ドコモが“TONEのAndroidスマホ”を扱うインパクト 3G巻き取りを狙うが、ライバルも:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモのエコノミーMVNOに加わったトーンモバイルが、2月24日から自社端末をドコモショップで販売する。Android端末のみに実装されているシニア向けのサービスが利用できるようになるインパクトは大きい。狙うのは、3Gのフィーチャーフォンを使うユーザーだ。そのインパクトを考察していきたい。
OSレベルからの独自カスタマイズでシニア層もターゲットに
念願だった自社端末の販売にこぎつけたトーンモバイルだが、TONE e21 rev.2を導入できるメリットは主に2つある。1つは、端末販売による収益だ。取り次ぎ販売ではあるものの、営業力の強いドコモショップでお勧めされる影響は大きい。もう1つは、ユーザーの層を広げられることだ。トーンモバイルの狙いは、後者にある。特にターゲットとして有力視しているのが、iPhone用SIMカードではリーチできなかったシニア世代だ。
iPhoneの場合、端末にはカスタマイズができず、トーンモバイルならではのサービスは、アプリやネットワーク側の機能で部分的に実現している。そのため、OSやミドルウェアのカスタマイズをどうしても必要とするサービスは、提供できていない。ゼロから自社で設計したAndroidスマートフォンであるTONE e21 rev.2であれば、それが可能になる。こうした事情もあり、同モデルとセットで利用できるサービスには、iPhoneにはなかった機能も多い。
端末を自動で修復する「置くだけサポート」は、その1つだ。この機能は、トーンモバイルが2015年発売の「TONE m15」で初めて導入されたもの。端末のパッケージに仕込まれたNFCタグをトリガーにして、自己修復が始まる。石田氏によると、「8割のソフトウェアを自動的に修復する」といい、「修復ができなかった場合は、スピーカーフォンでコールセンターにつながり、サポートを受けることができる」。
「家族遠隔サポート」も、ソフトウェアの深いカスタマイズで実現した機能だ。リモートでユーザーの端末にログインして、遠隔でサポートを実施する機能は大手キャリアのスマートフォンにも導入されているが、トーンモバイルの家族遠隔サポートは離れて暮らす家族間で同様のことを実現するためのものだ。家族の持つ端末の画面がもう1台の端末に表示され、電話では説明しづらい操作を肩代わりできるのが特徴。サポートを受ける側にとっても、家族に聞くだけでいいので気軽に利用できる。
ユーザー層ごとに最適化したホーム画面を選択できるのも、Androidならではだ。TONE e21 rev.2には、シニア向け、子ども向け、一般層向けと3つのホーム画面が用意されており、スマートフォンへの習熟度に合わせて自由に選択できる。シニア向けには、「写真」や「地図」「メール」など、代表的な機能へのボタンを大きくしたホーム画面があり、初めてスマートフォンを操作するユーザーにも、比較的分かりやすい構成になっている。
こうした機能を備えていることもあり、狙えるユーザー層はiPhone用のサービスよりも広くなる。一方で、子ども、特にティーンネイジャーにはiPhoneの人気が高く、独自端末は敬遠される可能性がある。コストパフォーマンスの高い端末を求める一般層には、他にも選択肢が多いことを踏まえると、TONE e21 rev.2のメインターゲットは、シニア層になりそうだ。月300MBまで最大1年間、料金が無料になる「シニアスマホデビューキャンペーン」を展開するのも、同社がシニア層を重視していることの裏付けになる。
関連記事
ドコモショップで「TONE for Android」開始 9980円の独自スマホでシニアにも訴求
NTTドコモの「エコノミーMVNO」向けサービス「トンモバイル for docomo」の新プランとして、「TONE for Android」が登場。2月24日から全国約2300店舗のドコモショップで提供する。サポート機能を充実させたことシニアにも訴求し、1年間月額0円からのキャンペーンも実施する。「最初は半信半疑だった」 フリービット石田社長に聞く「トーンモバイル for docomo」の狙い
NTTドコモのエコノミーMVNOに、2社目となる「トーンモバイル for docomo」が加わった。「TONE for iPhone」と呼ばれる料金プランを用意し、スマートフォンを初めて持つ子どもをターゲットに設定。当のトーンモバイル自身も、ドコモから声がかかった当初は半信半疑になるほどの意外性があったという。ドコモが扱う「TONE for iPhone」の狙い 料金は約50%値下げ、課題はAndroid端末
ドコモの「エコノミーMVNO」に、フリービットグループのトーンモバイルが加わる。ドコモ向けの専用プランを用意して、既存の「TONE SIM(for iPhone)」よりも値下げをした。ドコモにとっても、キッズ向けのサービスを拡充できるというメリットがある。月額1100円で“動画以外使い放題” トーンモバイルが「ドコモのエコノミーMVNO」向けプラン発表
トーンモバイルは、「ドコモのエコノミーMVNO」として提供する料金プラン「トーンモバイル for docomo」の新料金プラン「TONE for iPhone」を発表した。塾に通い始める小学校高学年から、中学生、高校生を主な対象としたプラン。月額1100円(税込み、以下同)という低価格な料金で「動画以外使い放題」をうたう。【更新】石田社長に聞くトーンモバイルの現状 新スマホ「TONE e21」の狙いから、値下げ競争の影響まで
トーンモバイルが4月の新スマホ「TONE e21」を発売した。スペックを向上させつつ、新機能の「Oneメッセンジャー」や「One Drop」に対応している。この新モデルを投入した狙いや、ここ数カ月の料金値下げ競争が同社に与えた影響を中心に、フリービットの石田宏樹社長に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.