Reno5 Aよりも約55%売れている 「OPPO Reno7 A」が日本ユーザーから支持された理由(3/3 ページ)
OPPOの日本向けスマートフォン「OPPO Reno7 A」が6月に発売された。コストパフォーマンスの高さや、おサイフケータイ、防水・防塵(じん)対応はそのままに、Reno7 Aではデザインにも日本市場の“意見”を取り入れている。先代の「Reno5 A」よりも売れているという好調の背景に迫った。
Reno5 Aよりも約55%売れている
―― カメラに関しては、画素数が落ちています。チップセットはほぼ横並びですが、ここは明確に削った部分だと思います。なぜでしょうか。
河野氏 スペックが落ちているのは、ユーザーニーズをくみ上げたからです。そこまで必要ないという意見が多かったんですね。
李氏 確かに数字で比べられてしまうところはありますし、実際、いろいろな記事や価格コムでの評価もよくありませんでした。ただ、実際のユーザー、特にスマホをツールとして使っているユーザーには、そこまでの画素数は必要ないのではないかというがわれわれの判断です。
河野氏 人間なのでやはり(評価には)一喜一憂してしまいますが、販売台数のデータを見るとしっかり伸びている。実際にお買い求めになる方々は、その部分をあまり重視していなかったということです。とはいえ、葛藤がある部分ではあります。
―― その売れ行きについて、もう少し詳しく教えてください。
河野氏 2点あります。実数を申し上げることはできませんが、前機種のReno 5Aと比べると全体で約55%増と、出荷台数は増えています。また、オンラインショップもリニューアルしましたが、こちらでも200%伸びています。営業成績という意味ではいいのですが、お客さまの注目度も高く、評価をしていただけています。
―― Reno Aシリーズとしての取り扱いキャリアも増えています。
河野氏 はい。もともとauはフラグシップモデルの取り扱いが主でしたが、今回からReno Aの販売も開始しました。
―― それは、やはりプラスになりますよね。
河野氏 そうですね。ミッドレンジの端末を主要なキャリアが取り扱うのは、意義があります。お客さまにとって安心安全なメーカーであると(キャリアに)認めていただき、それが(OPPO端末の)購入動機につながるのは大きいですね。
―― これだけ売れているとなると、テレビCMを大々的にやる必要はなかったですね。今回はWebの動画が中心ですが、判断として正解だった気もしています。
河野氏 端的に言うと、タッチポイントが変わりました。Reno以前のRシリーズだったころは、イメージキャラクターもいなかった。いいものを出しさえすれば売れるという、おごりのようなものもありました。いいものを出し、それを広げていく中では、アンバサダーになっていただける方が不可欠であろうという調査結果があり、社内からもそういった意見が出ていたことを踏まえ、指原莉乃さんには3年間ご尽力いただきました。これは非常にありがたかったですね。
そのような中で購入調査も続けてきましたが、「指原莉乃さんのOPPO」というイメージは非常に浸透しました。そこからさらに一歩踏み込んで、お客さまに何を伝えたいか、メッセージをどう伝えていくかを考え、マーケティングをよりデジタルの方向に振ることにしました。その第一弾が、先ほど申し上げたナガモッティです。
経営判断と企業努力でReno5 Aと同等の価格に
―― 価格をある程度維持できたことも大きかったと思いますが、円安の中、ビジネスの判断としてなかなか厳しかったのではないでしょうか。
河野氏 Reno7 Aは製造原価自体が20%ぐらい上がっていて、かつ為替も円安に振れています。日本円での価格を発表せざるを得ないわれわれのようなメーカーが、コストの差をどう吸収するかは大変苦労しました。商品価格に乗せてしまうというのは安直ですが、営利企業なので赤字では経営できない。お客さまニーズを考えると出せて5万円ということで、昨年(2021年)のReno5 Aと変わりない価格帯にすることを決めています。
李氏 部材のコスト上昇と円安の中、企業努力で値上げしないということしかできません。
河野氏 幸い、われわれはグローバルのサプライチェーンを持っています。できる努力をしながら調達をかける。第4位のグローバルメーカーとしての強みをフルに生かし、大量に一括調達はしています。とはいえ、流れにそこまであらがえるかと言うと、そうでもありません。
李氏 郷に入っては郷に従え、です。これが東南アジアだったら一気に価格に乗せていたかもしれません(笑)。ただ、日本で仕事をする以上、OPPOが決めるところと、そうでないところ(ユーザーが決めるところ)があります。それを考えていくのが、日本のやり方です。スペック、商品仕様、サービス体制が変わらないのは、経営判断と企業努力だと思ってください。
―― 今回、OPPOケアも価格を改定しています。これも安心感のような部分を出すためでしょうか。
河野氏 はい。値段を下げました。当初から非常にありがたい反響をいただいています。サービスが手厚いというご意見をいただくことは多く、そこはわれわれの1つの特徴だと思っています。買った後も安心というのは以前から訴求していました。最初のころは社員自らお客さまの家まで端末を取りに行くようなことまでしていました。今はさすがに(クロネコ)ヤマトの方ですが(笑)。
タッチポイントという意味では、スマホ工房とのコラボも継続的にやっています。修理については、OPPOがパートナーと認めた修理店があり、そこにはバッテリーやネジなどのサプライ品を提供しています。安く適当に修理した結果、端末が燃えてしまったり、焦げたりしたニュースもご覧になっているかもしれませんが、パートナーの修理店は100%純正で、クオリティーコントロールをパスしたものしか使っていません。
―― 店頭で修理してもらえるのはいいですね。拠点はどのぐらいあるのでしょうか。
李氏 日本全国で15から20ぐらいです。オンラインも、ユーザーから修理の許可をいただけたあと、24時間以内に返送するようにしています。これはオフィシャルな約束としてやっています。
取材を終えて:地道なローカライズが差別化のポイントに
スペックを直線的に上げる代わりに、デザインの好みやユーザーの使い方にフィットした特徴を打ち出していく。一言でまとめると、Reno7 Aはそんな端末だ。背景には部材費の高騰や円安といった要素もあるが、ミッドレンジモデルの市場が成熟してきたこともうかがえた。特にこの価格帯の場合、少しスペックを上げただけではユーザーが違いを体感しにくい。
思い切ってカメラのスペックを落としてでもデザインや長期間使える機能をフィーチャーしたOPPOの判断は、正解だったように感じる。河野氏が語っていたように、出荷台数が伸びていることもそれを裏づける。取り扱うキャリアも増え、Reno Aシリーズは徐々にミッドレンジモデルの“定番”的な存在になりつつある。地道なローカライズは手間がかかるぶん、簡単に他の海外メーカーが追い付けない差別化のポイントになっているといえそうだ。
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