“250円で32kbps”のmineo「マイそくスーパーライト」は誰向け? オプテージ福留氏に聞く:MVNOに聞く(3/3 ページ)
スマートフォンの料金プランはデータ容量別で決めるのが一般的だが、速度別の料金プラン「マイそく」を打ち出したのが、オプテージのmineoだ。3Mbps、1.5Mbps、300kbpsという3種類の速度別プランに加え、月額250円で32kbpsという低速通信で利用できる「マイそくスーパーライト」を提供した。32kbpsでは日常の使用に耐えないが、なぜこのプランを導入したのか。
eSIMは新規獲得に寄与するサービス
―― スーパーライトと同日にドコモ回線のeSIMもスタートします。これは、あえてタイミングを合わせたのでしょうか。
福留氏 いや、同時期になったのはたまたまです。ただ、日付まで合わせたのはあえてですね。昨年提供を開始したAプランのeSIMは、新規契約時における割合が約2割にまでなっています。新規獲得に寄与するサービスということで、Dプランもできるだけ早く提供しようと考えました。
―― ちなみに、ドコモ回線の場合、MVNOも端末のEID登録が必要になっていたかと思います。これはmineoも同じでしょうか。
田村氏 はい。必要になります。
福留氏 EIDが必要なので、お客さまに丁寧に説明していくことを心掛けています。
―― 残すはソフトバンク回線のSプランだけですが、こちらはいかがですか。
福留氏 現時点では未定です。
広告で消費するパケットを抑えるために「広告フリー」を提供
―― もう1つ、新サービスとして「広告フリー」も導入します。これは、どのような狙いがあるのでしょうか。
福留氏 自社調査結果ですが、データ通信に占める広告の割合は4割程度と大きく、知らず知らずのうちにパケットが消費されてしまう実態があります。mineoは、フリータンクやパケットギフト、パケットシェアといったコミュニケーションを通じてパケット不足を解消するサービスの導入を進めてきましたが、それと同様、広告で消費するパケットを抑制することで、少しでもパケット不足で困らないようにする狙いがあります。
―― どのような広告が対象になりますか。
福留氏 われわれが認識した広告サーバのIPアドレスが対象になりますが、逆に言えば認識できていないものは対象外です。また、SNSの広告やYouTube上の広告など、技術仕様上、判別が難しいものも対象外になります。
―― 実際、どのくらいカットできるものでしょうか。
福留氏 使い方が人によって異なるため、一概には難しいのですが、データ使用量に占める割合は4割で、一部が技術仕様上対象外になっていることも踏まえると、おしなべて言えば2割程度ではないでしょうか。ただ、ユーザーごとの振れ幅はかなり大きいと思っています。
―― 広告のIPアドレスはどうやって集めたのですか。
田村氏 トビラシステムズと提携し、そこからリストをいただいています。
福留氏 その制度に由来するので、どのコンテンツがというところまでは特定できない部分があります。ただし、トータルでどれだけパケットを節約できたかは、翌日マイページで参照できるようにします。
―― 全体として、どのぐらいフリーになったかが分かるとインパクトがありそうですね。
田村氏 タイミングはまだ検討していますが、公表することは考えています。
―― ただ、広告分のデータ消費が減ってしまうと、ユーザーに料金プランを下げられてしまうおそれはないでしょうか。
福留氏 パケット不足による解約の抑止や、付加価値が上がることでの獲得が見込めます。おっしゃっているように一部ダウンセルは発生すると思いますが、売り上げが増加するので、収支上の影響は特段ないという認識です。
―― ちなみに、アプリでは広告をブロックするものもありますが、あくまでデータ通信量をカウントしない方向にしたのはなぜでしょうか。
田村氏 広告配信というスキーム自体は、引き続き促進していくべきものだからです。広告があるからこそ、生まれているコンテンツもあります。そういった観点で、通信事業者らしく、通信量に着目しました。
取材を終えて:競合サービスとどう差別化を図っていくかがカギ
マイそくスーパーライトは32kbpsと低速だが、料金は250円と安い。音声通話中心のユーザーやバックアップ回線を求めるユーザーを取り込むのが、このプランの狙いだ。その意味では、これまで投入してきたマイそくとは、位置付けが変わってくる可能性もある。節約志向ながら普通に使うというより、やや特殊な使い方が中心になるからだ。バックアップ回線へのニーズが高まるなか、3キャリアから選べるのも強みになる。
一方で、大手3キャリアが提供する予備回線サービスの料金や仕様によっては、サービスがバッティングしてしまう恐れもある。また、3Gの停波が徐々に迫る中、音声通話に特化したサービスは他のMVNOも強化している。価格のインパクトは強く、仕組みもおもろいマイそくスーパーライトだが、意外とライバルが多いのも事実だ。こうした競合他社のサービスとどう差別化を図っていくかは今後の課題といえる。いち早く速度別料金を打ち出したmineoが打ち出す、次の一手にも期待したい。
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