三木谷氏「楽天モバイルの23年単月黒字化は十分可能」と自信、povo2.0の影響は「ほぼない」(2/2 ページ)
楽天グループが11月11日、2021年度第3四半期決算説明会を開催した。売上収益は前年同期比で12.6%増となる4069億円となったものの、基地局建設などモバイル事業への継続的な投資の結果、前四半期に続き営業損失を計上。三木谷社長は、単月黒字化は2023年に十分達成可能だとの見通しを示した。
「povo 2.0の影響はほぼない」「2023年の単月黒字は十分可能」
決算説明のプレゼンテーション後には、質疑応答が行われた。主な質問と回答は以下の通りだ。
―― KDDIの決算説明会で、高橋社長は「楽天モバイルにユーザーが流れるのを阻止するために、基本料金0円のpovoを始めた」と言っていた。povoが始まったことによって、どんな影響を受けたのか。
山田氏 多少、数字に反映されているとは感じている。ただ、他社からユーザーが入ってきている。全体感としては、すごく大きな影響という感じではない。
三木谷氏 去年(2020年)の同時期に比べて、(単月で)2倍ぐらいの新規申し込みがある。povo2.0 については、ほぼ影響はないと思っている。MNP数が増えてきているという実感がある。
―― 黒字化の見通し時期を2023年中としていた。今の進捗をどう見ているのか。
三木谷氏 基本的に、自社ネットワークの方が(ユーザーの)エクスペリエンス(体験価値)が高い。データの使用量も2倍くらい違う。自社ネットワークが来年(2022年)3月末時点で(人口カバー率)96%を超えてくると、エクスペリエンスもどんどん上がってくると思う。新規申し込みがこの伸びを続け、自社ネットワークに変えれば、データの使用量も上がり、ARPUも上がっていく。さまざまなバンドルサービスもだいぶ上がってきているので、ARPUの上昇と新規加入者、また楽天シンフォニーでも3000億円ほどの契約が取れており、今後、1000億円単位で増えていくと思っている。それらを勘案すれば、 2023年の単月黒字と申し上げているが、その実現は十分可能であると思っている。
―― 日本郵政グループとの連携で、物流以外の連携について、目指す姿や進捗があれば教えてほしい。
三木谷氏 案件については順調に進んでいる。それ以外にも、今後、楽天モバイルが提供するIoTも含めたさまざまな取り組みを一緒に検討させていただいている。本当にいいシナジーじゃないかと思っている。
―― 今期、iPhoneの取り扱いがあった。価格の面で他社と比べて非常に特徴的で、Appleと同等の価格で提供している。こういった施策はどういう影響を与えているのか。
三木谷氏 iPhoneの価格(を安くできたことについては)については、やはり楽天エコシステムによる売り上げがかなり上がってくるから。楽天モバイルに入ることによって、他のサービスを(非契約者より)20%、30%も多く使っていただける。Eコマースもそうだし、カードや楽天銀行も含めて、極めてシナジーがうまくいっている。多様な売り上げを上げるベースがあることが、端末の戦略において多少アグレッシブに行ける大きなポイントだと思う。
―― 来春、4G人口カバー率96%のカバー率を達成し、KDDIにローミングの費用を払わなくなったときに、新規契約獲得のために、大きなマーケティングキャンペーンなど、何か手を打つのか。
三木谷氏 絶対ではないが、大掛かりなマーケティングキャンペーンを、モバイルについてやる予定はない。新規加入者については健全な自然の成長が見られる。対前年で新規申し込み2倍になる月があり、それを3倍にはしたいと思っている。こういった継続的な成長がわれわれにとって重要だと思っている。
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