スマホは“基本的人権” 楽天モバイルが「最強こどもプログラム」を提供する理由(2/3 ページ)
楽天モバイルが5月2日、「最強こどもプログラム」を発表した。12歳以下のユーザーを対象に、毎月のデータ量が3GB以下なら440ポイントを、3GB超過月は110ポイントを満13歳になる前の月まで毎月還元する。なぜ同社は子ども向けの割引プログラムを提供するのか。
ターゲットはα世代 「基本的人権であるスマホ」デビューを狙う背景
最強こどもプログラムは、ネーミングに「最強」と付いていることから、分かりやすさ重視の割引プログラムであることが見て取れる。まずは最強家族プログラム、次に最強青春プログラム、そして今回発表の最強こどもプログラムへと続いている。何が最強なのかという議論はあるものの、統一感があり一目で誰向けのプログラムなのかが明確になっている。
マーケティング企画本部で本部長を務める中村礼博氏は、最強家族プログラム、最強青春プログラム、ネットワーク品質の改善、キャンペーンなど、多様な施策によって、「4月3日時点での契約数が650万回線を突破した」と手応えを話す。さらに、「同日以降も順調に契約数が増えた」とした上で、「700万突破というのも、そう遠くない時期に発表できるだろう」と意気込む。
この流れで行けば「シニア」向けの割引プログラムがあっても不思議ではないが、5月2日の発表会では具体的な言及はなかった。では、なぜ楽天モバイルは子どもに目を向けたのだろうか? 同氏は、2010年代序盤から2020年代中盤にかけて生まれた、α世代を例に説明する。
「2010年頃からコミュニケーションもちろんのこと、インターネット上の世界、ブラウジング、買い物、動画、ゲームなどといった生活のあらゆる場面において、スマホが活用される時代になった」と前置きした同氏は、「α世代が活躍していくためには、スマホをどう使いこなし、進化とどう向き合っていくのか、世界とどうコミュニケーションしていくのか、というのが非常に重要になってくる」と続ける。
一方で、α世代のスマホ所有率は、それほど高くないというのが現状だという。東京都の調査によると、小学校1年生~3年生でスマホを所有しているのは27.2%、小学校4年~6年生でも43%と半数を超えてない。
子どものスマホ所有率が伸び悩む理由に「SNSでのトラブルに巻き込まれる」「子どものスマホ代にお金がかかる」などが挙がるという。逆に子どもにスマホを持たせるメリットは何か。「GPSで子どもの居場所が確認できる」ことや。「緊急時災害時に連絡が取れる」こと、子どもとのコミュニケーションが増えた」こと、「学習アプリを活用するようになった」こと、「ITリテラシーが身についた」ことなどという声もあるという。
楽天モバイルは「今後、日本がさらに発展していくため、日本が世界をリードしていくため、誰でも手軽にスマートフォンを持てる社会を作りたい」(同氏)という思いから、子ども向けの割引プログラムを設計したという。
「スマホは家族、友人との連絡、決済語学、 AI学習、買い物、医療娯楽あらゆるサービスの入り口」(同氏)になっている。それゆえに同氏はスマホを「基本的人権である」と表現する。基本的人権はその言葉の通り、「人が持つ基本的な権利」だが、権利をスマホに置き換えて理解すれば、「誰でも当たり前のように持てるスマホ」は「1人の人間はもちろん、家族や社会の必需品である」と訴えたいのだろう。
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