IIJmio「ギガプラン」が好調で純増 ドコモのエコノミーMVNO参画は「問題点が2つある」と勝社長
IIJが2021年度上期の決算を発表。売上高は1090.5億円で前年比7.3%増、営業利益は93億円で前年比77.6%増となった。モバイルサービスは法人向けが堅調に契約数を伸ばし、IIJmioも「ギガプラン」が好調で純増となった。ドコモの「エコノミーMVNO」には現時点では参加する予定はないという。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月5日、2021年度上期の決算を発表した。売上高は1090.5億円(+7.3%)、営業利益は93億円(+77.6%)で増収増益となった。2021年度通期では売上高が2285億円(+7.3%)、営業利益が220億円(54.4%)に上方修正した。
「IIJmio」で4月から提供している「ギガプラン」では、旧プランから値下げをしてARPUが減少しているため、モバイルサービスの売上は25.6億円の減収となった。しかしネットワークサービスや法人向けサービスが増収しているため、トータルでは73.9億円の増収となった。
2023年度の中期営業利益率は、当初9%超を見込んでいたが、業績が好調であることから、10%超に上方修正する。半導体不足の影響について渡井昭久CFOは「部材の調達で課題はあるが、業績で大きなマイナス要素があるという見立てはしていない」と話した。
好調の背景について勝栄二郎社長は「企業のIT化が進んだこと」をまず挙げる。「全てのものがインターネットにつながり、全てのものがインターネットの上に構築される時代がやっと到来した。それに対応するべく、企業がITシステムを強化している。トラフィックも増え回線を太くしないといけないため、IPサービスやセキュリティサービスも伸びている」(同氏)
モバイルについては法人と個人ともに好調であることを勝氏と渡井氏は強調する。MVNEを除く法人事業の売上は48.4億円に上り、前年比で13.6億円増。2021年9月末時点の回線数は121.8万に達した。ネットワークカメラに加え、決済、車載、GPSトラッカー、デジタルサイネージなどの多様なシーンで使われているという。
個人向けモバイルサービスのIIJmioについて、2020年は純減が続いていたが、ギガプランをリリースしてからは純増に戻しており、2021年9月末時点での契約数は107.2万。同年6月末の105.3万から1.9万の純増となった。ギガプランの契約数は2021年9月末時点で55.6万に達し、うち新規契約数は約30%、残りは旧プランからの移行分となる。
勝氏によると、ギガプラン契約者のうち、8割が音声SIMを選び、同じく8割が2GBか4GBのプランを選んでいるという。さらに、9月からは音声通話料金を30秒あたり22円(税込み)から11円に値下げした。「低容量、しかも品質を保って提供することが受けているのではないか」(同氏)
NTTドコモがMVNOのサービスをドコモショップで扱う「エコノミーMVNO」については、勝氏は「正式な提案は別として、話はうかがっている」と話すが、現時点で参画する予定はないという。勝氏は「2つ問題点がある」と明かす。1つが、ドコモショップで扱うことに対して手数料がかかることで、「量販店より高めと感じている」。2つ目が、dポイントの連携が必須となること。IIJmioではmioIDでユーザーを管理しているが、dポイントを連携するとなると、mioIDとdポイントをひも付ける必要があり、相応の時間がかかることが予想される。「今でも検討中ではあるが、そういうこともあり、当初からは参加しない」(同氏)
関連記事
IIJmioは純増に転ずるも減収 LINEMOのミニプランは「現時点で影響なし」――IIJが2021年度第1四半期決算を発表
IIJ(インターネットイニシアティブ)が2021年度第1四半期の連結決算を発表した。個人向けの「IIJmio」は契約者数が純増に転じたものの、料金の値下げによって減収となった。一方で、法人向け事業は一部を除き順調に推移し、全体としては「増収増益」の決算となった。IIJmio「ギガプラン」は約35万契約 2021年度は毎月数万規模の純増を目指す
インターネットイニシアティブ(IIJ)が5月12日、2020年度の通期決算について説明した。モバイル事業は法人向けが引き続き好調だが、個人向け「IIJmio」は純減が続いている。新プランの「ギガプラン」は好調で、2021年度は月数万規模の純増を目指す。勝社長 IIJmio新料金プランは「競争できる」も、キャリアには「公正な原価」を求める
インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月8日、2020年度第3四半期の決算について説明した。業績は好調だが、個人向けMVNOサービスは厳しい戦いを強いられている。2月24日にIIJmioの新料金プランを発表予定だが、キャリアには「公正な原価」を求めていく。ドコモの「エコノミーMVNO」で“弱点”解消なるか 対サブブランドでは収益性が課題
ドコモが2020年12月のahamo発表時にコンセプトを披露していた「エコノミーMVNO」の詳細が決まった。ドコモ自身が提供する料金プランではないが、あたかもドコモ内の料金プランかのように契約できる。ドコモの料金カテゴリーとはいえ、実態としてはユーザーを自らMVNOに送り出しているため、収益性が課題となる。dポイントで連携する「ドコモのエコノミーMVNO」が10月21日スタート ドコモショップでも契約可能
NTTドコモが「エコノミー(低価格/低容量)」を担う戦略として検討してきたMVNOとの連携。それが、ようやく結実する日が来た。10月21日からはNTTコミュニケーションズ、12月上旬からフリービット(トーンモバイル)のMVNOサービスをドコモショップで取り扱うことになる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.