約20万円の「Xperia 1 V」は誰向けか Xperia 1 IVユーザーが感じた“進化と課題”(2/3 ページ)
ソニーのハイエンドモデル「Xperia 1 V」が2023年6月16日に発売された。Xperia 1 Vはメインの広角カメラに使うセンサーを大判化するとともに、2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサーの「Exmor T for mobile」を世界で初めて採用したのが大きなポイント。実機を借りたので、先代の「Xperia 1 IV」と比べて、何が違うのかをチェックしていく。
ディスプレイは明るい場所でも高輝度
カメラで撮影した静止画像と動画、閲覧/視聴時に欠かせないのがディスプレイだ。Xperia 1 Vは2019年から続くXperia 1シリーズの5世代目に当たり、6.5型の4K有機ELを搭載する点は一貫してぶれない。最大120Hz駆動や、コンテンツのフレームごとに解析して明暗部を見やすくする「リアルタイムHDRドライブ」にも対応している。
Xperia 1 Vのアウトカメラで撮影した静止画像と動画をディスプレイで確認してみると、人の肌の色味や毛先がつぶれずにはっきりと描写できること、夜景の街頭などが白飛びすることなくきれいに表現できること、暗い場所が黒つぶれせずに本来の色に近い色で表示できることを確認できた。写真ではなかなか伝わりづらいが、実機で確認するとより鮮明であることが分かる。
加えて、明るい場所での視認性もよく、ディスプレイが暗いことにより、文字、静止画像、動画が見づらい……ということはなかった。ただ、Xperia 1 IVと比べてそれほど変わらない点には触れておきたい。Xperia 1 IVの発表時には先代「Xperia 1 III」と比べて最大輝度がさらに約50%向上した点が挙げられていたが、Xperia 1 VとXperia IVの輝度は同じだ。
Xperia 1 IIIの実機がないのでXperia 1 Vとの比較はできないが、何世代か前の機種からXperia 1 Vに買い換えると、輝度向上を実感しやすいのではないだろうか。
一方で気になるのがディスプレイの21:9比率だ。ソニーでは「21:9ワイドディスプレイ」と呼称しているが、2019年のXperia 1登場時から21:9のコンテンツが格段に増えているか? といわれると正直そうでもない。大半の人が視聴するであろう「YouTube」ですら、ほとんどの動画が16:9比率で作成されている。21:9を生かせるのは「Netflix」や、ソニーのコンテンツサービス「BRAVIA CORE for Xperia」(5作品分の映画クレジットが付き1年間見放題)くらいだ。
撮影した静止画像に関しては横長といっても16:9までしか選べず、21:9比率を存分に楽しめることはない。映像のみならず静止画像についても、何らかの工夫やコンテンツが用意されていれば、もう少し違う印象を抱いたかもしれない。
新しいアンプの搭載で迫力が増したフルステージステレオスピーカー
Xperia 1 Vは先述のように、ビジュアルに加えオーディオも極めたのが特徴。「サウンドを重視するなら間違いなくXperiaを選ぶべき」と伝えたい理由が、Xperia 1 Vのフルステージステレオスピーカーにある。Xperia 1 Vのフルステージステレオスピーカーでは、従来とは違う新しいアンプを採用している。駆動電圧を高めたことによる音圧の向上、ノイズの低減によるきれいな音質、といった部分が特にコンテンツ視聴時に生かされる。
Xperia 1 IVと聞き比べてみると、Xperia 1 IVの方が音圧が低く、こもって聞こえるのに対し、Xperia 1 Vは特に低域の音圧が増し、よりパワフルかつダイナミックに聴こえる。とはいえ、ポップスのバスドラムや、ジャズでもウッドベースなどの低域だけが浮き彫りにならず、全体のバランスが崩れることなく聞こえる。
ボーカルや各楽器、音色の定位もはっきりと分かり、ソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」と相まって、まるでライブ会場の最前列で楽しんでいるかのような臨場感を得られた。もちろん360 Reality Audioのコンテンツは完全ワイヤレスイヤフォンを介しても楽しめる。
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