SIMフリーGalaxyは継続投入、高価格スマホに逆風でも「需要ある」 キーパーソンが語る日本戦略(3/3 ページ)
Galaxy S23シリーズの発売を前に、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のモバイル事業責任者であるTM Roh氏が来日し、日本の報道関係者とのインタビューに応じた。サムスン電子にとって、日本市場はどのように映っているのだろうか?
日本のサプライヤーやキャリアとの関係は?
―― 日本市場でのパートナーについてお聞きします。日本のサプライヤーや携帯キャリアは、サムスンにとってどのような存在だと考えていますか。
Roh氏 現在のGalaxy製品の成功は、多くの日本のパートナーの協力がなかったら実現できていなかったと考えています。スマートフォンの初代モデル「Galaxy S」から現在に至るまで、Galaxyには日本のサプライヤーの部品を多く採用し、日本のキャリアを通じて市場に投入しています。
例えば、Galaxy S23 Ultraが搭載しているペン入力機能は、ワコムと10年以上に渡って開発を続けてきたものです。ハードウェアとしてのSペンだけでなく、ペン入力のアルゴリズムについてもワコムと連携して改良を続けています。
また、カメラ機能に含まれるさまざまなセンサーについても、核となる部品の供給を含めて、日本のサプライヤーと共同で製品開発を行っています。これからも協力関係は継続していきたいと考えています。
日本のキャリアとの関係については、非常に密な連携のもとにあり、今後も協力関係を維持していきたいと考えています。
Samsung Galaxyが日本市場で成功するためには、消費者の要求を理解してサービスを提供すること肝要ですが、日本の消費者や市場の特徴、要求を誰よりも知っているのは日本のキャリアです。
「Galaxy S」と「Galaxy Z」はどうすみ分ける?
―― Galaxyスマートフォンの製品ラインアップについてお聞きします。ここ数年、フラグシップではストレート型の「Galaxy Sシリーズ」と、フォルダブルの「Galaxy Zシリーズ」という両立てで新モデルを投入しています。フォルダブルは、折り曲げて、コンパクトに持ち運べるというのが分かりやすい特徴ですが、Sシリーズはどのように差別化していくのでしょうか。両者の住み分けを改めてお聞かせください。
Roh氏 Samsung Galaxyブランドは、常に変化を起こして、革新を続けています。例えば、今では当たり前となっているペン入力できるモバイルデバイスの市場は、2012年発売の「Galaxy Note」により、市場そのものが創造されました。
フォルダブル市場も同様です。4年前、2019年に「Galaxy Z Fold」を発売し、大画面で使いつつ、画面を折りたたんでコンパクトながら持ち運べる新しいスマートフォンを提案しました。このようにSamsung Galaxyは革新し続けてきましたし、これからも継続すると考えています。その上で、重要なのは消費者が求める機能、技術トレンドに合わせた商品を投入することです。
そして、Sシリーズについては、最高のカメラ体験と最高のディスプレイの2つを備えつつ、安心して使える、安定感の高さが核心的な価値だと考えています。これはZシリーズの投入以降も変わりません。
今後も、フォルダブルスマートフォンに代表されるGalaxy Zシリーズと、ストレート型のGalaxy Sシリーズという2つのフラグシップを継続的に開発し、投入していきます。
―― フォルダブル端末について、例えば2022年発売の「Galaxy Z Fold4」と「Galaxy S22」を比べると、Z Fold4の方がカメラ機能において下のように思えます。どちらも“プレミアム製品”だとすると、Zシリーズのカメラ機能は物足りないようも感じます。フォルダブル製品の訴求ポイントについて、どのように考えているのでしょうか。
Roh氏 消費者のニーズを厳密に検討して、ニーズを満たすような新しい機能を盛り込んでいくという開発方針は、フォルダブルでも変わりません。
消費者調査においては、フォルダブルには「大画面による生産性の向上」に価値を見いだすユーザーが多いと把握しています。また、フォルダブルの元々の持ち味である大画面だけでなく、持ち歩きしやすくなるように「より薄く、軽くしてほしい」という意見も多くあると認識してます。さらに、大画面でゲームを楽しみたいというニーズも多く存在します。こうしたニーズにフォーカスして、製品開発を継続しています。
カメラ機能については、最近はセンサー、レンズ、モジュールといったハードウェアのみならず、ビジョンアルゴリズムやAIの改善が画質向上において重要だと考えています。このような技術を総合的に活用して、カメラ性能の向上についても、ニーズに合わせて改善できるように取り組んでいきたいと考えています。
―― フォルダブル端末では、他のメーカーも製品を発表しており、市場に流通する製品が今後増えていくと見ています。Galaxy Zシリーズは競合他社と、どのように差別化できると考えていますか。
Roh氏 フォルダブルにおいて重要なのはエコシステムであり、アプリケーションであると考えています。消費者がフォルダブルを通じてより良い体験を得るためには、フォルダブルに適した操作体系を提供できるかも重要です。
サムスンは4年前にフォルダブルというカテゴリーを創出したときから、フォルダブルでのユーザー体験を高めるために、さまざまなパートナーと協力しています。これまで4年間、オープンに多くのパートナーと協力して、フォルダブルに最適化したスマートフォンを作り続けたことが、他社と差別化する上でも強みと考えています。
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