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キャリア3社が公取委からの要請に対応 端末購入プログラムや販売代理店の取引などで

公正取引委員会が6月に行った改善要請を受け、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が対応内容を発表した。主に端末購入プログラムが回線を契約していなくても利用できることの明示や、販売代理店への端末販売価格やプラン販売契約数についての対応が盛り込まれている。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは10月13日、公正取引委員会が6月に公表した「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」の内容に基づく改善要請への対応を発表した。

 公正取引委員会の改善要請は、大きく分けて「端末購入プログラム」と「販売代理店との取引」の2つ。各社の発表内容は以下の通りだ。

NTTドコモ

  • 端末購入サポート(スマホおかえしプログラム)

 回線契約者でなくても使えることが分かるように、Webサイトや店頭POP、チラシでプログラムのロゴ付近に説明を追加した。加入申込書や利用者向けのメールで、解約後の払い残し金を免除できることを周知する。メールは11月以降対応。

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NTTドコモは具体的な改善例をリリースで提示
  • 販売代理店の評価制度

 販売代理店の評価基準を変える場合、通知日を前倒しするなどの十分な予告期間を設けるようにルールを整備。販売代理店から評価制度などに関する意見を募集する体制を整え、意見を反映しやすい仕組みを作る。

 販売代理店に対して大容量料金プランなどの販売数を評価する制度はなく、ユーザーが最適なプランを選択できる環境を整備するよう努める。

  • 販売代理店による携帯電話の端末料金の設定方法

 毎月の割引キャンペーンを販売代理店に通知する際、端末販売価格を自由に設定できることを周知するなど、販売代理店による自由な価格設定を妨げていないことを確認した。新しい営業担当者向けの研修や社内周知などを通して、ルール順守の意識付けを継続する。

 また、販売代理店への卸価格がオンライン直販価格を下回るように設定することで、販売代理店が端末の価格を自由に設定できるよう改善を進めている。

  • 販売代理店における独自商材の取り扱い

 独自商材の取り扱いに関する基準を、商材の安全性の確保、品質の保持、ブランドイメージの保持などの観点を踏まえ、制限を緩和した。基準は適切に運用されており、今後も販売代理店に配慮した運用に努める。

KDDI

  • 端末購入サポート(スマホトクするプログラム)

 回線を契約していなくても、オンラインでプログラムを利用可能とする改善策を実施した。加えてユーザー向けにWebサイトや店頭POP、チラシなどの印刷物と重要事項説明書などで、回線を契約していなくても利用できることを分かりやすくする。回線契約が不要なプログラムに加入して回線を契約しているユーザーには、回線を解約してもプログラムが利用できることをSMSで周知する予定。

 新しい機種へ買い替えずに、プログラムを利用して購入した端末を返却することで特典が付与される「スマホトクするプログラム」の提供を9月17日に始めた。新しい端末への買い替えに使っていた端末の返却が必要だった「かえトクプログラム」は9月16日で停止。

  • 販売代理店の評価制度

 評価基準の変更などを行う場合、販売代理店への十分な予告期間と検討期間を担保する。6月以降、販売代理店に対する大容量プランなどの販売数に関する指標を削除した。

 営業担当者を通じた販売代理店からの評価制度などに対する意見収集に加え、新たに申告窓口を設置することで意見を募り、今後の施策に意見を反映する予定。

  • 販売代理店による携帯電話の端末料金の設定方法

 9月から、販売代理店での端末販売価格の設定の自由度を確保する改善策を実施している。

 販売代理店には価格を自由に設定できることの周知を徹底する他、営業担当者への研修などを通じ、販売代理店による端末の販売価格を拘束するような強制、指示、要請などを行わないよう改めて周知を徹底する。

  • 販売代理店における独自商材の取り扱い

 独自商材の取り扱いに関する一定の基準を設け、販売代理店の申請が基準を満たす場合は取り扱いを認める改善策を実施する予定。

ソフトバンク

  • 端末購入サポート(トクするサポート+)

 ホームページや店頭POP、店頭ポスターなどで用いるプログラムのロゴ付近に、回線を契約していなくてもプログラムが利用できることを分かりやすく表示。重要事項説明やプログラム加入者向けのメールとダイレクトメール、加入者向けサイト「My Softbank」などで、回線を解約しても特典を受けられることを周知する。

 9月24日以降、残った割賦代金の支払いが不要となる特典を受ける場合に新しい端末を購入する条件を撤廃した。

 加えて回線を契約していないユーザーに向け、オンラインで端末を販売する予定。

  • 販売代理店の評価制度

 評価基準の変更などを行う際、販売代理店に対する十分な予告期間と検討期間を担保する。評価制度などに関する意見を募集する態勢を整え、受け取った意見を施策に反映する。加えて料金プランの契約数などに関する評価項目を改定する。

  • 販売代理店による携帯電話の端末料金の設定方法

 販売代理店が端末の販売価格を自由に設定できるよう、端末単体を販売した際の販売奨励金を改定。営業担当者への研修などで、販売代理店の端末販売価格を拘束するような強制、指示、要請などを行わないよう周知を徹底する。

 また販売代理店に対して、販売代理店が端末販売価格を自由に決められることの周知を徹底する。

  • 販売代理店における独自商材の取り扱い

 販売代理店の要望や需要、販売代理店への支援の在り方などの観点を踏まえながら、独自商材を承認する基準を再検討する予定。

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