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中国で過熱する“折りたたみスマホ市場” サムスンはHuaweiの牙城を崩せるか山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

グローバル市場では「折りたたみといえばGalaxy Z」という状況だ。だがその話は中国では全く通用しない。中国メーカー各社が折りたたみスマートフォンを次々と投入している。2022年第2四半期の中国国内折りたたみスマートフォンのメーカー別販売シェアは、1位がHuaweiで53.7%と半数以上を占めている。

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Xiaomiやvivoも負けじとハイスペックの折りたたみスマホを投入

 中国国内の折りたたみスマートフォン市場が広がりつつある中、唯一マイナス成長だったのがXiaomiだ。Xiaomiが2021年3月に発表した「Mi MIX Fold」は7999元(約16万3000円)と、横折り式の折りたたみスマートフォンとしては当時格安価格で登場した。しかしOPPOがFind Nを同じ価格で投入し、前述したようにvivoとHonorが高性能モデルを出したことでユーザーを奪われてしまった。


価格の安さで登場時は話題になったXiaomiの「Mi MIX Fold」

 だが、Xiaomiもライバルに負けじと一気にハイスペックのモデルを出してきた。2022年8月11日にSamsungがGalaxy Z Fold4、Z Flip4を発表した翌日、8月12日に「Xiaomi Fold 2」を発表したのだ。初代モデルよりディスプレイサイズを大型化しつつ、本体の最薄部分は8.4mm。内折り式のスマートフォンとしては最薄となる。そして提携を発表したばかりのライカのカメラも搭載した。「ハイスペック、大画面、薄型スタイリッシュ、高性能カメラ」と四拍子そろえたXiaomi Fold 2は、中国で今最も注目される折りたたみスマートフォンになりつつある。


約1年半ぶりの新モデル「Xiaomi MIX Fold 2」。折りたたみスマートフォン最高モデルといえる

 Xiaomi MIX Fold 2に弱点があるとすれば、ディスプレイを開くか閉じるかしかできず、ヒンジを途中の位置で止めることができないこと。Galaxy Z Fold4はヒンジを自在の位置にとどめ、アプリを分割表示できるフレックスモードで折りたたみスマートフォンを使いやすいものにしている。Xiaomiがこのモードにできないのは、閉じたときにヒンジ部分が隙間なく閉じる構造にしているため。

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 一方のSamsungは、ヒンジ部分に隙間ができるものの、フレックスモードを実装している。とはいえ、隙間なく折りたためるのはvivoやOPPO、HONORも同じであり、vivoはフレックスモードを搭載している。


ヒンジを途中まで折り曲げて使うフレックスモード

 そのvivoは2022年9月26日に「X Fold+」を発表した。プロセッサと充電周りのマイナーアップグレードとなるものの、初代モデルのX Foldは4月に発売したばかりであり、高価かつ最新技術を搭載したフラグシップモデルを半年で新製品に入れ替えるのは異例のことだ。しかしそれだけ折りたたみスマートフォンは、中国で最も目立つ存在になっており、常に最高の製品を出し続けなければ他社との競争に負けてしまうという焦りもありそうだ。

 まだ1モデルしか出していないOPPOの次の新製品や、9月にベルリンで開催されたIFA2022でフラグシップモデルのグローバル投入を発表したHONORの動きなど、中国国内の折りたたみスマートフォン市場は、これからさらに盛り上がりを見せていくだろう。そして中国の消費者にとっては「いつ折りたたみスマートフォンを買うべきか」が、これから悩ましくなりそうだ。


vivoの最新モデル「X Fold+」。半年でアップデートされた
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