米国で値上げでも、「Amazonプライム」のお得感が際立つ理由
米Amazonがプライム会員の年会費を値上げしました。値上げ幅は20ドルで、月額会費は12.99ドルから14.99ドル(約1900円)、年会費では119ドルから139ドル(約1万8000円)。Amazonでよく買い物をするという人であれば、無料配送、翌日配送といったサービスだけでも元が取れると考えるかもしれません。
米Amazonがプライム会員の年会費を値上げしました。値上げ幅は20ドルで、月額会費は12.99ドルから14.99ドル(約1900円)、年会費では119ドルから139ドル(約1万8000円)。新規会員は2月18日から、既存会員も3月25日から新料金が適用されています。
Amazonは値上げの理由について、「プライム会員特典の継続的な拡大と、賃金および輸送コストの上昇」のためと説明しています。2018年以降、プライム特典である無料同日配達は48都市から90都市以上に拡大し、送料無料のアイテムも50%以上増加。米国のプライム会員はプライムデーの買い物で数十億ドルを節約できたとしています。
2005年に米国内の配送が無料または割引になるというサービスでスタートしたAmazonプライムは、もともとの年会費は79ドル。その後、2014年に99ドル、2018年に119ドルと20ドルずつ値上げしており、今回が3回目の値上げとなっています。
値上げとなるとプライムを解約するユーザーも出てきそうですが、CNBCの報道によると、プライム会員は非会員よりもAmazonでの購入頻度が高いとのこと。値上げによるユーザー離れは、さして大きな影響はないという判断もありそうです。なお、Amazonは国別のプライム会員数を公表していませんが、全世界では2億人を超えており、2021年第4四半期のプライムを含むサブスクリプションの売上高は、前年同期比15%増の81億ドルに上ります。
もちろん、単に値上がりしただけではなく、サービス開始以来、さまざまなサービスが追加されています。まず、2011年にはプライム特典としてAmazonプライムビデオへの無料アクセスを追加。2014年には広告のないAmazon Musicや無制限ストレージのAmazon Photosをプライムメンバー向けに提供しています。その後も、毎月1000冊以上のKindle本を無料で読むことができるPrime Reading、子会社であるライブ配信プラットフォームTwitchでもプライムメンバーが利用できる特典を用意するなど、その利用価値は向上しています。
この価格を高いと感じるか安いと感じるかは人によりそうですが、Amazonでよく買い物をするという人であれば、無料配送、翌日配送といったサービスだけでも元が取れると考えるかもしれません。一方で、そうした無料配送ではなく、動画配信サービスのプライムビデオに価値を見いだしている人もいるでしょう。
動画配信サービスのライバルとなるNetflixは、2022年1月に米国での料金プランの値上げをしており、新しい価格はベーシックプランが月額9.99ドル(約1300円)、スタンダードプランが15.49ドル(約2000円)、プレミアムプランが19.99ドル(約2500円)。Amazonプライムビデオでは、1つのアカウントで同時に3台のデバイスでストリーミングが可能。Netflixではベーシックだと1台、スタンダードで2台、プレミアムだと4台で同時視聴ができます。
プライムビデオがNetflixのスタンダード相当と考えれば、プライムの会費は決して高いわけでもありません。もちろんオリジナルコンテンツの有無などもあり、単純に比べられるものではありませんが、配送無料やその他のサービスも含めると、Amazonプライムのお得感が際立ちます。
なお、これらはあくまで米国での話。日本の場合、2007年に開始されたAmazonプライムは、2019年に3900円から4900円(年額)へ初めて値上げされていますが、価格だけを比べるなら米国の3分の1以下と格安です。
一方、日本の場合は2000円以上の買い物なら通常配送は無料。通常配送で4~5営業日かかる米国とは違い、多くの場合は2日あれば届きます。雑貨や日用品などは、ヨドバシカメラも無料配送を行っていることもあり、当日あるいは翌日には届くお急ぎ便を使わなければ、送料の削減目的でAmazonプライムを契約するメリットは低くなっているといえます。
とはいえ、プライムビデオが目的の動画配信サービス費用と考えれば、年間4900円、月額500円は魅力的。今後多少の値上がりがあったとしても、動画目的であれば費用対効果は高そうです。
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