年10月の電気通信改正以降、ハイエンドモデルの市場規模が縮小し、今の主流は3万円台から5万円ぐらいまでのミドルレンジモデルだ。こうした端末と比べると、低価格化したとはいえ、Galaxy Z Fold3/Flip3 5Gはまだまだ高額の部類に入る。2機種とも魅力は増したが、一気に浸透するとは考えづらい。一方でここまで述べてきたように、フォルダブルだからといって気構える必要がなくなってきている。特にGalaxy Z Flip3 5Gは価格も他のハイエンドモデルに近づき、歴代で最も買いやすいフォルダブルスマートフォンに仕上がっている。プロモーション次第では、大化けする可能性も十分ありそうだ。
関連記事
折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」が10月上旬に日本上陸 ドコモとauが取り扱い
サムスン電子のフォルダブル(折りたたみ)スマートフォンの最新モデルが、日本でも発売される。従来はau(KDDIと沖縄セルラー電話)のみの取り扱いだったが、このモデルからはNTTドコモも取り扱う。【更新】ついにおサイフケータイ対応! 「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」の見どころをチェック
10月上旬、「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」がNTTドコモとauから発売される。おサイフケータイや防水に対応したことで、日本でも注目が集まっている両モデルだが、いち早く実機に触れるチャンスを得たので、気になる部分をチェックしてみようと思う。Samsungが「Galaxy Z Fold2」の詳細を発表 初号機から何が変わった?
Samsung Electronicsが9月1日、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold2」の詳細を発表した。メインディスプレイとカバーディスプレイが大きくなり、マルチウィンドウの使い勝手が向上。本体を半開きにして固定できる「Flexモード」にも対応した。「Galaxy Z Flip」の実機に触れる 縦長+小型だけがメリットじゃない
Samsungが、縦に折りたためるスマートフォン「Galaxy Z Flip」を発表。開くと縦長の6.7型ディスプレイが現れ、閉じると正方形に近いコンパクトな形状になる。Galaxy UNPACKED 2020のイベント会場に展示されていた実機を写真とともにお伝えする。「Galaxy Fold」の使い勝手をじっくりと検証する 24万円の価値はある?
サムスン電子の折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」が10月25日に発売された。閉じた状態は4.6型のディスプレイが表示され、開くと7.3型のワイドなディスプレイを利用できるのが最大の特徴。約4日と短期間ながら試用する機会を得たので、実際の使用感をお伝えしたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.