なぜ今、ガラケー型スマホなのか 2つ折り「Mode1 RETRO II」の開発意図を聞く(2/3 ページ)
異色の携帯電話端末「Mode1 RETRO II MD-06P」が2023年10月20日に発売された。昨今では珍しい折りたたみ型かつテンキー付きの携帯電話端末だ。なぜこのタイミングでこうした端末が誕生したのか、Mode1 RETRO IIの商品開発を担当した梅澤俊之氏に話をうかがった。
FMラジオはイヤフォンなしで聴ける 被災者からは感謝の声も
―― 確かに最近ではワンセグ/フルセグがなくて震災の際に困るという声もSNSなどで見かけますね。
梅澤氏 Mode1 RETRO IIにはラジオを聴ける機能があります。365日体制で運営しているコールセンターには能登半島地震の何日か後、お礼の電話がありました。
―― 被災地域の方がMode1 RETRO IIのラジオで助かった、と。
梅澤氏 Mode1 RETRO IIの発売から半年もたたないタイミングで、能登半島地震があったのと、被災地域ではキャリアさんの設備が使えなくなってしまいましたから、音声通話もデータ通信も使えない環境で、ラジオの機能が使えたことがよかったようです。われわれとしては震災にMode1 RETRO IIのラジオが役立った、と実感しています。
―― 簡易アンテナが内蔵されているのでしょうか。
梅澤氏 Mode1 RETRO IIは簡易アンテナを内蔵しています。ユニットは本体下部とカメラの斜め上にあります。そのため、外部アンテナやイヤフォンを使わずにFMラジオを聴ける、というのがメリットです。スピーカーでも聴けるレベルにしました。
―― スピーカー出力もできるのですね。
梅澤氏 スピーカーからもFMラジオの音を出力できるようにしています。昨今、有線イヤフォンを持ち歩く人は少ないでしょう。実は防水にしてしまうと、中に細かい網目状のネットを貼る必要がありますので、音質がこもり気味になり、音量も小さくなってしまいます。
フィーチャーフォンユーザーが違和感なく使える工夫も
―― フィーチャーフォンから乗り換えるとかなり違和感を覚えますが、そういった方に対してはどのように訴求しますか。
梅澤氏 電話、メール、LINEといったコミュニケーションツールにアクセスできるような「シンプルモード」を用意しています。UIは前作のMode1 RETROと同じです。クイックダイヤルもソフトウェアで設けています。ちなみに、クイックダイヤルを長押しすると、よくかける相手だけでなく、頻繁に使うアプリ、ユーザーさんが後から入れたアプリも割り当て可能です。実はこれ、Mode1 RETROでも好評のUI(ユーザーインタフェース)でした。
―― そうなるとMode1 RETRO IIはどのような人がターゲットなのでしょうか。
梅澤氏 初めてこのようなハイブリッドな端末を持つ人、すでにスマートフォンを持っていて、サブ端末としてこのような端末を求める人です。他に思いつくのは飲み屋で珍しい端末を自慢したい人でしょうか。それは冗談として、大枠は初めてとサブですね。
―― eSIMの選択は取れなかったのでしょうか。
梅澤氏 検討はしましたが、これを求める方はご年配の方が多いと予想しましたので、あえてeSIM非対応としました。韓国はeSIMが多いですが、他の国ですとまだ物理SIMが多いです。
―― FOMAプラスエリアと楽天モバイルに非対応なのはなぜですか。
梅澤氏 NTT系の方にSoCに関する開発で手助けをしてもらう場合がありますが、プロセッサの仕様上、この条件を満たせませんでした。ですが、楽天モバイルで使いたいという声をいただきます。こちらで100%動作保証ができない限り、使えると断言できないことから、このような表記としています。
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