3G停波だけではない ドコモがシニア向け「スマホ教室」を開催する本当の狙い(3/3 ページ)
スマートフォンへの移行が求められる中、ネックになっているのがシニアである。移行にはスマートフォンへの知識を深めてもらう必要がある。NTTドコモがスマホ教室を積極推進する本当の狙いを聞いた。
リピーターを増やす工夫も
―― スマホ教室の存在を知らない方もいらっしゃると思います。参加してもらうために工夫していることはありますか。
田口氏 直近ですと、スマホ教室というWebサイトを設けていますが、それだけですとリテラシーの低い方がたどり着くことは難しい、あるいはアクセスできない可能性がありますから、店頭でのお声がけを積極的に行うようにしています。
一度きりの参加で終わらせず、2回、3回と継続的に来てもらえる方(リピーター)を増やすべく、次回の来店時にどのような講座を行っているのかも合わせて案内するように心掛けています。
―― 今回、取材させていただいた講座に参加していた方の中に、「何度か受講している」とおっしゃっていた方がいました。
田口氏 1度は受講してみたものの、その場限りでは定着しないケースもありますので、何度か受講できるようにしています。
―― 受講者がスタンプを押してもらっていましたが、それも継続的な受講を促すための取り組みの1つでしょうか。
田口氏 そうです。受講者に配布している「スマホ教室ノートブック」に講師がスタンプを押しています。山登りをしていくようなイラストが描かれていて、電話やメールなどが使えるようになると、各項目ごとにスタンプを押してもらえます。
8合目になるといったん卒業できます。ここからさらに基礎講座の有料版を受講したり、サービスごとにレクチャーを受けたりできます。
―― かつてFCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)がらくらくシリーズのイメージキャラクターに大竹しのぶさんを起用し、テレビCMなどで大々的に宣伝していました。ドコモでも同様の手法でスマホ教室へアクセスできるようにしていくのでしょうか。
田口氏 プロモーションを全く行っていない訳ではないですが、象徴的なキャラクターを添えて宣伝する、という手法は採っていないです。
取材を終えて:国としてのさらなる工夫も必要
スマホ教室を実際に取材してみると、「ユーザーにスマートフォンを便利かつ楽しく使ってもらうことを目的にスタート」したスマホ教室に対するドコモの熱意が伝わってきた。
1度きりの受講で終わらせずリピーターを増やすための工夫もユニークだと感じた。実際に受講者へ話を聞くと、スマホ教室の講師の教え方が上手だと褒める声や、積極的に何度も学びに行きたいなどの前向きな声が多いことが分かった。
その一方で、「スマホ教室そのものの予約をどのようにすればいいのか」や、「迷惑メールをブロックする方法が分からない」といった悩みを抱えている受講者もいた。1度きりの講座で全てをカバーするのは到底無理だが、1度受講すれば次回の講座やその際の内容を知れるし、そこで解決できない場合(予約が空いていれば)は個別に対応してもらえるようだ。
ドコモとして直近では総務省の要請や需要に基づき、デジタルデバイド解消へも注力していることもあって、基礎的な内容ではカバーしきれない面も見えてきた。マイナンバーカードだ。普及率は6月末時点で45.3%とされており、まだまだその浸透率は低く携帯電話事業者だけのサポートだけでは対処できないケースも今後増えると筆者は見込む。
デジタルデバイド解消に向け事業者のみならず国としてのさらなる工夫も求められるだろう。
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