「Tポイント」の名を捨て「Vポイント」になる理由 決済だけでポイント二重取り、スマホ決済に本格進出も(1/2 ページ)
三井住友フィナンシャルグループ(グループを総称して「SMBCグループ」)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、新たな「Vポイント」(青と黄色のVポイント)を発表した。2024年春をめどに提供を開始する。
三井住友フィナンシャルグループ(グループを総称して「SMBCグループ」)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、新たな「Vポイント」(青と黄色のVポイント)を発表した。2024年春をめどに提供を開始する。
CCC系列の「Tポイント」を三井住友系列の「Vポイント」へ統合した新たなポイントサービスとなり、共通ポイントとして20年に渡り親しまれてきた「Tポイント」の名前は消滅することになる。
新しいVポイントのサービス運営は、CCCが60%、SMBCが40%の割合で出資する合弁会社のCCCMCホールディングスが担当する。
「Tポイント」の名称は消滅へ
日本で最初の共通ポイントサービスとしてスタートしたTポイントは、2023年にサービス開始から20周年を迎える。TSUTAYAグループからコンビニチェーンまで幅広く浸透し、日本に共通ポイントサービスを広めた立役者といえる存在だが、2010年代は楽天ポイントやNTTドコモのdポイントといった競合サービスの台頭で、加盟店拡大競争での存在感が薄れつつあった。
一方のVポイントは、2020年開始のポイント界の新顔といえる。カード決済機能を通じてVisa加盟店で利用できる点が魅力だが、会員向けポイントプログラムという性格が強く、単体での普及拡大は限界も見えていた。
つまり、Tポイントは多くのユーザーを抱えているが利用できるお店を拡大していく上で課題を抱えており、Vポイントには加盟店はあるがユーザーが少ない点が弱みとなっていた。この両者の統合は、互いの弱点を補い合う効果がある。
左から、三井住友カード代表取締役社長の大西幸彦氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ会長兼CEOの増田宗昭氏、三井住友フィナンシャルグループ社長兼グループCEOの太田純氏、CCCMKホールディングス社長兼CEOの高橋誉則氏
Tポイントのアクティブユーザー数は1.26億人で、現行Vポイントのアクティブユーザー数は2000万人となる。統合により誕生する新しいVポイントは、単純合算で1億4600万人となり、日本最大級の共通ポイントとなる。
アクティブユーザーかつ、複数アカウントを保有している人の名義を重複カウントしない“名寄せ”を行った場合の集計では、Tポイントが7000万人、Vポイントが1600万人となる。
Tポイントの統合で誕生する新「Vポイント」、どう変わる?
統合後のポイント付与率は従来と同等水準を維持し、0.5%~1%となる。現行のTカード(磁気カード)やモバイルTカード、Vポイントアプリは統合後もそのまま利用できる。現行のTポイントとVポイントの両方を利用しているユーザー向けは、2024年の春以降にポイントをまとめる手続きも提供される。
有効期限はTポイント側に合わせて、最終利用日から1年間となる。つまり、1年以内にポイントの付与や交換が発生する取引があれば、ポイントを消滅することがなく、利用を継続できるようになる。三井住友カードなど、Vポイントに対応する支払い手段で決済を行うと0.5%のポイントが付与される。
新しいVポイントには、ポイントを提示してためる共通ポイントの機能に加えて、スマホ決済の機能も提供される。Vポイントアプリ上でVisa対応のバーチャルカードを発行できる。これは、Google Pay/Apple Payへのカードの登録に対応しており、街のお店では「Visaのタッチ決済」を利用できる。カード番号を入力して、オンラインショッピングでの利用にも対応する。
Visaの加盟店で決済できるため、新しいVポイントに対応する店舗はVisa加盟店全てで使えるということになる。つまり、国内で750万店舗、世界で1億店舗で使えてためられるポイントサービスとなる。
共有ポイントとしての利用は、現在のTポイントの加盟店に準じる。ファミリーマートや吉野家など、全国15万店舗の加盟店でポイントをためられる。これらの店舗でVポイントアプリのVisaのタッチ決済を利用した場合、ポイントカード提示で0.5%、決済で0.5%で合計1%のポイントが付与される。
Vポイントの刷新に合わせて、Vポイントアプリで銀行口座やクレジットカードからのチャージにも対応し、残高を送金する機能を備える。子どもの使用状況を家族が確認できる見守りサービスも提供する。このスマホ決済機能でも、三井住友カードの利用時と同率の0.5%のポイントが付与される。
13日の発表会では、Tポイントの新たな加盟店として、ジョーシンやほっかほっか亭、ベネッセなどが加わることが発表されている。
20年続いた「Tポイント」の名前をなくす理由
新ブランドは「Vポイント」というSMBC側のサービスの名称へ統一される。これはすなわち、CCCが20年運営してきた「Tポイント」という名称が消滅することになる。一方でブランドカラーはTポイントの青と黄色を踏襲し、従来のVポイントで使われていた緑色は用いられなくなる。
新ブランドの名称は「Vポイント」に統一される。これはすなわち、CCCが20年間運営し、認知度が高い「Tポイント」の名称が消滅することを意味する。一方でブランドカラーはTポイントの青と黄色を踏襲し、従来のVポイントで使われていた緑色は用いられなくなる。
CCCの増田会長兼CEOは「Tポイントという名前に、こだわりはあまりない。いつも見ているのはお客さんだ。お客さんにとって本当に価値があるのは、Visaの“V”だ。企業のエゴを主張せず、価値を表す名前を選んだ」とコメントする。ブランド統合を婚姻制度に例えて「結婚した人の旧姓を覚えている人が少ないように、その人がすてきだったら、新しい名前は定着していく」と強調した。
三井住友フィナンシャルグループの太田純社長はTポイントという名称を選ばなかった理由について「まずTポイントのユーザーのみなさんにVポイントの機能性の良さを訴求したいという思いがあった。だから、Tポイントの皆さんになじみのある青と黄色を選んだ。だけども、目指す方向性は名称はVポイントが目指すトータルな方向性を提供したいからVを選んだ。(Tポイントロゴで緑色という)逆の選択はなかった」と狙いを説明する。
「Tポイントをお持ちですか?」の声かけもなくす
また、新たな決済体験の提供も予定している。共通ポイントが浸透した後にスマホ決済の利用が進んだ日本では、買い物をするときにポイントカードを提示しつつ、スマホ決済でポイントを獲得する“二重取り”のスタイルが普及している。
CCCMKが「ワンオペレーション」と呼ぶ新たな支払い方法では、ポイントカードを提示せずに決済だけで両方のポイントを獲得できるようになる。
店側にとっては決済時に「Tポイントをお持ちですか?」と確認するプロセスがなくなることで、従業員の負担軽減につながる効果が見込める。三井住友カードの大西幸彦社長は、大西幸彦社長は「店頭での決済とポイントが別で動いていた。これが一体となるのがキャッシュレス時代には重要だと考えている」と狙いを説明した。
また、支払時にポイントカードの提示を忘れた場合も、Visaのタッチ決済で支払っていれば後から申告してポイントを付与することも可能とする。
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