なぜ今、ガラケー型スマホなのか 2つ折り「Mode1 RETRO II」の開発意図を聞く(3/3 ページ)
異色の携帯電話端末「Mode1 RETRO II MD-06P」が2023年10月20日に発売された。昨今では珍しい折りたたみ型かつテンキー付きの携帯電話端末だ。なぜこのタイミングでこうした端末が誕生したのか、Mode1 RETRO IIの商品開発を担当した梅澤俊之氏に話をうかがった。
セキュリティ更新は行うが、OSの付加機能はあえてオフにしている
―― Mode1 RETRO IIはOEMという理解でいいですか。
梅澤氏 全てこちらで型を作れないといえばそうですが、OEMか? と問われると実はそうではありません。設計、販売、システム調整はわれわれが担当していますが、製造は中国で行われています。
―― OSとセキュリティ更新は予定されていますか。
梅澤氏 したいとは考えています。ただ、どうしても端末が安価な物ですから、料金プランも安価なプランだと想定しています。なのにもかかわらずユーザーさんの同意なく、更新するのはよくないので、セキュリティについては自動更新ではなく、通知を出す形として更新を行えるようにしています。
ご理解いただいているとは思いますが、プロセッサがそこまで高速な物ではないです。仮にAndroid 13から14にアップデートできたとしても、OSの付加機能が使えないです。ですから宝の持ち腐れにならぬよう、OSの付加機能をあえてオフにしています。
―― そうなると、Mode1 RETRO IIは何年くらいの利用を想定した端末になるのでしょうか。
梅澤氏 理想としては約2年で買い替えてもらうのがいいと考えています。安価なモデルほど販売が半年で終わるケースがありますが、われわれとしてはMode1 RETRO IIをなるべく長期的に販売したいというスタンスです。
―― なぜ初代から2世代目の登場までに6年のタイムラグがあったのでしょうか。
梅澤氏 やはりニッチな端末になるからです。初代のOSはAndroid 7.0でした。しかし、そろそろ端末も含め、アップデートしなければ、と考え、新しいモデルの投入に至りました。
―― Mode1 RETRO IIはただAndroidを載せた感が強い端末だと思いますが、OSのカスタマイズはできないのでしょうか。
梅澤氏 Mode1 RETROもMode1 RETRO IIもカスタマイズをしていません。既にAndroidのPixelなどの端末を持っている方が、サブ端末としてMode1 RETRO IIを持ったときの操作感に関して大きく差が出ないようにしています。
―― これの3世代目は出るのでしょうか。
梅澤氏 近々はないかと。われわれとしてはとがった端末を世に送り出したいと考えています。
―― 今後、Mode1 RETRO IIのような端末は、どのような立ち位置になっていくとお考えですか。
梅澤氏 キャリアさんがガラケーをやめた瞬間にMode1 RETRO IIもなくなってしまう存在になると思います。GoogleのシステムにTalkBackというものがありますが、それを必要とする人がこのような端末をお買い上げになっています。
―― スマートフォンのTalkBackと比べて何が違うのでしょうか。
梅澤氏 Mode1 RETRO IIでTalkBackをお使いの方はいます。例えば、選択した項目の周りが枠で囲われ、どこを選択しているのかが一目で分かるようになります。選択した項目やアプリ名の読み上げも可能です。また、音声検索がすぐに行えるように物理キーの「ホーム」を長押しすると、すぐにGoogleアシスタントを起動できるようになっています。
―― 重複する内容があるかとは思いますが、Mode1 RETRO IIはずばりどのような端末でしょうか。
梅澤氏 Mode1 RETRO IIがどのような端末かを端的に言うならば、普通に使ってもらえるための工夫しかしていない端末になります。LINEも使えるようにしたのもそういった理由からです。例えば、孫から届いた写真がLINEで確認できないと困りますよね。そういうニーズにもMode1 RETRO IIはお応えします。
ここまで駆け足でお話しさせていただきましたが、次は少しでもきれいな写真が撮影できるようなスマートフォンを用意したいと考えています。
取材を終えて:ケータイとスマホの“いいとこ取り”を徹底
Mode1 RETRO IIの開発を担当した梅澤氏に話をうかがうと、市場に出回っているAndroid端末のことも熟知している印象を受けた。ユーザーの声を反映させた仕様も、P-UP Worldがコールセンターを持っていることの強みを生かした形だといえる。
端末そのものの大きな特徴であり、最もアピールされているのは、やはりケータイとスマホの“いいとこ取り”だ。フィーチャーフォンに近いサイズ感や形状とし、素のAndroidを入れ、他端末から乗り換えた場合、あるいは2台持ちをした場合、操作で戸惑わないようにしたことは評価したいポイントだ。
性能は決して高くはないが、価格は2万台と10万〜20万円クラスのハイエンドスマートフォンや、5〜10万円クラスのミッドハイスマートフォンと比べてもお手頃だ。
ただ、一方で、大手キャリアの3G停波後も、このような端末のニーズがあり続けるのかは不透明であり、この先、同じカテゴリーの新端末が継続的に出てくるとは思えない。これから購入するなら、この辺りを踏まえた上で、購入か否かを決めたい。
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