ドコモ「ahamo」は200万契約突破、井伊社長「0円競争に参画するつもりはない」
ドコモの2021年度上期は増収減益となった。ahamoの契約者は堅調に増えており、200万を突破した。井伊基之社長は、povo2.0のような0円からのプランを提供するつもりはなく、低容量帯は「エコノミーMVNO」でカバーしていく考えを改めて示した。
NTTドコモが11月10日、2021年度第2四半期の決算について発表した。2021年度上期の営業収益は2兆3162億円(昨対比+337億円)、営業利益が4963億円(昨対比-673億円)で、増収減益となった。
井伊基之社長は「さまざまな戦略的な取り組みの結果だが、想定よりも良い結果ではある」と振り返る。第2四半期では会計制度の特殊要因があるため、これを除くと上期では約400億円減だが、第2四半期で見ると40億円減にとどまる。「1Qでは360億円減だったので、2Qで減益を改善できている」(井伊氏)
上期の営業利益を分解すると、モバイル通信サービス収入が243億円減となったが、光通信サービス収入などが155億円増でカバー。通信サービスが減益した要因は、MVNOの音声卸料金の値下げが大きいという。低廉な料金プラン「ahamo」の影響もあるが、「加入数が増えているので予想よりは少なかった」と井伊氏。ahamoの契約数は200万を突破したとのこと。
一方、コロナ禍でショップへの来店が減ったことで端末販売が落ち込んだ2020年度に比べ、2021年度は「しっかり営業活動に取り組めた」(井伊氏)ことや、「ahamoの施策が好評だった」(同氏)こともあり、端末が好調に売れた。その結果、端末販売収入は394億円増となったが、ショップに支払う手数料などのコストが574億円となり、端末の収支は結果として180億円のマイナスとなった。
「顧客基盤を早期に増加させるために、昨年(2020年)度下期から、瞬速5Gエリアを積極的に展開している」(井伊氏)ことから、ネットワーク関連コストは270億円増加している。上期で5Gの契約数は694万に上り、現在は700万を超えている。「年間目標1000万に向けて好調に推移している」と井伊氏は手応えを話す。5G対応の据え置き型無線通信サービス「home 5G」も好調とのことで、9月まで8万契約を突破した。
MNPや純増数ともに、2021年度から改善しているという。一方、2021年度上期の解約率は、2020年度上期の0.46%から0.1%増の0.56%となった。この点について井伊氏は「もっと下がると思っていたが、実態はご覧の通り。競争は激化しているということに尽きる」と述べた。
KDDIが楽天モバイルへの対抗策として、基本料金を0円の「povo2.0」を提供しているが、井伊氏は「低利用のお客さまが楽天に転出している事例はあると認識しているが、0円プランをやるつもりはない」と述べる。ドコモは「エコノミーMVNO」としてMVNOと提携し、ドコモのショップでMVNOのサービスを取り扱うことで、低料金や低容量を求める層に訴求していく考え。
そのエコノミーMVNOの第1弾として、OCN モバイル ONEを10月21日からドコモショップで扱っているが、「足元は好調」(井伊氏)だという。500MBのデータ通信+10分の無料通話付きで月額550円(税込み)という料金が支持されてか、「60歳以上のシニアの方の7割以上がショップでお買い求めされている。販路が増えたことで(契約)数が増えている」(同氏)
今後の拡大については「われわれが回線を提供しているMVNOには、ほぼ全部声をかけている。その中でもすぐに取り組みたいとおっしゃっていただいた方と、検討中という方に分かれている。ショップにおける販売効果が出ていることをお伝えしたい」とした。
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