ニュース

なぜ今? イオンモバイルが“スマホトラブル解消サービス”を始める理由

イオンリテールが、MVNOサービス「イオンモバイル」向けに、10月1日から「スマホメンテナンス」を提供する。イオンモバイルの店舗にて、ユーザーのスマートフォンの状態をチェックしたり、最適な料金プランをアドバスしたりするサービス。料金や契約に関するトラブルを未然に防ぐことが目的。

 イオンリテールが、MVNOサービス「イオンモバイル」向けに、10月1日から「スマホメンテナンス」を提供する。

 スマホメンテナンスは、イオンモバイルの店舗にて、ユーザーのスマートフォンの状態をチェックしたり、最適な料金プランをアドバスしたりするサービス。料金は無料で、所要時間は約20分を見込む。対象店舗は本州・四国の158店舗で、北海道、九州、沖縄の店舗では取り扱わない。


イオンモバイルで「スマホメンテナンス」を10月1日から提供する

料金、契約、スマホ本体のトラブルを解消する

 携帯電話の契約後のトラブルは依然として多く、総務省が公表している電気通信サービスにかかわる苦情相談件数は、2014年度以降は年間で7万台~9万台に上る。特に多いのが「通信料金の支払い」「解約の条件・方法」「契約の加入・変更手続き」など、料金や契約に関するもの。また「端末の故障や使い勝手」も上位に挙がっている。

advertisement

スマートフォンではいまだに料金や契約にまつわるトラブルが多く、スマホメンテナンスや(後述する)乗換え相談所で解消する狙いだ

 こうした不満を解消し、料金や契約に関するトラブルを未然に防ぐことがスマホメンテナンスの目的。イオンモバイル商品マネージャーの井原龍二氏は「スマホでのトラブルをゼロにしたい」と意気込む。2022年6月から13店舗で311人を対象にテスト提供したところ、好評を得たことから、本サービスとして提供することを決めた。井原氏によると、特に60歳以上の来店者が多い一方で、40代の満足度も高かったという。


スマホメンテナンスの実証実験を2回にわたって行ったところ、100%に近い満足度を得られた

スマートフォンのストレージ容量改善と料金の見直しに関するニーズが高いことが分かった

 スマホメンテナンスは「機器メンテナンス」と「料金メンテナンス」という2つのパートに分かれている。

 機器メンテナンスでは、アプリごとの使用量を確認して本体ストレージの空きを確保する、マルチタスク解除やアップデートなどを実施して動作を改善させる、バッテリーやディスプレイ、Bluetooth、Wi-Fiなどをチェックしてバッテリーを長持ちさせる、といった作業をする。今後はPINロック設定や簡易ウイルススキャンなどのセキュリティ診断も行う予定。ストレージ容量については「機種変更を進めることもあるが、おおむね、不要なアプリを削除することで解決できている」(井原氏)とのこと。

 料金メンテナンスでは、ユーザーのデータ使用量を確認して適切な料金プランを提案し、マイページの使い方やプランを変更する方法をレクチャーする。他に、通話サービスや各種オプションの見直しなども行う。


スマホメンテナンスの内容

予約あり、なしで受けられるサポート内容が異なる

スマホメンテナンスの具体的な作業内容

スマホメンテナンスのイメージ。基本的には店頭スタッフがレクチャーしながら、ユーザーがスマホを操作する流れとなる

 スマホメンテナンスは、電話で予約をして受ける形を推奨している。予約なしでも空いていれば受けられるが、「バッテリー長持ち」と「動作改善」のメンテナンスは、予約をしないと受けられない。

既存ユーザーの満足度を向上させ、新規獲得の武器にも

 スマホメンテナンスの大きな狙いは、既存ユーザーの満足度を向上させること。スマートフォンの料金や契約、本体に関する不満を抱えているユーザーは多いものの、なかなか店頭に出向いて相談しにくい。店頭スタッフによって説明にバラツキがあり、トラブルの対処法をきちんと整理できていない課題もあった。

 そのため、「サービスの1つとしてリリースすることは意義がある」と井原氏は言う。加えて、店頭でのサポート機会が増えることでスタッフの接客スキルを向上させることができ、サービスの改善につなげられることも同氏はメリットに挙げる。

 もう1つ、スマホメンテナンスを新規ユーザー獲得の武器にする狙いもある。大手キャリアの3Gが停波して、スマートフォンに乗り換える流れが加速しつつあるが、スマホに不慣れなシニアにとって、手軽に対面で相談できる場所があるのはありがたいはずだ。

 イオンモバイルを「安心できるスマートフォン(のサービス)、選択肢として捉えてほしい」と井原氏は強調する。「(2022年度の)上期は、大手キャリアと同じように販促活動をしたり、特典を付与したりしたが、そういう形ではなく、サービスに魅力を感じて獲得することが長期利用につながる」と期待を寄せた。


実証実験に参加したユーザーからは、「こういうサービスを待っていた」という好意的な声が挙がったという

店頭スタッフからも、ユーザーが喜んでくれてうれしいといった声が挙がっている

キャリアも含めて最適なプランを提案する「スマホ乗換え相談所」

 あわせて、イオンモバイルでは「スマホ乗換え相談所」も展開する。こちらはイオンモバイルに限らず、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、UQ mobile、Y!mobile、ahamo、povo、LINEMO、一部のMVNOサービスなど、イオンの店頭で扱っている通信サービスを含めて、公平な視点で比較検討し、最適なサービスと料金プランを提案する。相談所は他社ユーザーも含めた全ユーザーが無料で利用できる。

 イオンモバイルは、総務省が実証実験として展開していた「スマホ乗り換え相談所」に参画していたことから、その手引きにのっとってサポートする。9月13日にイオンモバイル船橋に1号店を設置し、2022年度内に約20店舗に設置数を増やしていく予定。


キャリア、サブブランド、MVNOを横断して最適な料金プランを提案する「スマホ乗換え相談所」

イオンモバイル船橋に1号店を設置した

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.