「Nothing Phone(1)」の正体に迫る 操作感良好でコスパも悪くないが、課題も:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
Nothing Technologyの開発した初のスマートフォン「Nothing Phone(1)」が、8月に日本で発売される。背面はどこか懐かしさもあるシースルー仕様で、ワイヤレスチャージ用のコイルやネジなどが透けて見える。操作感も良好でコストパフォーマンスも高いが、ローカライズには課題が残る。
英Nothing Technologyの開発した初のスマートフォン「Nothing Phone(1)」が、日本に上陸する。発売は8月を予定。同社のオンラインストア以外での販路は、後日明かされる見込みだ。Nothing Technologyは、2021年OPPOに統合されたOnePlusの共同創業者、カール・ペイ氏が設立した企業。2021年には、初のプロダクトとなる「Nothing ear(1)」を発売しており、日本でもオンラインストアや大手家電量販店で販売されている。
Nothing Phone(1)は、そんなNothing Technologyの第2弾となる製品。カール・ペイ氏がOnePlusを率いていたこともあり、前評判が高く、各国で注目を集めていた。では、Nothing Phone(1)とはどんな端末なのか。ここでは、実機や幹部のコメントをもとに、端末のコンセプトや機能を解説したファーストインプレッションをお届けする。
必要最小限の情報を音と光で伝えるGlyph Interface
Nothing Phone(1)最大の特徴は、そのデザインだ。背面はどこか懐かしさもあるシースルー仕様で、ワイヤレスチャージ用のコイルやネジなどが透けて見える。このパーツに沿うように配置されているのが、974個のLEDだ。LEDをビッシリと敷き詰めることで、点ではなく、ライン状の光を放つことが可能になった。この仕掛けを、Nothing Technologyは「Glyph Interface」と呼んでいる。
Glyphとは、象形文字などを意味する英語。Interfaceと名付けられているのは、光で何らかの情報をユーザーに伝えるからだ。実際、Nothing Phone(1)では、電話の着信があった際に、背面のさまざまな場所が光る。光り方のパターンやサウンドを変え、誰から電話がかかってきたかを判別することも可能だ。Glyph Interfaceのメニューで、こうした設定を変更できる。
着信以外では、充電時にバッテリーの残量を光で表すことが可能。Google アシスタントが動作した際に背面を光らせる設定も用意されている。また、「Flip to Glyph」という機能を使うと、端末の画面を下にして机などに置くだけで着信や通知などのサウンドが止まる。光だけで、さりげなくスマートフォンに届いた情報をつかめるというわけだ。ディスプレイを見なくても必要最小限のことが分かるという意味では、まさにインタフェースといえる。
Glyph Interfaceというアイデアを採用した理由を、ペイ氏は「最近のスマートフォンは、表面の50%ぐらいしか実際の役に立っていなかった。デッドスペースでどうやったらスマートフォンを面白くできるのかを考えた」と語る。LEDを搭載することで、「部屋の反対側にいても、すぐに見分けられるアイコニックなものになった」(同)と自負する。
確かに、ディスプレイに情報を表示するより、LEDを点灯させた方が、情報量は少ないが、届く距離は延ばせる。また、前面はどの端末も、面積のほとんどをディスプレイとベゼルが占めているため、デザイン面で差別化しやすいのはフレームや背面だ。Glyph Interfaceがあれば、実用性を加えながら、見た目でも独創性を演出できる。Nothing Phone(1)のデビューを印象付けたことを見ても、この試みは成功だったといえそうだ。
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