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三井住友カードが決済端末「stera terminal」発表 Android搭載、独自のアプリマーケットも展開

三井住友カードが10月2日、新たな決済プラットフォーム「stera」を発表した。決済端末、決済センター、ネットワークを一気通貫でサポートする。Android決済端末「stera terminal」は、さまざまなキャッシュレス決済に対応し、アプリの追加も可能になる。

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 三井住友カードが10月2日、新たな決済プラットフォーム「stera」を発表した。

 steraは、GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)とビサ・ワールドワイド・ジャパン(以下、Visa)との協業によって実現した、店舗向けの決済ソリューション。「steer(かじを取る)」と「era(時代)」を合わせた造語で、「新時代のかじを切る」という思いを込めた。

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三井住友カードの新決済プラットフォーム「stera」

 決済端末とECサイトで発生した決済データを処理する「決済センター」、そのデータを決済事業者に届ける「ネットワーク」まで、キャッシュレス決済で必要とされる機能を全て備えているのが大きな特徴。加えて、新たな決済端末として「stera terminal」を2020年3月から販売し、独自のアプリマーケットも提供する。

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多彩なキャッシュレス決済をサポートする端末「stera terminal」

 三井住友カードの大西幸彦社長は「日本のキャッシュレス決済は広がっているが、多様な手段があり複雑。いろいろな決済手段をストレスなく使っていただける環境を整え、安全、便利、低コストの仕組みを提供する」と意気込みを語った。

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stera terminalを手にする、三井住友カードの大西幸彦社長

 steraの特徴を示すキーワードは「ワンストップ」だ。

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steraの4つのコンセプト。一言で言えば「ワンストップ」

 stera terminalは、クレジットカード、非接触決済、コード決済などの決済サービスを1台で処理できる。クレジットカードブランドや主要な決済サービスには全て対応する予定で、加盟店の要望によって、必要な決済サービスを選べるようになるという。

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端末は1台でOK。来店者は4型ディスプレイ、店舗担当者は7型ディスプレイを操作する

 来店者は4型ディスプレイを操作する。店頭でクレジットカードを挿入したり、スマホをかざしたりできることに加え、電子サインやPINコードの入力にも対応している。店舗側は7型タッチパネルディスプレイを操作し、オートカッター付きのプリンタを標準搭載している。なおモバイル通信は内蔵しておらず、有線LANか無線LANで接続する。

【訂正:2019年10月17日17時2分 初出時に、決済端末は来店者向けと店舗向けで2種類あるとしていましたが、正しくは1種類です。おわびして訂正致します。】

 「ピンパッド、リーダライターを利用するには、付属品や接続コードをつなげるのが一般的だが、stera terminalは付属品や接続コードなしで対応できる」と大西氏はアピールする。

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QRコード読み取り用のカメラ、ICカードリーダーライター、磁気カードリーダーライターなどを装備している

 OSにはAndroidを採用しており、オンライン上の操作で機能を追加したり、アプリを追加したりできる。Google Playは搭載しないが、店舗が必要とするPOS、ポイントサービス、免税などのアプリを配信する、独自のアプリマーケット「stera market」を展開する。アプリマーケットの詳細は後日案内される。

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Android OSを搭載しており、決済関連のAndroidアプリをインストールできる

 三井住友カードの担当者によると、同社がモバイルPOSアプリを開発する予定はなく、外部のモバイルPOSアプリを配信する予定だという。stera terminalは、これらのモバイルPOSと連携させて決済データを管理できる。さらに、ロール紙を発注するアプリ、本部とコミュニケーションするアプリなども提供予定だという。

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サードパーティーのモバイルPOSアプリも利用できる

 stera terminalの価格は「従来の端末比で大幅な低価格を実現できる」(大西氏)そうで、「5年間で30万台の新規設置を計画している」と展望を話した。

 もう1つ、ワンストップを示す特徴が、先述の通り、一気通貫で決済処理ができること。従来の決済システムは、決済手段によって端末が異なる、リアル店舗とECの決済データを連携できない、決済システムによって決済センターの事業者が異なる(それによって安定稼働やセキュリティへの不安が生じる)――といった課題があった。

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決済センターとネットワークの部分で多くの事業者が存在しているのが現状だ

 決済センターとネットワークには「多くの事業者がいるので、シームレスな決済フローを阻害する要因になっている面もある」と、三井住友カード アクワイアリング統括部長 疋田(ひきた)政彦氏は指摘する。こうした裏側の処理を一括でカバーできることもsteraの強みとしている。

 決済端末から受けたデータを処理し、決済手段ごとに行き先を振り分ける決済センターは、ECをGMO-PG、リアル店舗をGMOフィナンシャルゲートが担う。決済センターから受け取ったデータを決済事業者に届けるネットワークの部分は、Visaが担当する。Visaのネットワークは1秒間に6万5000件の処理を行っており、ここで不正な取引をブロックする役目を担う。

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決済センターをGMO、ネットワークをVisaが担うことで、コストの効率化が期待される

 リアル店舗とECサイトの両方を展開している事業者の場合、それらの売り上げデータを統合できるのも特徴。取引履歴はダッシュボードで閲覧できるようにする。

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多彩なEC決済システムもサポートする
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リアル店舗とネットの両方を統合した売り上げデータをダッシュボードで閲覧できる

 大西氏は「コスト面でもスケールメリットを活用し、安定性とコスト効率を両立させたい」と語る。これによって決済手数料の低減も期待できそうだが、具体的な手数料の言及はなく「料率は内容によって変わってくる。一律には言えないが、機能が上がることを考えれば、低コストで提供できる」と大西氏は言葉を選んだ。

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