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“携帯電話の基本”が磨き上げられた「iOS 17」 ただし日本語対応には課題も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

今秋リリースのiOS 17は、携帯電話の基本ともいえる「電話」や「メッセージ」の機能改善が主なトピック。「iOS 14」で導入されたウィジェットも、より多機能になる。ただし日本語対応の面では課題も残っている。

留守電をテキスト化する「ライブ留守番電話」など、日本語非対応の機能も

 コミュニケーションに関わる機能として、もう1つの大きな進化が「ライブ留守番電話」だ。これは、着信を取らなかった場合、相手が吹き込んだ声が画面上に文字として表示されるという機能。AndroidではGoogleのPixelが「通話スクリーニング」に対応しており、役割としてはこれに近い。通話中のまま文字になるため、そのまま電話に出ることが可能。不要だと思ったらそのまま放置してもいい。迷惑電話を防止するための機能としても有用だ。


相手が留守番電話に吹き込んでいるメッセージが、リアルタイムでテキスト化される

 残念なのは、この機能が英語にしか対応しておらず、米国とカナダでしか利用できない点だ。多国語対応のスケジュールに関しては、明かされていない。言語ごとに機械学習を適用する必要があり、こうした機能は、話者が多く、国際的な場でデファクトスタンダードになっている英語への対応が優先されがちだ。

 とはいえ、iPhoneはグローバルで販売されている製品。対応する言語が徐々に広がっていくケースは多く、将来的に、ライブ留守番電話も日本語で利用できるようになる可能性は高い。ただし、一定の時間はかかると見ていいだろう。

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 例えば、iPadOSの手書き文字認識機能である「スクリブル」も、2020年に導入されたが、当初は英語と簡体字の中国語、数字のみの対応だった。日本語でスクリブルを利用できるようになったのは、2021年に登場した「iPadOS 15」からで、約1年のタイムラグがあった。機能が高度化しているためか、近年、こうした言語による導入時期の違いは広がりつつあるようにも見える。


スクリブルの機能は、約1年後に日本語に対応した

 iOS 17では、テキスト入力も改善され、自動修正機能がより正確になった。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏によると、この改善には「端末の機械学習を使い、Transformer言語モデルを使ってこれまで以上に正確になっている」という。ただ、ライブ留守番電話と同様、こちらも日本語には非対応。入力する文字の予測も英語のみの対応になる。


オートコレクトなどのキーボード関連の新機能は、英語など、一部の言語に限定されているものが多い

 同じく、「Hey、Siri」から「Hey」を省略できる新機能も、当初は英語のみ。1回1回Siriを呼び出す必要なく、複数のコマンドをまとめて指示できる機能も、日本語では非対応だ。テキスト入力や音声認識などには、まだまだ“言語の壁”が残っている印象を受けた。日本でこうした機能が利用できない点には、注意しておきたい。


Siri起動時にHeyという呼びかけをしなくて済むようになるが、こちらも英語のみのようだ

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