「Galaxy S23 Ultra」のカメラ画質が向上した秘密 “2億画素”だけではない見どころ(2/2 ページ)
Galaxy S23シリーズ最大の特徴といえるのが、「Galaxy S23 Ultra」に搭載されたカメラだ。メインとなる広角カメラに、サムスン初の2億画素センサーを採用。先代よりも画質が向上した背景には、ハードウェアとソフトウェアの工夫があった。
チョ氏と報道陣の一問一答 画質はハードとソフトの両面から強化
その他、チョ氏と日本の報道陣との主な一問一答は次の通りになる。なお、チョ氏との質疑応答は、チョ氏が韓国語、質問は英語で行われており、本稿は日本語で執筆している。英語を介して2回言語が変わっているため、ニュアンス等はそぎ落とされている点はご容赦いただきたい。
―― 強化したISPを採用したお話がありましたが、そのISPとはSnapdragonに内蔵されたハードウェアベースのことでしょうか。それとも、ソフトウェアベースの改善でしょうか。
チョ氏 両方あります。1つが、QualcommのSnapdragonに搭載されたISPで、もう1つがAIベースのソフトウェアです。両方が改善されていますが、後者のソフトウェアはサムスンが開発したものです。(筆者注:Galaxy S23シリーズは、QualcommのSnapdragon 8 Gen 2に搭載されているCognitive ISPを使用した初のスマートフォン。被写体のセマンティックセグメンテーションなどは、これによって実現している)
―― Snapdragon 8 Gen 2には、今回「for Galaxy」がつき、最適化が施されているという話です。ISPにも、何らかのカスタマイズが加えられているのでしょうか。
チョ氏 確かにSnapdragon 8 Gen 2はわれわれのデバイスに最適化したものではありますが、カメラに関してではありません。
Galaxy S23シリーズはプロセッサにSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxyを採用しているが、for Galaxyと言っても、カメラ用の特別なカスタマイズは行っていないという。ただし、同チップのCognitive ISPを活用した端末は、S23シリーズが初となる
―― これまでのGalaxyは、絵作りが派手すぎる傾向もあったと思いますが、何か改善はされていますか。
チョ氏 AIによるシーンオプティマイザーを搭載し、デフォルトではこれが有効になっています。これは、撮影しているシーンがどのようなものなのかを検出して、色などを調整するための機能です。例えばご飯を撮影した際には、もっとおいしそうに見えるよう、色を派手にしています。空や草花も発色がよくなります。ただ、これはユーザーが好まなければオフにすることが可能です。また、Galaxy S23シリーズに関しては、明るさや色味を、ユーザーの嗜好に基づいて改善しています。今回は、きっとご満足いただけると確信しています。
―― ズームに関してですが、望遠カメラに切り替える間の倍率は、どのような処理をしているのでしょうか。2億画素のセンサーのリモザイク(ピクセルビニングを解除する)で切り出しをしているのでしょうか。
チョ氏 3倍、10倍は光学ズームです。1倍から3倍の間に関してはデジタルズームになりますが、(センサーに)リモザイクをかけ、よりよい画像を作れるようにしています。同様に、3倍から10倍もデジタルズームです。
メニューに表示される0.6、1、3、10は、ハードウェアとしてカメラを切り替えている。その中間は、倍率が低い方のカメラをデジタルズームで引き伸ばしている。ただし、1から3倍の間は、2億画素と画素数が多いため、劣化が少ない
―― Galaxy S23 Ultraで100倍ズームをしてみましたが、画質が改善されている印象がありました。
チョ氏 はい。その印象は正しいです。100倍ズームの画質を向上させるのは、非常に苦労しました。100倍ズームには、われわれが超解像と呼ぶ画像処理を行っています。1回のシャッターで何枚もの写真を同時に撮り、超解像をかけています。また、写真のクオリティーを上げるために、深層学習(ディープラーニング)も活用しています。
100倍ズームで何をどう撮るのか、そしてどのように画質が劣化しているのかを考えました。例えば、文字を撮ることがありますが、その画質を向上させるために、より多くの学習をさせることにしました。また、建物は細部が写ることになるので、その細部をよりよくするための学習をAIにさせています。ディテールを再現するため、より多くの学習をさせたということです。ズームに関しては、ハードウェアではなく、基本的にソフトウェア側の改善になります。
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