ドコモの「副回線サービス」は誰向け? 実際に契約して分かったこと(4/4 ページ)
6月1日、NTTドコモの「副回線サービス」(個人向け)が始まった。個人向けの月額料金は429円(税込み)となる。申し込みから実際の利用に至るまでの流れや所感をお伝えする。
電話番号は相手に伝えておくべし
副回線サービスはモバイルデータ通信だけでなく音声通話とSMSも利用できる。KDDIの通信障害では2022年7月2日未明の発生から約86時間が経過した4日目の7月5日15時36分に完全復旧宣言が出された。その間、音声通話が使えないことで、緊急通報が行えなかったケースもあった。モバイルデータ通信はもちろん、音声通話とSMSも家族や知人、消防、警察などへ連絡する手段の1つであり、重要だと筆者は考える。
しかし、副回線サービスの音声通話とSMSを利用するに際し、注意しなければならない点が2つかある。
1つは“電話番号が主回線と副回線とで異なる”こと。今回の場合、主回線となる電話番号はドコモ、副回線はauとなるため、例えば、頻繁に連絡を取り合う人同士が、主回線のドコモの電話番号だけを把握していても意味がない。電話を受けた側が副回線の電話番号をあらかじめ登録していなければ、着信時に電話番号が表示されるだけで、誰からかかってきたのかが分からない。
さらに、ドコモの「キッズケータイ」や、auの「mamorino(マモリーノ)」に代表される、いわゆる子ども向けの携帯電話は、基本的にあらかじめ登録した電話番号からの着信のみを受けられる仕様であるため、例えば、親が緊急時、キッズケータイやmamorinoに登録のない電話番号で、子どもに連絡できない。
緊急時に安心して電話に出てもらう、あるいは着信が受けられるように、日頃からよく連絡を取り合う相手には、副回線サービスを契約したことや、その電話番号を伝えておくことを勧めたい。
もう1つの注意点は“長電話”だ。発着信履歴から副回線の電話番号宛てにかかってきた相手に折り返す場合、副回線の電話番号から発信する仕様となっているため、仮に主回線でかけ放題の名の付く音声通話定額オプションに加入していたとしても、副回線では適用対象外となり、30秒当たり22円の通話料金がかかる。以下の2つは通常よりもさらに高い通話料金となっている。これを知らずにうっかり長電話をしてしまうと、請求が高額になる恐れがあるので気を付けよう。
- 通話先が料金を決定する電話番号(「0570」「0180」で始まる番号)への通話
- 海外の電話番号宛は非課税で1通当たり100円
副回線サービス、ずばり誰向け?
ドコモの副回線サービスを使ってみて、申し込みから実際の利用に至るまでの過程で、注意すべきことが多いと感じた。Webサイトなどで十分に周知されていない情報が多い。もちろんよくある注意事項として、料金がいくらなのか、利用機種がどれか、問い合わせ先がどこか……程度なら利用規約に書いてあるが、とても小さな字で書かれていて分かりづらい。
ITmedia Mobileのようなメディアはもちろんだが、副回線サービスを提供する大手通信事業者にも、分かりやすい情報周知を徹底してほしい、と感じた。eSIMや副回線サービスの情報に精通したユーザーなら、ドコモ/ahamoの基本料金に副回線サービスの429円が上乗せされるのを嫌い、月額0円からスタートするpovoなどを検討するに違いない。であれば、副回線サービスならではのメリットをもっと周知しなければ、存在意義を示して行けないのではないだろうか。
とはいえ、副回線として他社サービスを契約するためだけに、わざわざショップや家電量販店へ出向いたり、オンライン手続きで顔写真を撮影し本人確認したり……ということが面倒だと感じる人には、この記事で取り上げた副回線サービスが手っ取り早いかもしれない。
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