Opensignalが4キャリアの通信品質を調査 5Gはドコモ、ゲームやビデオはソフトバンクが優秀(1/2 ページ)
Opensignalが、日本の携帯電話ユーザーがネットワークの使い心地をどう感じているかを調査した。今回初めて日本の5Gを調査し、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社について調査した結果を公開している。
世界のモバイルネットワークのユーザー体感を分析しているOpensignal社が、2021年6月1日から8月29日までに得られた情報をもとにした、日本の携帯電話ユーザーのネットワーク体感レポートを10月14日に公表した。同日、日本の報道関係者向けに説明会も開催し、同社の分析担当バイスプレジデント、イアン・フォッグ(Ian Fogg)氏がレポートの内容を解説した。
Opensignalは6カ月ごとにレポートを公表しているが、今回は全体的なユーザー体感レポートに加え、5Gに特化した日本の5G体感レポートも発表した。
全体ではソフトバンクが3部門で1位
まずは4Gや5Gを含む全体的なネットワーク体感レポートから解説した。Opensignalはユーザー体感を測定する場合に「ビデオ体験」「ゲーム体験」「音声アプリ体験」「ダウンロードスピード体験」「アップロードスピード体験」「利用率」の6部門を測定。MNO4社は、それらのうち1つ以上でトップの成績を収めているが、ソフトバンクが3つの部門でトップになっている。
ソフトバンクは前回に続きビデオ体験、ゲーム体験で最も高い評価を得た。LINEやFacebook Messenger、Skype、FaceTimeなどの音声アプリ体験も、楽天モバイルとともに1位の評価になっている。ダウンロードスピード体験ではドコモが平均速度52.4Mbpsで、前回に引き続き1位。楽天モバイルはドコモの半分以下のダウンロードスピードとなってしまっているが、アップロードスピード体験では平均速度13.4Mbpsで、他3キャリアよりも大幅に速くなっている。
日本の5G体感を初めて測定
Opensignalは今回、日本で初めて5Gに特化した体感レポートを発表した。5Gサービスの広がりを示す尺度として、「5G利用率」がある。これはユーザーが有効な5Gに接続している時間の割合を示すもので、3.1%のドコモが他の3社を大きく引き離している。
また、ユーザーが5Gを体感する場所の割合を示しているのが「5G到達率」で、10段階評価となっている。これもドコモが1位だ。現在の日本で、ドコモは多数のユーザーが利用し、かつ多くの場所で5Gを利用でき、5Gサービスへの接続が最も簡単ということになる。
一方、楽天モバイルの5G到達率のスコアは0.3ポイントと非常に低い。フォッグ氏は原因として、楽天モバイルは他の3社と比べて5Gローンチが半年ほど遅れたこと、4Gネットワークの拡張を優先してきたことを挙げている。
5Gの利用率、到達率はこういった状況にあるため、次項で紹介する各分野の評価に対して留意しておきたい。
5Gで映像視聴やダウンロードの体感は?
「5Gビデオ体験」は、5G対応のスマホを持っているユーザーが、有効な5Gに接続してストリーミング映像の品質をどう体感したか測定したもの。これについてはソフトバンクが78.6ポイントで1位。そして、楽天モバイルもそのポイントに近い数値を出している。
フォッグ氏は「楽天モバイルの場合は『信頼区間』が広いのでこういう結果になっている」と説明。信頼区間とは調査結果の精度を知るための統計学用語で、スコアにかなりばらつきがあることを示す。キャリアが5Gネットワークを拡張していき、より多くのユーザーが5Gを使うようになってくると信頼区間が狭くなり、調査結果も変わってくることが予想されるという。
「5Gゲーム体験」でも、1位は100点満点中89.9ポイントを記録したソフトバンクだ。ソフトバンクは「5G音声アプリ体験」でも1位となり、3部門で1位を独占した。
関連記事
Opensignalが4キャリアのネットワーク品質を調査 ビデオやゲームの体験はソフトバンクが優秀
全世界のモバイルネットワークを分析する英Opensignalが、5月11日に「2021年4月-日本のモバイルネットワークエクスペリエンスについての分析報告書」を発表した。楽天モバイルも含めた4キャリアのモバイル回線、世界的に見て品質はどう?
Opensignalが、「2020年10月-日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスについての分析報告書」を公開。2020年6月1日から9月末までに収集された日本の携帯電話事業者4社のデータを分析。スピードと遅延については、ダウンロードではドコモが1位だった。世界約100カ国との比較も紹介された。3キャリアのモバイル回線、品質の差は? 新型コロナウイルスの影響は?
Opensignalが、国内3キャリアのモバイルネットワーク調査結果を発表。ビデオ再生、音声アプリ、上りと下り速度の品質を検証した。新型コロナウイルス感染症に伴う影響について、各国のデータも公表した。楽天のMNOネットワーク、通信速度はどう? ICT総研が山手線で大手3キャリアと比較
ICT総研は、12月24日に山手線4G通信速度実測調査の結果を発表した。全58地点の下り通信速度は楽天が平均35.1Mbpsでトップ、一方「駅ホーム」 29地点の上り通信速度はNTTドコモが37.7Mbpsでトップとなった。ahamoや5G格安SIMはどれだけ速い? 各社11プランで通信速度を一斉テストした
5Gの整備に「ahamo」「povo」「LINEMO」などのキャリア大手各社が展開する低価格プランや格安SIMを提供するMVNOによる5G対応、価格改定など、再編が進むモバイル通信環境。だが、実際のところ速度は出るのか? 昼の休憩時間は働く人のピーク利用時間でもあり、そこで十分に通信を楽しめるプランを筆者が契約する11プランの中から自力で探してみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.