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ハイエンドスマホ「POCO F6 Pro」が6万9980円からの衝撃 “オンライン特化販売”は日本で根付くか石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

Xiaomiは、サブブランド的に展開しているPOCOの新モデル「POCO F6 Pro」を5月23日に海外で発表した。円安の為替相場が続く中、ハイエンドモデルでわずかながら7万円を下回る価格は破格の安さと言っていいだろう。POCO F6 Proはオンライン専売モデルだが、日本でこうした販売方法が定着するのかも気になるところだ。

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スマホのオンライン販売は広がるか? 鍵になるリアルな店舗での露出

 一方で、日本では、スマホのオンライン販売が必ずしも定着しているとは言いがたい状況がある。調査会社MM総研が2024年1月に行った調査では、その比率は28.8%と全体の3割未満にとどまっている。同社が2021年12月に発表したデータでは23.3%、18年9月時点では13%と、その比率は年々上がっているものの、まだオンラインだけだとどうしても販路は狭くなってしまう。


MM総研が21年に発表した購入場所の比率の推移。オンライン比率は徐々に上がり、24年1月には28.8%まで高まっているが、それでも3割を下回る

 しかも、日本の場合、キャリア市場が強いのは周知の通り。いわゆるオープンマーケットでメーカー自身が販売するスマホの出荷台数は、10%前後の割合で推移している。オンラインの販路は、大手キャリア各社も開拓に注力しており、一部では機種変更の手数料を取らないなど、コスト面での差別化も図っている。こうした点を踏まえると、オンラインに特化し、かつオープンマーケットモデルとして販売する端末のボリュームがいかに小さいかが分かる。


オープン市場のスマホは、徐々に拡大しているがシェアでは10%を下回っている

 特にスマホのような商品は、使い勝手やサイズ感、カメラの画質など、スペックシートでは表しきれないフィーリングのような部分も購入時の評価対象になりやすい。iPhoneやPixelのように評価がある程度定まっており、オンラインでそのまま購入しても“ハズレ”を引くことが少ないブランドなら別だが、Xiaomiは日本に上陸してからまだ5年に満たない。その別ブランドとなると、ユーザーが認知するためのハードルはさらに高くなる。

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 少なくとも、ユーザーがPOCO F6 Proを体験できるような場を作っていくことは必要になりそうだ。その意味では、Xiaomiが5月25日から9月1日まで渋谷PARCOに期間限定でオープンする「Xiaomi POP-UP Store」は、Xiaomiの他の製品だけでなく、POCO F6 Proにとっても重要な役割を果たしそうだ。


渋谷PARCOに期間限定でオープンするXiaomi POP-UP Store

 同ストアは、Xiaomiがグローバルで展開するXiaomi Storeとコンセプトを統一した実店舗という位置付け。海外の店舗と同様、スマホやタブレットだけでなく、ロボット掃除機やバッグなどまで取りそろえており、それらを購入できる(一部大型の商品は展示のみ)。


コンセプトはグローバルと同じで、スマホ以外の多彩なラインアップを取り扱う

 このXiaomi POP-UP Storeでは、POCO F6 Proも取り扱う。先に述べたようにオンライン専売という位置付けに変わりはないが、特別に販売することが決まったという。逆説的だが、オンライン専売ブランドを育てていく上では、このようなリアルな場で触れてもらう地道な取り組みが必要になる。欧州やアジアでは実店舗を構え、そのシェアを伸ばしているだけに、日本での今後の拡大にも期待したい。


もともと展示だけの予定だったPOCO P6 Proだが、急きょ販売することが決まった。実店舗でどれだけ試してもらえるかが、ブランド認知を向上させるカギになりそうだ
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