iPhone 13が「2021年のベストスマホ」に選ばれなかった決定的理由(1/2 ページ)
ITmedia Mobileで実施したスマートフォン・オブ・ザ・イヤー2021では、iPhoneが1機種もノミネートされませんでした。2011年から10年以上実施しているスマートフォン・オブ・ザ・イヤーでは初のこと。まさかの選外になった理由を考察しました。
ITmedia Mobileで2021年12月に実施した「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2021」では、ハイエンド部門では「Pixel 6 Pro」が、ミッドレンジ部門では「Mi 11 Lite 5G」が選ばれました。これら2機種が2021年を象徴するスマホとなったわけですが、今回は意外な結果も生まれました。それは、「iPhoneが1機種も候補に選ばれなかった」ことです。
スマホオブザイヤーの常連だったiPhone
iPhoneは、スマートフォン・オブ・ザ・イヤーのノミネート端末では常連ともいえる存在で、2013年は「iPhone 5s」が、2014年は「iPhone 6」が、2017年は「iPhone X」が、2020年はハイエンド部門で「iPhone 12 mini」が、ミッドレンジ部門で「iPhone SE(第2世代)」が栄えある受賞を手にしています。5回の受賞はダントツの最多記録です。
また、受賞を逃した年も、2020年までは毎年ノミネートはされていました。採点後の順位を見ると、2011年は「iPhone 4s」が2位、2012年は「iPhone 5」が2位、2015年は「iPhone 6s」が2位、2018年は「iPhone XR」が5位、「iPhone XS Max」が9位、2019年は「iPhone 11」が6位となっています。
つまり、2011年にスマートフォン・オブ・ザ・イヤーを開始して以来、iPhoneがノミネートされなかったのは2021年が初めてということになります。2011年~2020年の10年間にわたってノミネートされ、かつ5回もの受賞という素晴らしい結果を残してきただけに、「まさか」というのが正直な感想です。
まず、スマートフォン・オブ・ザ・イヤーを受賞したiPhoneの特徴を振り返ってみます。2013年のiPhone 5sはドコモが取り扱いを始めたことと指紋認証の搭載、2014年のiPhone 6はデザイン変更と、初の大型モデルである「iPhone 6 Plus」の存在(6 Plusは2位の評価)、2017年のiPhone Xはホームボタンの廃止やFace ID、有機ELの搭載、2020年のiPhone 12 miniは5G対応と小型モデルの導入、iPhone SE(第2世代)は4万円台の安さで大ヒット……といった特徴がありました。
惜しくも受賞を逃した2位の機種も、iPhone 4sはauでの取り扱い開始、iPhone 5はLTE対応というトピックがありました。iPhone 6sは変化が乏しいという評価が多かったものの、当時のAndroidと比べて高い完成度が評価されて2位でした。2018年と2019年は下位評価でしたが、2018年のXS/XRはデュアルSIM対応や普及モデル(XR)の登場、2019年のiPhone 11は超広角カメラの搭載やナイトモードなどが印象に残っています。
変化に乏しかったiPhone 13
では、2021年のiPhone 13シリーズはどうでしょう。デザインはiPhone 12を継承しながら、カメラの新機能として静止画の「フォトグラフスタイル」と、動画の「シネマティックモード」に対応しました。SIMに詳しいユーザーにとっては、デュアルeSIMに対応したことも注目ポイントでしたが、やはり過去のiPhoneと比べても、新しさや驚きが乏しかったことは否めません。
メジャーバージョンアップ翌年のiPhoneは、変化が控えめという傾向があります。先代のiPhone 12がスクエアなデザインに変更して5Gに対応しましたが、iPhone 13は12をベースにしており、過去の製品名ルールにのっとると「iPhone 12s」ともいえる内容です。
それでも、セカンドモデルとして登場したiPhone 4sとiPhone 6sは、ノミネートもされて2位の好結果でした。それはライバルのAndroidでiPhoneをしのぐモデルが乏しかったことが要因でした。しかし2021年には、ライバルのAndroidで個性的かつ完成度の高いモデルが増えたことで、おのずとiPhone 13がかすんでしまったといえます。
例えばシャープとソニーは1型センサーのカメラを搭載し、サムスンの「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」は折りたたみスマホとしての完成度を高めました。ハイエンド部門で受賞した「Pixel 6 Pro」は、自社チップによるオンデバイス処理という強い武器がありました。
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