レビュー

「Pixel 7a」徹底レビュー ミッドレンジ価格帯では“ライバル不在”といえる完成度(3/4 ページ)

Google製スマホ「Pixel 7a」が5月11日に発売された。6.1型の画面に高性能のSoC「Tensor G2」、6400万画素のカメラを搭載し、価格を抑えながらミッドレンジの枠を超えている。今回はこれを実際に試し、ライバルのiPhoneやAndroidと比較してみる。

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OSを3年更新、処理性能はほどよく高性能でアプリもゲームも快適だ

 Pixel 7aではOSアップデートを2026年5月、セキュリティアップデートを2028年まで提供する。スマホの買い替え期間が長くなる人も安心だ。むしろ最新OSをかなり早期に配信するので、OSアップデートの実行は普段利用するアプリが新OSに対応するまで待った方がいいほどだ。また、Pixelの特典としてGoogle One VPNも利用できる。

 処理性能に関連する仕様として、独自の高性能チップ「Tensor G2」と8GBメモリ、128GBストレージを搭載。AnTuTuベンチマークで73万65697を記録。ミッドレンジAndroidの多くが採用する「Snapdragon 695」のスコア30万~40万あたりを大幅に超える性能を示した。


AnTuTuベンチマーク(V9.5.7)の結果

 最新のハイエンドはスコア100万を超えるものも出てきているが、Pixel 7aのスコアもどちらかといえばハイエンドに近い性能といえる。なお、iPhone SE(第3世代)もiPhone 14やiPhone 13と同じ「A15 Bionic」搭載でスコア75万前後と処理性能が高く、一部のゲーム用にも優秀だが、画面が小さくバッテリー容量も少ないなどうまく生かせていない。

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 Pixel 7aでは3Dグラフィックを活用した比較的負荷の大きい「ウマ娘 プリティーダービー」や「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」などのゲームも、標準的な画質を落とさず楽しめた。高負荷なゲームタイトル「原神」は、最新の内容はかなり負荷が高くなっており、外部冷却無しなら標準の「低」設定でのプレイが無難だ。近年の各社スマホと同様に、ゲームプレイ中向けの補助機能「ゲームダッシュボード」も利用できる。


ゲーム補助機能の「ゲームダッシュボード」を搭載。ゲーム中の通知オフの他、右端のフローティングメニューを使った録画操作やFPS表示が可能だ

 現状、ミッドレンジ価格帯のAndroidはQualcommのチップ供給状態も影響してか、処理速度に関する進化がやや停滞している。手頃な価格で処理負荷の大きいアプリやゲームをある程度利用できるスマホを探している人にとって、Pixel 7aは魅力的なモデルだ。

バッテリーと音声認識が便利なサウンド周りをチェック

 内蔵バッテリーは4385mAh。一般的なスマホと同じく、SNSや動画視聴を中心とした日常利用では1~2日に1度の充電が必要という印象だ。一部メーカーのAndroidスマホのように、スリープ状態なら数日持つというほどの徹底した省電力化はされていない。

 充電はUSB Type-CからのUSB PD(最大18W)と、ワイヤレス充電Qi(最大5W)に対応。バッテリー容量が大きいので、Qiの充電ではかなり時間がかかる。快適に充電するならUSB PDに対応したUSB Type-C充電器を使おう。ワイヤレス充電対応の価値は、Qi対応カーホルダーや緊急用ぐらいだ。

 なお、Qi対応ワイヤレスイヤフォンを本体に載せて電力を供給する機能はない。必要ならPixel 7aとUSB Type-Cケーブルで接続して供給しよう。実用性の面でも、そちらの方が便利だ。


新たにワイヤレス充電Qi(最大5W)に対応。ただ、時間がかかるので通常はUSB PD対応のUSB Type-C充電器を使おう

 サウンド周りは、前面上部と底面のステレオスピーカーを搭載。大きめの音量である程度の広がりもあり、人の声を聴き取りやすい印象だ。イヤフォン端子はなく、BluetoothかUSB Type-C対応製品を接続することになる。

 Pixelシリーズならではの機能として、リアルタイム音声翻訳や、再生中の動画や音声字幕興しと翻訳、音声レコーダーの文字起こしが可能。街中での海外の方との会話はもちろん、海外の動画の視聴、会議の録音などに便利だ。


音声レコーダーの文字起こしや、音量キーから再生中の内容の文字起こしと翻訳機能を使える。YouTubeの場合、YouTube側も同様の機能を持っているのでそこまで意味はない。だが、それ以外のライブ配信アプリやネットラジオを楽しむときに重宝する

顔と指紋センサー搭載、非接触ICはFeliCaにも対応

 生体認証は顔認証と、ディスプレイ内蔵指紋認証を併用できる。なお、顔認証はマスク装着時や真っ暗な環境での認証には対応していない。基本的には指紋と顔の両方とも登録しておくのが便利だ。ロック画面は顔認証と指紋認証のどちらでも解除できる。ただし、本人確認や決済は指紋認証のみとなる。

 なお、顔認証には「ロック画面をスキップ」という設定がある。顔認証後にスワイプでロック解除するのが面倒な人は設定を変更しておこう。


インカメラの顔認証と、ディスプレイ内蔵の指紋認証を併用できる

 非接触決済周りはFeliCa/NFCに対応。おサイフケータイのモバイルSuicaなどを利用可能だ。先日開始したマイナンバーカードの「スマホ用電子証明書搭載サービス」にも対応している。

日本の4キャリアに対応、nanoSIM/eSIMのデュアルSIMで使える

 モバイルネットワークはドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルに対応。ドコモの5Gの主要周波数n79にも対応している。SIMはnanoSIMとeSIMのDSDVに対応。また、Wi-FiはWi-Fi 6E(802.11ax)の6GHz帯に対応している。


これまでのPixelシリーズが対応していなかった、ドコモ5GのSub-6帯n79に対応。接続中のネットワークをtakusan_23氏の「NewRadioSupporter」アプリをインストールして表示した

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