モトローラ日本法人新社長の仲田正一氏を直撃 “ドコモ時代の知見”を生かし、キャリアビジネス拡大を狙う(2/2 ページ)
ドコモ出身の仲田正一氏がモトローラ・モビリティ・ジャパンの社長に就任。同氏はドコモのプロダクト部で海外メーカーなどの端末を日本に多数導入してきた実績がある。そんな仲田氏を新社長に迎えたモトローラは、日本市場にどうコミットしていくのか。
Z世代の若者などはモトローラのことをほとんど知らない
―― 海外ではイヤフォンやヘッドフォンも多いですね。かつてはBluetoothヘッドセットといえばモトローラなどの海外メーカーという時代もありました。
仲田氏 そうですね。ただし、こういった分野は非常にチャレンジングだと思っています。まだブランド自体がほとんど認知されていませんから。業界の方や、昔のRAZRを知っている方はクールなイメージを持っているかもしれませんが、そうでない方、例えばZ世代の若者などはモトローラのことをほとんど知りません。そういう方に向け、新しいモトローラをどう知っていただくか。しっかり理解していただけるようなことは、喫緊の課題としてやっています。
―― それは、先ほどおっしゃっていたタッチ&トライ的なことでしょうか。
仲田氏 そういった地道なタッチ&トライもありますし、メディアを使ってやっていくもの(宣伝)もあります。モトローラは、日本を非常に重要視しています。南米や北米は強いですが、アジアにも注力していて、インドも強い。では、アジアの中でインドに次ぐ市場はどこかというと、実は日本なんです。ですから、日本に対する投資も強化していきます。グローバル側からの後押しもあり、さまざまな機能も入るようになりましたし、マーケティングも可能になりました。こういったリソースはフルに活用し、露出を増やして認知いただけるようなことは早急に手をつけていきます。
―― そういった意味だと、日本法人にももっとリソースが必要になりそうですね。
仲田氏 拡大はしています。ただ、これからもっとお付き合いするキャリアを広げ、リテールもやっていくとなると、リソースはもっと必要になります。
何かが変わる前夜のような雰囲気は感じている
―― ただ、現状ではまだ十分なシェアがなく、各種調査でも「その他」に入っています。ここはもっと引き上げていきたいとお考えですか。
仲田氏 そういったことも目標にしています。まだまだパーセンテージは低いので、これをいかに上げていけるかはチャレンジしていきます。
―― シェアは固定化しているように見えますが、2023年に入ってGoogleのPixelが急上昇したように、何かきっかけがあればガラッと変わる可能性もあると思います。
仲田氏 フォルダブルがそうですが、もしかしたらこれでスマホの使い方が大きく変わるのではないかという気配のようなものは感じています。ドコモ時代にAndroidを日本で最初に出したときにも、Xperiaが出て市場が広がり、Galaxyが来てからその市場が加速しました。同じように、何かが変わる前夜のような雰囲気は感じています。
―― 一方でガイドラインが変わり、端末購入補助が本体への割引も含めて4万4000円に制限されてしまいました。この影響はどうお考えですか。
仲田氏 こればかりは市場の動きを見ていくしかありませんが、そこはキャリアと相談しながらです。ただし、どうなっていくのかは注視しています。
レノボが救済したFCNTと連携を取る可能性は?
―― モトローラとは直接的に関係がありませんが、親会社のレノボがFCNTを救済し、事業を承継しています。こちらと何か連携を取るようなことはあるのでしょうか。
仲田氏 あのプロジェクト自体が極秘で進められていたので、どう融合させていくかはまだ分かりません。現在、FCNTは完全に別の会社として運営されており、私はモトローラ・モビリティ・ジャパンの代表です。現時点で、両社が何か話をしているという事実はありません。ただ、今後はシナジーを出していくことは必須だと思います。その事業構造は、もう少し上のレイヤー(レノボ)で考えていくことになると思います。
取材を終えて:キャリアビジネスの拡大に期待
新社長にドコモ出身の人材を登用したことからも、キャリアビジネスの拡大を狙うモトローラの思惑がうかがえる。仲田氏は、ドコモで端末企画に加え、海外ビジネスも経験している。こうした経験を買われての抜てきといえる。ソフトバンクやY!mobile向けの端末がヒットし売れ行きを伸ばしているモトローラが、次のステージに上がる意思を示したと捉えることもできそうだ。razr 40 ultraやrazr 40/40sで日本市場に驚きを与えたモトローラが繰り出す、次の一手にも期待したい。
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